米連邦準備制度理事(FRB)のクリストファー・ウォラー理事は、中央銀行が決済の分野において「新時代」に突入していると語った。つまり、分散型金融(DeFi)、分散型台帳(distributed ledgers)、デジタル資産のイノベーションを主流の金融システムの一部として積極的に受け入れる時代だ。
10月21日、ワシントンで開催されたFRB初の決済イノベーション会議(Payments Innovation Conference)で、ウォラー理事は、世界的な決済の在り方を変革する暗号資産革命において、中央銀行は「積極的な役割」を担うつもりだと述べた。
ウォラー理事の発言は、米国の規制当局が暗号資産に対して長年示してきた慎重かつ懐疑的な姿勢からの、極めて顕著な転換を示すものだ。
「DeFi業界はもはや疑念や軽蔑の目で見られてはいない。むしろ今日は、あなた方が米国における決済の未来について、 私たちの本拠地であるこの場でぜひ議論してもらいたい」と、ウォラー理事は参加者に語った。
ウォラー理事によれば、分散型台帳と暗号資産はいまや「決済システムと金融システムの構造に織り込まれている」とのことだ。
🇺🇸 FRB理事が「暗号資産は、ますます決済と金融システムの構造に織り込まれている」と発言。 pic.twitter.com/FQAevA1Wbb
— Bitcoin Magazine Japan (@BitcoinMagJapan) October 22, 2025
同氏はさらに、FRBは新興の金融テクノロジーを従来の銀行インフラと統合する新しいモデルを研究しており、そのなかには、この分野のイノベーターに対して中央銀行へのアクセスを拡大する「決済口座」の新たな枠組みのプロトタイプも含まれていると述べた。
“スキニー”マスターアカウント
ウォラー理事はこの構想を「スキニー・マスターアカウント」と呼び、法的に適格な機関、特にデジタル資産に重点を置くフィンテック企業や決済会社に、連邦準備制度の決済ネットワークへの限定的ではあるが直接的なアクセスを提供することを目的としていると説明した。
これらの口座は利息を支払わず、残高上限が設けられ、当座貸越特権や割引窓口(中央銀行による緊急融資)の利用はできないが、決済特化型の企業は提携銀行を介さずにFRBと直接取引を決済できるようになる。
「この決済口座のコンセプトは、現在は主に第三者の銀行を通じて決済サービスを行なっている、法的に適格な機関に対して、連邦準備制度の基本的な決済サービスを提供することを目的としている。決済のイノベーションは急速に進んでおり、連邦準備制度もそのスピードに追いつく必要がある」と、ウォラー理事は語った。
暗号資産への抵抗から関与へ
ウォラー理事の暗号資産に対する姿勢は、ワシントンにおける大きな政策転換といえる。過去1年間、FRBは暗号資産やステーブルコインの取引に関する制限的な指針をひっそりと撤回してきた。それによって、銀行のデジタル資産市場への参加を阻んでいた障壁が取り除かれつつある。
また、FRBは監督プログラムから「風評リスク」の考慮事項も削除した。これは、暗号資産関連企業の銀行口座閉鎖(デバンキング)を正当化するために使われてきたと、多くの業界関係者から長らく批判されていたツールだ。