1ヶ月前、MITビットコインクラブのOBでありMITフリーダムテック・エキスポの主催者でもあるハルシュヴァルダン(愛称Hash)が、インタビューで語ってくれた話がある。ネパールで最近起きた抗議活動の現場にいた彼の友人でソーシャルワーカーをしている人物がビットコインを好きではないという話だ。
「左派的なイデオロギーを持つ人々の多くは、いまだにビットコインを資本主義的なツールだと考えていて、あまり快く思っていないんです」とHashは説明した。
彼と話して以来、この指摘について、ずっと考え続けている。
かつてはリベラル寄りだった私には、今でも、私が生計を立てるためにビットコインについて書いていると聞いただけで嫌悪感を示すような友人や知人が多くいる。彼らは、私が金のことしか気にしない右翼の狂信者になったと思っているようだ。
彼らがそう思うのも分かる(実際はそうではないのだが)。アメリカでは、ビットコインはトランプ政権と非常に強く結びついており、一般の人々が主流メディアで目にするのは、その価格の上下に関する報道がほとんどだ。
言い換えれば、ビットコインがいかに金融包摂を促進し、取引の自由を実現し、インフレや通貨価値の低下から人々を守っているかという物語を意識的に探さない限り、それらを見つけることはできない。つまり、一般の人々は、ビットコインの人権的側面についてほとんど、あるいは全く触れる機会がないのだ。
そこで、政治的に左派でありビットコインを好まない友人たちと共有できる例や考えをいくつか紹介したい。
金融包摂
ビットコインが金融包摂を可能にする最も強力な物語の一つが、今まさにケニアのキベラという非公式居住区(スラム街)で展開されている。
キベラはアフリカ最大の非公式居住区であり、Afribit Kiberaがキベラのコミュニティメンバーにビットコインの使い方を教育する実地活動のおかげで、ケニアで最も貧しく、金融的に最も脆弱な人々がどんどんデジタル経済に参加し、人生で初めて貯蓄をするようになっている。
Afribit Kiberaが行っている活動の物語は、BBCの最近の番組で取り上げられた。
しかし、この番組で触れられていない点がある。キベラの住民の多くは他のアフリカ諸国からの難民であり、現在国民IDの取得資格がないということだ。
国民IDがなければ、これらの住民はケニアで普及しているデジタル決済システムであるM-Pesaを利用できない。
しかし、ビットコインのライトニングウォレットと、ビットコインでの支払いとケニアシリングでの決済を可能にするケニア発のアプリTandoがあれば、これらのコミュニティメンバーはデジタル経済に参加できる。どちらも本人確認(KYC)チェックを必要としないからだ。(そう、カストディアル型のライトニングウォレットの中には様々な程度のKYCを要求するものもあることは知っている。しかしノンカストディアル型のライトニングウォレットは要求しない。)
取引の自由
西側諸国の私たちの多くは、PayPal、CashApp、Revolutといったデジタル決済手段で取引する自由を当たり前のものと考えている。つまり、これらのサービスや銀行口座が凍結されたり閉鎖されたりしたらどれほど壊滅的なことになるかについて、あまり考える必要がなかったのだ。
しかし、世界中の活動家や反体制派、特に権威主義体制下で生活している人々は、権力者に声を上げると、しばしば口座を閉鎖される。権威主義的な支配者の権力に挑戦する人々や組織を銀行システムから排除することは、独裁者の戦略の最初の一手となっている。
この最も露骨な事例の一つが、プーチン政権が野党指導者アレクセイ・ナヴァルニーの反汚職財団の銀行口座を閉鎖したケースだ。
とはいえ、バイデン政権下のアメリカでも、銀行排除の波が起きた。「オペレーション・チョークポイント2.0」の期間中、バイデン政権は多くのビットコインおよび暗号資産企業を銀行システムから排除した。その理由は、政治的に不利な立場にあったからという以外には見当たらない。
これは、銀行システムやフィンテック企業が技術的には今でも民間機関であるにもかかわらず、権力者――民主的に選ばれた当局者であっても――からの一定の圧力だけで、人々や企業が取引できなくなることを証明している。
著書『Broken Money』の中で、リン・オールデンはこの問題に関連してビットコインの重要性を強調している。
彼女は「自己管理型の金融サービスは、政府が実際に人々を犯罪で告発する前に口座凍結の圧力をかけることを不可能にする」と述べている。
オールデンは、この点においてビットコインは政治的イデオロギーを超越していると付け加えた。
「(ビットコインは)『右派か左派か』という問題ではない。なぜなら、自分が最も嫌いな政治家が次の選挙、あるいは2、3回先の選挙で勝つことを想像するだけでいいからだ」と彼女は書いている。

インフレからの自由
ビットコインに詳しくない人の多くは、その供給上限の重要性を理解していない(ビットコインは2100万枚しか存在しない)。
完全に有限な通貨供給量は、供給上限のない法定通貨とは対照的だ。法定通貨は無制限に発行できるため、これらの通貨を使う人々の時間と労働の価値が下がる。
アメリカに住む私たちも、この通貨価値の低下の痛みを感じている。インフレ率がここでは著しく高かったからだ。しかし重要なのは、法定通貨の世界においては、米ドルはいわば”烏合の衆の中の一番星”なのだ。
他のほとんどの通貨は、より警戒すべき速度で価値が低下しており、最も深刻な事例は、ベネズエラ、レバノン、アルゼンチン、トルコといった国々で起きたことだ。
だからこそ、前述のTandoの共同創設者の一人であるサビナ・ワイティラがケニアの大学生にビットコインについて教える際、それがインフレからの自由を提供すると強調するのだ。
Last week at the University of Nairobi, Chiromo campus, we spoke with computer science students about how Bitcoin offers true freedom. Freedom from inflation, freedom form high fees, and an open financial system for all. At Tando, we’ve made it possible to hold that freedom in… pic.twitter.com/B09YpK1GWT
— Tando (@tando_me) April 21, 2025
この種の自由は、2000年代半ば以降、年間14%もの高水準でインフレが進行している通貨を持つ国では特に重要だ。
ビットコインは政治的に中立
ビットコインはオープンプロトコルであり、単一の個人や組織に管理されていないため、本質的に政治的ではない。
確かに、トランプ政権はビットコイン支持の姿勢をとっており、それは政治的左派の人々にとって不快かもしれない。しかしそれは、ビットコインが金融包摂のような概念を促進しないという意味ではない。金融包摂は、リベラル派の政治家がよく支持するテーマだ。
だから、もしあなたの政治的立場がリベラルなイデオロギーに近いなら、ぜひThe Progressive Bitcoinerという非営利団体の活動や、ジェイソン・マイヤーの『A Progressive’s Case for Bitcoin』をチェックしてほしい。
そして、もしあなたが特定の政治思想に属していないが、ビットコインによって可能になる人権の支持者であるなら、ヒューマン・ライツ・ファウンデーションがFinancial Freedom部門を通じて行っていることについて学び、そのFinancial Freedomニュースレターを購読してほしい。
ビットコインは、政治的な右派と左派のスペクトラム全体にわたるすべての人間のためのツールだ。そして今こそ、このメッセージをもっと広めるべき時だ。