先週、Breez Techは自社の「Nodeless Breez SDK」にWebAssembly(WASM)対応を追加したと発表。ビットコインとライトニングネットワークをブラウザ上で動作させるために、SDKの多くの部分が再構築された。具体的には、ブロックチェーン・データの取得方法の刷新、インメモリデータベースの処理、DNSの解決、異なるプラットフォーム間でのファイルシステム操作の実装など、多岐にわたる改修が行なわれた。
この結果、ライトニング対応ウォレットやアプリケーションが完全にブラウザ内で稼働可能となった。
このニュースを聞いて、多くの人が即座にセキュリティ面の懸念を抱くだろう。実際、筆者自身も「ある程度のまとまった額や資産の大部分をこのようなかたちで保管するのは狂気の沙汰」と断言する立場だ。しかし、誰もが保有するビットコインの一部は「実際に使える」状態でなければならない。
ビットコインが真の金融ネットワークとして成長してゆく未来は、無数のアプリやデバイスをその都度選びつつ用途や取引種類によって右往左往するような姿ではない。貯蓄用と支払い用の棲み分けはあって然るべきだが、インターフェースやアプリ間の相互運用性の面でさらに複雑になってしまうと、一般的なユーザーにとってはハードルが高すぎるのだ。
貯蓄においては、多少の複雑さや手間があっても許容できるかもしれない。しかし、日常で実際に使う場面では、すべてがスムーズで、どこにでも自然に組み込まれている必要がある。もしビットコインが将来の「お金」になるのであれば、それは直感的であり、柔軟であり、「未来を感じさせる体験」でなければならない。
人々は、あらゆる面で利便性を求める。お金についても例外ではない。平均的な人に、20時間かけて複数のデバイスを調べ、いくつものアプリやウォレットを試し、最終的に6つ以上のアプリやハードウェアに資産を分散させるように求めることはできない。
人々がどんなデバイスやアプリを使うにしても、「支払いに使えるビットコイン」へすぐにアクセスできる環境が必要だ。これは自然に実現するものではない。標準化に向けた協力と、派手な見出しにはならない技術的な土台づくりが必要なのだ。
この種の作業において、まさにBreezは素晴らしい成果を挙げてきた。ほかに、Spiralが提供するBDK(Bitcoin Development Kit)やLDK(Lightning Development Kit)といったライブラリも、既存アプリへのビットコインやライトニング機能の統合を支援する代表的な例だ。また、Nostr Wallet Connect(NWC)は相互運用性を実現するための標準のひとつであり、BIP 174におけるPSBT(Partially Signed Bitcoin Transaction)の提案も、Ava Chowによる重要な取り組みだ。このような技術的エネルギーと方向性を、いまこそ加速させる必要がある。
もし、人々が分断された閉鎖的な環境やツール同士を組み合わせるのが困難な体験に直面し続けるならば、ビットコインの普及という目的は達成されないだろう。
ビットコインは、どこにでも、シームレスに、あらゆるものに、組み込まれていなければならない。
本記事は、寄稿者によるコラム「Take」です。記事内に述べられた意見は、完全に筆者個人のものであり、BTC IncやBitcoin Magazineの見解を必ずしも反映するものではありません。