2026年アメリカ準備金近代化法であるH.R. 8957法案の全文が米国議会のウェブサイトで公開され、議員、業界関係者、そして一般市民は、戦略的ビットコイン準備金を連邦法に恒久的に組み込む法案の具体的な仕組みを初めて詳細に確認できるようになった。
この法案は、5月21日にニック・ベギッチ下院議員(共和党/アラスカ州)が提出したもので、共同主導者としてジャレッド・ゴールデン下院議員(民主党/メイン州)が参加し、さらに20名以上の共同提案者が名を連ねている。法案は提出後すぐに下院金融サービス委員会へ付託された。
法案提出時点では、連邦政府が保有するビットコインを財務省の監督下に統合し、ドナルド・トランプ大統領が2025年3月に発令した大統領令を法制化するという大枠はすでに知られていた。しかし、法案の全文が公開されたことで、保管規則、透明性要件、ビットコイン取得に関する制限措置など、大統領令の内容をはるかに超える包括的な制度設計が明らかになった。
法案の中心となるのは、戦略的ビットコイン準備金に預けられたすべてのBTCに対して20年間の保有義務(ロックアップ)を課す規定である。その期間中、保有するビットコインは「売却、交換、競売、担保設定、またはその他のいかなる目的であれ処分を行なってはならない」と定められている。
また、20年間のロックアップ期間は、新たなビットコインが準備金に追加されるたびに、追加分については新たに設定される。そのため、法案で「適格ビットコイン」と定義されている、刑事や民事の没収手続きによって押収されたビットコインは、準備金へ移管されてから20年間は実質的に手を付けることができなくなる。
また、ロックアップ期間の終了後であっても、財務長官は、議会の承認を条件として、2年間の期間内に準備金の10%を超えない範囲でのみ売却を提案することができる。
米国のビットコイン「準備金証明」
また、公開された法案では「Proof of Reserve(準備金証明)」制度の導入も義務付けられており、全保有資産に関して、四半期毎の暗号学的証明の公開、独立した第三者による監査、会計検査院長による監督が求められる。これは、連邦政府の金融プログラムとしては前例のないレベルのオンチェーン透明性を実現するものだ。
政府が取得したビットコイン以外のデジタル資産(例えばイーサリアムやその他の没収された暗号資産)については、別の「デジタル資産備蓄」として保有され、それらの売却益は、ビットコイン準備金制度の拡充、または国家債務の削減に充てられる。
特筆すべき点としては、この法案は政府がビットコインを取得するために、新たな借り入れ、新たな課税、財政赤字支出を利用することを明確に禁止している点が挙げられる。
その代わりに、財務省と商務省に対して、法案成立後180日以内に予算中立的なビットコインの取得方法を共同で調査・検討するよう指示している。検討対象には、ビットコイン以外のデジタル資産備蓄の転換、連邦準備制度からの余剰資金の送金、金(ゴールド)証券の再評価などが含まれる。
さらにこの法案では、州政府が自主的に参加できる制度も設けられており、各州は保有するビットコインを財務省内の分別管理口座に保管できるようになる。一方で、法案は「いかなる条項も、民間が保有するビットコインの押収を認めるものと解釈されてはならない」と明記しており、個人や民間企業のビットコイン保有権を保護している。
この法案は現在、米国下院金融サービス委員会での審議開始を待っている。