ビットコインおよび暗号資産市場全体は、明確な答えよりも多くの疑問を抱えたまま2026年を迎えようとしている。
フィデリティ社の新たな見通しは、短期的な利益を追求する投資家に対して注意を促す一方で、長期保有者にとっては依然として市場に参入する余地があると主張している。
このメッセージはより大きな変化を反映している。暗号資産はもはや投機家向けのハイベータ取引にとどまらず、政府、企業、機関投資家によって戦略的資産として扱われるようになっている。
この変化は今年に入って加速した。
今年は、より多くの政府や企業がデジタル資産をトレジャリーに組み入れ、これまでのサイクルには存在しなかった新たな需要源が生まれた。
3月には、ドナルド・トランプ大統領が米国に戦略的ビットコイン準備金を設立する大統領令に署名した。この大統領令により、連邦政府がすでに保有しているBTCおよび一部の暗号資産が正式に準備資産として指定された。
この決定がもたらす長期的な影響は依然として不透明だ。しかし、その象徴性は重要といえる。現在、BTCは米国政府によって価値保存手段として公式に認められている。この認識がビットコインにおける従来の4年周期の市場サイクルが依然として当てはまるのかどうかという議論を活発化させていると、フィデリティのレポートは論じている。
ビットコインの4年サイクルは終わったのか?
ビットコインは歴史的に、半減期のスケジュールに緩やかに連動した好況と不況を繰り返すパターンで推移してきた。2013年、2017年、2021年には大きな天井が形成されたが、その後はいずれも大幅な下落局面に見舞われた。現在、価格は4年周期の高値付近で再び下落しており、今回の強気相場はすでにピークを迎えたのではないかという疑問が浮上している。
JUST IN: Fidelity reports that Bitcoin’s 4 year cycle may be over 👀
Investors “believe we could be entering a supercycle…For reference, a supercycle in commodities in the 2000s spanned nearly a decade.” 🚀 pic.twitter.com/SVQs61lz7N
— Bitcoin Magazine (@BitcoinMagazine) December 15, 2025
一部の投資家は、このサイクルが崩れつつあると考えている。その論拠はシンプルで、構造的な需要が変化しているという点にある。国家による採用や企業のバランスシート上での購入がボラティリティを抑制し、将来の弱気相場の深刻さを和らげる可能性がある。
さらに踏み込んで、ビットコインは今後数年にわたって上昇を続け、その間はわずかな調整のみにとどまる「スーパーサイクル」に入りつつあるのではないかと指摘する向きもある。
フィデリティ・デジタル・アセットのクリス・カイパー氏は、サイクルが終わったとは考えていない。彼は、人間の行動は変わっておらず、恐怖と強欲が依然として市場を動かしていると指摘する。もし、4年周期パターンが維持されるのであれば、ビットコインはすでにサイクルの最高値を付け、持続的な弱気相場に突入している必要があるだろう。
いまのところ、それを判断するには時期尚早だ。最近の下落は本格的な下落局面の始まりを示している可能性もあれば、サイクル中盤の一時的な調整に過ぎない可能性もある。
政府と企業によるビットコイン購入
政府によるビットコイン採用は状況をいっそう複雑化させている。暗号資産を保有する国は増えているが、準備資産として正式に指定している国はまだ少ない。
しかし、状況は変わる可能性がある。キルギスタンは2025年に暗号資産準備金を設立する法案を可決した。ブラジルでは、外貨準備の最大5%をビットコインで保有することを許可する法案の提出が、議員らによって進められている。
カイパー氏はゲーム理論に言及する。もし、ある国がビットコインを準備資産として採用すれば、他国も追随せざるをえない圧力を感じる可能性があるという。どれほど小さな需要増であっても価格を支える要因になりうるが、その規模が重要であり、売り圧力が買い圧力を相殺する可能性もあると、彼は指摘する。
企業の役割も拡大している。フィデリティによると、現在100社以上の上場企業が暗号資産を保有しており、そのうち約50社が合計で100万 BTC超を保有している。ストラテジー社は依然としてもっとも目立つ買い手ではあるが、もはや唯一の存在ではない。一部の企業にとって、ビットコインは資本市場へのアクセス手段となり、投資家のエクスポージャー需要をアービトラージする手段となっている。
こうした需要は諸刃の剣ともいえる。企業による購入は価格を押し上げる一方で、価格下落局面における強制的な売却は損失を拡大させる可能性がある。
では、ビットコインを購入するにはもう遅すぎるのか?
フィデリティのカイパー氏は、それは時間軸次第だと述べている。サイクルの終盤に差し掛かれば、短期投資家は不利な確率に直面する可能性がある。一方、長期保有者にとっては状況が異なる。数十年という長期的な視点から見ると、ビットコインの上限固定の供給量こそが依然としてその魅力の中核にある、とカイパー氏は主張する。もしそれが成り立つのであれば、重要なのはサイクルのタイミングではなく、ビットコインの採用が継続するかどうかだ。2026年時点でも、その答えはまだ見えてこないだろう。
本稿執筆時点で、ビットコインの価格は急速に下落し、8万6000ドル付近まで落ち込んでいる。
