10月22日、ビットコインの価格は10万7000ドル台半ばで推移。VanEck(ヴァンエック)社とスタンダードチャータード銀行の両社のアナリストはさらなる上昇余地があると見ている。
スタンダードチャータード銀行のデジタル資産調査部門のグローバル責任者であるジェフリー・ケンドリック氏は、米中貿易摩擦の再燃などの要因により、ビットコイン価格が短期的に10万ドルを下回る下落局面は「避けられない」と見ている。
しかし、ケンドリック氏はビットコイン価格の下落は一時的なものであり、この価格が買いのチャンスになると考えている。
ケンドリック氏は、金(ゴールド)からビットコインへの資金流入を重要な指標として強調しており、最近の「金を売ってビットコインを買う」動きが市場安定化の兆しとなり、底打ちのサインとなる可能性を指摘した。
ボラティリティが大きいにもかかわらず、ケンドリック氏は強気の姿勢を崩しておらず、年末までにビットコインが20万ドル、2028年までに50万ドルに達するとの予想を維持している。
同氏は投資家に対して、柔軟な姿勢を保ち、10万ドルを下回る局面では買いの準備を整えておくよう助言しており、「ビットコインがこの水準を下回るのはこれが“最後になる”可能性がある」と述べている。
ビットコイン価格の下落は、流動性主導によるサイクル中盤のリセットを示している
VanEckの最新レポート「ChainCheck」によると、10月に見られたビットコインの急落は、弱気相場の始まりではなく、流動性に起因するサイクル中盤の調整を反映しているという。
この資産運用会社は、ビットコインが10月初旬におよそ18%下落した一方で、レバレッジは正常化し、オンチェーン活動は成熟を続けており、法定通貨の価値下落に対するヘッジとして暗号資産のマクロ的な役割が強まっていると強調している。
VanEckのアナリストであるマシュー・シーゲル氏とネイサン・フランコヴィッツ氏は、M2マネーサプライで測定される世界的な流動性が依然としてビットコインの価格変動の半分以上の根拠となっており、ビットコインが「紙幣乱発への対抗資産」としての地位を強化していると指摘。
同社はさらに、アジア市場の取引が世界的なビットコイン価格の動きをリードする傾向が強まっており、最近の下落は、各国の中央銀行が自国通貨を防衛するなかでアジアの流動性が引き締まっていることに関連していると指摘している。
ビットコイン価格の下落がチャンスを生む
投機的なレバレッジは10月初旬にピークを迎え、先物の未決済建玉は520億ドルに達した。その後、連鎖的な清算が発生し、ビットコイン価格は12万5000ドル超から約10万5000ドルまで急落した。
10月中旬時点で、レバレッジ水準は過去レンジの61パーセンタイルまで正常化している。VanEckは、この下落を健全な「デレバレッジ(レバレッジ解消)イベント」と見なし、投機的な過剰資産を解消し、新たな参入機会を生み出すととらえている。
同社は、CMEのような規制市場への機関投資家の参加が増加しており、デリバティブ市場の成熟とビットコインの伝統的金融システムへの統合の拡充を示していると強調している。
オンチェーン活動が示す成熟市場
ビットコインのファンダメンタルズは引き続き強化されている。オンチェーン指標によると活動は着実に拡大しており、一日あたりのアクティブアドレス数は72万2000、総送金額は前月比21%増の860億ドル超に達している。
VanEckはレポートで、ビットコインの長期的な軌道は世界的な流動性の動向と、マクロ経済的なヘッジ資産としての地位の向上に結び付いていると述べている。
同社は、システマティックなエクスポージャーと市場調整局面での機会的な買い増しを賢明な戦略とみなし、モデルポートフォリオにビットコインを1.5%から6%の配分で組み入れている。
ビットコイン価格のボラティリティ
米連邦準備制度理事会(FRB)のクリストファー・ウォラー理事が米国の暗号資産政策の大きな転換を示唆し、「スキニー・マスターアカウント」プログラムを発表したことを受けて、10月21日ビットコイン価格は急騰した。この取り組みにより、対象となるフィンテック企業やデジタル資産関連企業は、従来の銀行を経由することなく、FRBの決済システムに限定的かつ直接的にアクセスできるようになる。
その後、24時間にわたって価格はゆるやかに下落を続けた。
10月初旬、ワシントンの政治的行き詰まりやFRBによる利下げ期待が投資家を代替資産へと駆り立てたため、ビットコイン価格は12万5500ドルを突破し、史上最高値を更新した。
価格は1週間で13%以上上昇。現物ビットコインETFへの資金流入と機関投資家の需要拡大に支えられ、10万9000ドルから12万6000ドル近くまで反発した。市場では、ビットコインの上昇は財政的な不確実性に対する「安全資産」としての反応であると受け止められた。年末までに13万5000ドルから20万ドルに達するとの予測や潜在的な目標値も提示されていた。
この上昇は、ビットコインが季節的にもっとも強い四半期とされる「Uptober(アップトーバー)」のトレンドと一致していた。また、今月は金も記録的な上昇を続けており、中央銀行の買い入れとドル安を背景に、1オンスあたり4381ドルに達した。