Home記事「アメリカ合衆国はいますぐビットコインを受け入れるべきだ」 サミット「Bitcoin For America」を振り返る

「アメリカ合衆国はいますぐビットコインを受け入れるべきだ」 サミット「Bitcoin For America」を振り返る

Bitcoin Policy Institute(ビットコイン政策研究所)が主催したイベント「Bitcoin For America(ビットコイン・フォー・アメリカ)」の登壇者たちは、アメリカ合衆国がビットコインの導入において主導的立場を取る時が来たとそろって主張した。

本日、ワシントンD.C.に拠点を置くシンクタンク、Bitcoin Policy Institute(BPI:ビットコイン政策研究所)が「Bitcoin For America(ビットコイン・フォー・アメリカ)」サミットを開催した。

このイベントは、トランプ大統領が「Strategic Bitcoin Reserve(SBR:戦略的ビットコイン備蓄)」の設立を目的とする大統領令(EO)に署名し、ホワイトハウスが史上初の「Crypto Summit(暗号資産サミット)」を主催した直後に行なわれた。

「ビットコイン・フォー・アメリカ」。このようなタイトルのイベントであれば、過度に愛国的な色彩が出ることを予想する人もいたかもしれない。しかし、多くの登壇者は、ビットコインは世界全体に利益をもたらすものであり、そのことも一因となって、アメリカこそが導入の先頭に立つべきであると認めた。

BPIのディレクターであるデイビッド・ゼル氏は、開会の挨拶でイベント全体の方向性を示した。

「本日の目標は、この対話をさらに前に進めることであり、ビットコインがいかにアメリカ、ひいては世界全体に利益をもたらすかを理解してもらうことだ」と彼は宣言した。

ゼル氏に続いて、長年ビットコインを支持してきたワイオミング州選出のシンシア・ルミス上院議員(共和党)が登壇し、ビットコイン導入においてアメリカが世界を牽引するのは当然のことだと主張。

「これは本当に“自由のお金(freedom money)”なのです。そして“自由のお金”に関しては、アメリカが先頭に立つべきです」とルミス上院議員は語った。

マイケル・セイラー「ビットコインとアメリカのデジタル覇権」

ストラテジー社のエグゼクティブ・チェアマンであるマイケル・セイラー氏は、ルミス上院議員の意見に賛同し、アメリカがこの分野で主導権を握るべき理由を主張した。

「本日ここに来たのは、戦略的ビットコイン備蓄が21世紀におけるアメリカ合衆国のデジタル覇権を築くための戦略であることを皆さんに示すためだ」とセイラー氏は語り始めた。

彼は、ビットコインをデジタル資産としてとらえる立場から、アメリカはできる限り多くのビットコインを取得すべきであり、そうすることでその資産の上に「貸与やファイナンス」を展開できると主張した。

さらに彼は、今後数兆ドル規模の商取引がビットコインネットワーク上で行なわれるようになると予測し、それもアメリカがネットワーク上で自国のシェアを優先的に確保すべき理由だと述べた。

加えて、ビットコインはアメリカの価値観を体現しており、それを保有することはアメリカに住むことに次ぐ最良の選択肢であるとも主張。

「アジアやアフリカに住むすべての人々は、もし可能であればアメリカに移住するだろう」とセイラー氏は述べた。

続けて、「もしできることなら、彼らは自分の資産をアメリカに移すだろう。彼らはアメリカの通貨を望んでおり、アメリカの安全保障を求めており、アメリカの価値観を欲している。だが、それを手に入れることはできない」と語った。

「だからこそ、彼らにとって次善の策は、アメリカの価値観・保護・安全性を備えたビットコインネットワークに自分の資産を移すことだ」

ヴィヴェック・ラマスワミ「ビットコインの長期リターンは新たなハイリスク投資のハードル・レートだ」

オハイオ州知事候補であり、起業家でもあるヴィヴェック・ラマスワミ氏は、マイケル・セイラー氏の後に登壇。10年以上のスパンでビットコインを保有した場合のリターンが、いまや「ハイリスク投資における新たなハードル・レート(投資判断の基準となる最低利回り)」になっていると主張した。

彼はこの主張の前提として、現在われわれは「資本の希少な時代」に戻りつつあると指摘。そして、それは過去15年間の「資本があふれた時代」とは正反対であるとも述べた。この15年間、FRB(米連邦準備制度)は大規模な量的緩和を行ない、彼の言葉を借りれば「コカインの売人が依存者にコカインをばらまくように」市場に資金を供給してきた。

彼はさらに、これからの時代は、企業や投資機関が再び「自分の資本コストはどれくらいか?」という問いに向き合う必要が出てくると説明。そしてその際、リスクの低い投資と高い投資の両方に対してハードル・レートを定めることが求められるようになる、と語った。

ラマスワミ氏は、リスクの低い投資における基準利回りは10年物米国債であるとし、高リスク投資の基準となるのは、ビットコインを10〜15年保有した場合のリターンになるべきだと主張した。

そして講演の締め括りに、アメリカの精神とビットコインの精神との共通点を指摘し、ビットコインは「アメリカ国旗と同様に希望の象徴である」と語った。

最後にラマスワミ氏は、「ビットコインとその象徴するものは、単なる金融資産としての役割以上に、『アメリカの偉大さとは何だったのか』という記憶を呼び起こし、人々が求めている“象徴”としての空白を埋めるものだ。だからこそ、国家的な文脈において、ビットコインは戦略的備蓄資産として極めてふさわしい存在になると思う」と述べた。

