上院は米国時間の水曜日、サム・バンクマン=フリードに「いかなる状況でも」大統領による恩赦措置を与えるべきではないとする決議を可決した。FTX創業者がドナルド・トランプ大統領に減刑または恩赦を求めた申請に対する非難となる。
決議S.Res.772は、全会一致の同意によって可決された。どの議員も異議を唱えない場合に決議を採択する手続きだ。決議は、バンクマン=フリードに恩赦も減刑も与えるべきではないという上院の総意を表明し、「法の支配と米国の金融システムの健全性」への同院のコミットメントを確認するものとなっている。
決議に法的拘束力はなく、恩赦を与える大統領の憲法上の権限を制限するものではない。
決議を提出したのは、ワイオミング州選出の共和党上院議員シンシア・ルミス氏と、アリゾナ州選出の民主党上院議員ルベン・ガレゴ氏。両氏は上院銀行委員会のデジタル資産小委員会で、それぞれ共和党と民主党の筆頭を務めている。両氏が決議を提出したのは6月17日で、バンクマン=フリードが司法省に正式な恩赦申請を提出した数日後にあたる。
ルミス氏は議会において暗号資産業界を最も熱心に擁護してきた人物であり、業界が求める法整備に長年取り組んできた。今回の決議では、業界で最も悪名高い人物の1人を刑務所にとどめる動きを主導した。「彼は法廷で裁かれる機会を得た」。ルミス氏はガレゴ氏との提出時にそう述べた。ガレゴ氏の声明は「収監し続けろ(Keep him locked up)」という4語で締めくくられた。
決議文は、バンクマン=フリードに言い渡された25年の量刑が「その犯罪の並外れた規模と計画性、反省の欠如、そして数百万人の被害者に与えた壊滅的な被害を反映している」としている。
バンクマン=フリードによる出所の試み
バンクマン=フリード氏(34)が申請を提出したのは6月8日だった。申請が求めているのは「刑期満了後の恩赦」で、有罪判決自体を消し去るものではないものの、出所後に選挙権や陪審員を務める権利といった公民権を回復させ、資格取得・就労・住居に関する制約を取り除くものとなる。
同氏が釈放の資格を得るのは2044年頃だ。
トランプ氏は1月のインタビューで、バンクマン=フリードを恩赦する意向はないと述べていた。2期目に入ってから同大統領は、バイナンス創業者のチャンポン・ジャオ氏やシルクロード創設者のロス・ウルブリヒト氏といった暗号資産に関係する人物のほか、その他のホワイトカラー犯罪者にも恩赦措置を与えてきた。
陪審は2023年11月、FTXの破綻に関連する7つの罪でバンクマン=フリードに有罪の評決を下した。検察が米史上最大級の金融詐欺の1つと位置づけた事件だ。米国の顧客が失った額は80億ドルを超える。判事は2024年に25年の禁錮刑を言い渡した。
バンクマン=フリードは2つの会社を同時に経営していた。FTXは暗号資産取引所であり、ブローカーと同じように顧客の資金を預かる立場にあって、その資金を使うことは想定されていない。アラメダ・リサーチは同氏が所有するトレーディング会社だった。
同氏はFTXの顧客預かり金のうち数十億ドルをアラメダに移し、アラメダはその資金をトレード、ベンチャー投資、政治献金、バハマの不動産に充てた。FTXのソフトウェアは、他のトレーダーと同様に損失を埋めさせるはずのルールから、アラメダを除外する設計となっていた。
この仕組みが崩れたのは、アラメダのバランスシートが明るみに出て、同社が資産として計上していたものの多くがFTTだったと報じられてからだ。FTTはFTXが自ら作り、意のままに発行できるトークンだった。アラメダを裏付ける担保は、事実上、その姉妹会社が生み出した資産だった。取引所バイナンスは数日のうちにFTTの保有分を売却すると表明し、同トークンの価格は下落した。
顧客は預けた資金の引き出しに動いたが、FTXは資金を返すことができなかった。すでにそこになかったからだ。同取引所は2022年11月11日に破産を申請した。
FTXの疑わしいバランスシートを最初に報じたのはコインデスクだった。