シンガポール拠点のビットコイン・マイニング企業であるBitdeer Technologies Groupは、3億3000万ドル(約520億円)規模の転換社債の発行を開始した。目的は、同社のマイニング事業の強化、ASICマイニング装置(専用ハードウェア)の開発、そしてAIインフラの拡張だ。
この転換社債は2031年満期で、年利4.875%が付与される。投資家は、1株あたり11.84ドルの現在の株価に対して25%のプレミアムとなる1株15.88ドルで、Bitdeer社のクラスA株式へ転換することができる。
今回の社債発行は、米国証券法のRule 144Aに基づき、適格機関投資家を対象としている。発行後13日以内に投資家が追加購入オプションを行使した場合、調達総額は最大で3億7500万ドルに達する可能性がある。
これは、Bitdeerにとって3回目の転換社債による資金調達となる。同社はこれまでに、2024年8月に1億5000万ドル、11月には3億6000万ドルを調達。Bitdeerによれば、今回の社債発行は2025年6月23日に完了する見通しだ。
調達後の純収益は約3億1960万ドルになると見込まれており、そのうち約1億2960万ドルが「ゼロ・ストライク・コール・オプション」(転換による希薄化を抑えるためのデリバティブ取引)に充てられ、3610万ドルは既存の社債との交換に使用される。同社は残る資金をデータセンターの拡張、新型ASICリグの開発、そして一般的な企業運営資金に充てる。
Bitdeerはまた、2029年満期・年利8.50%の転換社債保有者に対して、現金と株式を組み合わせた社債交換を実施。今回の取引では、発行済みの社債7570万ドル相当と引き換えに、3610万ドルの現金および810万株の自社株式が提供される予定だ。
今回の発表は、Bitdeerの事業成長を背景としたものだ。以前報じられた通り、同社は2025年5月に196 BTC(約2100万ドル相当)をマイニングし、自社運営のハッシュレートを13.6EH/sまで拡大した。新型機器「SEALMINER」は、アメリカのテキサス州、ノルウェー、ブータンの各施設に導入されている。また、大規模言語モデル(LLM)を活用したAIクラウドプラットフォームも正式にローンチされた。
「2025年5月、われわれはSEALMINERマイニング・リグの配備をアメリカのテキサス、ノルウェー、ブータンの各拠点で進め、Bitdeerの自社マイニングによるハッシュレートは13.6EH/sに到達した」と、Bitdeerのチーフ・ビジネス・オフィサーであるマット・コン氏は述べている。
資金調達面では、Bitdeerは2024年にTether社から出資を受けており、2025年5月にはMatrix Finance社との間で4000万ドルのデットファシリティ(融資枠)契約を締結している。なお、BitdeerとMatrixの両社は、Bitmain社(世界最大級のマイニング機器メーカー)の共同創業者であるジハン・ウー氏によって率いられている。
現在、Bitdeerの時価総額は23億ドルを超えており、ビットコイン・マイニングおよびAIコンピューティング分野における競争が激化するなか、同社はインフラと技術のスケーリングに向けた投資を継続している。