マシュー・パインズ「SBR大統領令を受けて、世界はビットコインに注目し始めている」

BPIのエグゼクティブ・ディレクターであるマシュー・パインズ氏は、現在ビットコインが各国の指導者たちの注目を集め始めている理由をふたつ挙げた。

ひとつ目の理由は、アメリカの債務市場がますます不安定になってきており、それにより世界の指導者たちが米国債とは異なるグローバルな準備資産への投資先を探し始めているからだと、彼は述べた。

ふたつ目の理由は、トランプ大統領による戦略的ビットコイン備蓄(SBR)に関する大統領令が、アメリカ政府としてビットコインを「デジタル・ゴールド(Digital Gold)」とみなしていることを明確に示した点にある。そして、他国の指導者たちもいずれ同様の認識をもつようになるのは時間の問題だと、彼は主張した。

「先週木曜日に発表された大統領令は、世界中の主要な国家元首、中央銀行総裁、財務大臣の机の上に届けられた」とパインズ氏は述べた。

「いま、その内容をどう解釈すべきかについての議論が始まっている。自国とビットコインとの関係性をどうとらえるべきか? 政府というものは素早く動かないが、ひとたび動き始めれば、それは大規模な資本の動員となり、数兆ドルの資本投資すら促し、地政学的な影響をもたらすことができる」と彼は続けた。

そして、「私はいまが分岐点にあると考えている。ビットコインの地政学的側面が極めて重要となり、今後数年間のビットコインの未来を左右しうる局面だ。ビットコインをめぐる競争はすでに始まっており、現在その主導権はわれわれの手にある。この優位を維持できるかが問われている」と締め括った。

ニック・ベギチ下院議員「ビットコイン法案を再提出」

マシュー・パインズ氏の講演終了後、彼はアラスカ州選出のニック・ベギチ下院議員(共和党)をステージに招き、同議員はそこで大きな発表を行なった。

「本日、私はBitcoin Act of 2025(2025年版ビットコイン法案)を米国下院に提出する」とベギチ議員は宣言した。

この法案は、昨年シンシア・ルミス上院議員が提案した法案の改訂版であり、アメリカ合衆国が税金をいっさい使うことなく100万BTCを取得すること、そして米国市民が自らのビットコインを自己保管する権利を保護することを提案している。

「この法案は、個人がビットコインを所有し、保有し、自由に取引する権利を保護するものだ。自己保管は基本的権利として認められるべきだという立場を明確にしている」とベギチ議員は述べた。

ロ・カンナ下院議員「民主党もビットコインを支持すべきだ」

BPIの政策責任者ザック・シャピロ氏が「米国各州が準備資産としてビットコインを保有すべき理由」について簡潔な講演を行なった後、カリフォルニア州選出のロ・カンナ下院議員(民主党)が登壇し、民主党がビットコインを受け入れるべき理由を訴えた。

「ビットコインは超党派であるべきだ」と述べたカンナ議員は、このイベントで登壇した唯一の民主党所属の政治家である。

「これからは、人々がビットコインを手にすることができるようになる。それは、世界中の多くの人々にとって、まさに変革となる。そしてそれこそが、民主党がこの技術を支持すべき理由だ。ビットコインは、アメリカ国内だけでなく、世界中の人々に経済的エンパワーメントをもたらす可能性を秘めている」と彼は続けた。

ジャック・マーラーズ「ビットコインはアメリカの価値観への回帰だ」

CasaのCEOニック・ニューマン氏、Newmarket CapitalのCEOアンドリュー・ホーンズ氏、LightsparkのCSOクリスチャン・カタリーニ氏らによる複数の講演およびパネルセッションが行なわれた後、サミットの最後を飾るスピーカーとして、StrikeのCEOであるジャック・マーラーズ氏が登壇した。

彼の講演タイトルは「戦略的ビットコイン備蓄:アメリカの金融革命」。講演のなかで彼は、戦略的ビットコイン備蓄の創設は「アメリカの価値観、すなわち生命、自由、財産への回帰である」と主張した。

マーラーズ氏は「戦略的ビットコイン備蓄に関する大統領令、そしてルミス上院議員によって提案されたビットコイン法案は、過去100年間にこの国の首都から発せられた経済に関する発表のなかで、もっとも重要で、唯一前向きなものだ」と語った。

さらに彼は、アメリカの経済政策は長らく建国の原則に反する方向に進んできたと述べ、その証拠として以下の3つの歴史的出来事を挙げた。

  • 大統領令6102号:1933年、フランクリン・ルーズベルト大統領による国民からの金(ゴールド)の強制没収。
  • ニクソン・ショック:1971年、リチャード・ニクソン大統領によるドルと金との兌換停止。
  • 2008年の銀行救済措置:金融危機時の大規模なバンク・ベイルアウト(銀行への公的資金投入)。

しかし最後に、マーラーズ氏は希望に満ちたメッセージで講演を締め括った。

「これは、アメリカの歴史における決定的な瞬間であり、この国の経済政策の転換点となる」と彼は語り、こう結んだ。「人類の物語とは、人々がよりよい世界を創造しようとすることだ。それがアメリカであり、そして、それがビットコインだ」。

Author

Frank Corva
Frank Corvahttps://frankcorva.substack.com/
Frank Corvaは、Bitcoin Magazineの政治担当リポーターです。
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