6月4日(米国時間)、Better Home & Finance Holding Company(NASDAQ:BETR)とCoinbase(NASDAQ:COIN)は、米国で初となる、ビットコインを担保としたファニーメイ保証付き住宅ローンの実行を発表した。両社は今回の実施を、デジタル資産による富と従来型の住宅所有を結び付けるうえでの重要な転換点として位置付けている。
両社によると、この最初の融資を利用したのは、ミシガン州アンアーバー在住の30代前半の夫婦、ジョーさんとエイミーさん。ふたりは保有するビットコインを売却するのではなく、担保として差し入れ、マイホーム購入時の頭金の資金を調達したという。
この夫妻は、Coinbaseのカストディ(資産保管)インフラを通じて暗号資産を担保に差し入れ、Betterから適格住宅ローンを受けることができた。ビットコインを売却しなかったため、キャピタルゲイン税を負担することなく、将来的なビットコインの価格上昇による利益獲得の可能性も維持することができた。
「私たちにとって、マイホームを購入することはずっと目標でしたが、そのために10年間積み上げてきた投資を手放すつもりはありませんでした。この住宅ローンのおかげで、そのどちらかを諦めるという選択を迫られることはありませんでした。マイホームの購入手続きを完了し、しかも私たちのビットコインもそのまま残りました。売却する必要も、市場のタイミングを見計らう必要もありませんでした。マイホーム所有という夢を達成するために、経済的に一からやり直す必要もありませんでした。それは私たちにとって何よりも大きな意味をもつことでした」と、ふたりは語っている。
🇺🇸 米国初、Fannie Mae(連邦住宅抵当協会)裏付けの住宅ローンで、ビットコインを担保活用した住宅購入がCoinbase経由で成立 👀
購入者は「住宅購入を完了できた上に、ビットコインはそのまま残った。売却する必要も、市場のタイミングを計る必要もなかった」とコメント 🙌 pic.twitter.com/nutxhJq8SQ
— Bitcoin Magazine Japan (@BitcoinMagJapan) June 5, 2026
ビットコイン担保型のローン
この住宅ローンの仕組みは、ふたつの別々のローンで構成されている。まず、借り手は物件自体を担保とし、15年または30年の標準的なファニーメイ保証付きの住宅ローンを受ける。次に、ビットコインまたはUSDCを担保として差し入れることで、民間融資による別のローンを利用し、その資金で頭金を支払う。両方のローンには同じ金利と返済期間が適用され、月々の支払いはひとつにまとめられる。
担保として差し入れた暗号資産は、融資期間を通してCoinbase Primeのカストディサービスで管理され、ローンが全額返済された時点で返還される。
重要な点として、この商品には追証(マージンコール)が存在しないことが挙げられる。ビットコインの価格が下落しても、借り手は追加担保を差し入れる必要がない。また、市場価格の変動だけを理由として担保が強制清算されることもない。担保が危険に晒されるのは、借り手が返済を60日以上延滞した場合に限られており、これは従来の住宅ローンにおける標準的な差し押さえ手続きの期間と一致している。
この商品はローンチ当初は、ビットコインとUSDCを対象としており、ビットコインの場合は頭金ローン額の250%、USDCの場合は125%の担保が必要となる。BetterのCEOであるヴィシャル・ガーグ氏は、将来的には担保として利用可能な資産の範囲を拡大し、トークン化された株式、債券などの固定利付資産、その他の不動産関連資産なども対象に加える計画があると説明している。
この商品が解決するマイホーム問題
Betterによると、同社の事前審査を通過した顧客のうち41%は、収入や信用力の面では住宅ローンの利用資格を満たしているものの、従来型の頭金を用意するだけの現金を十分に保有していないという。この問題は、“持ち家”がますます手の届かないものとなるなかで、さらに深刻化している。全米リアルター協会(NAR)によれば、米国における初めて住宅を購入する人の年齢中央値は過去最高の40歳に達し、10年前の32歳から大幅に上昇している。
この住宅ローン商品は、流動性の高い現金や従来型の貯蓄口座ではなく、主にデジタル資産に資産を集中させている顧客層を対象として設計されている。
また、この商品の実現を可能にした規制面での進展に関しては、 2025年6月に連邦住宅金融庁(FHFA)が発表した指令によって一部整備された。その指令では、ファニーメイとフレディマックに対し、総額18.5兆ドル規模の住宅ローン市場においてデジタル資産を適格担保として認めるよう指示された。
この指示が、今回発表された住宅ローン商品のサービス開始のための土台を築いたと言える。