2025年ビットコインのこれまでの歩みは、多くの投資家が期待していたような爆発的な強気相場を実現していない。ビットコイン価格は一時10万ドルを超えてピークを付けたものの、その後急落し、一時は7万5000ドルまで下げた。この展開を受けて、現在のビットコイン市場がどのサイクル段階にあるのかについて、投資家やアナリストの間で議論が巻き起こっている。本稿では、そんな市場の雑音を排し、あくまでオンチェーン指標とマクロ経済データに基づいて、ビットコインの強気相場が依然として継続しているのか、それとも2025年第3四半期に向けてより深い調整局面が訪れるのかを検証する。MVRV Zスコア(MVRV Z-Score)、VDD(Value Days Destroyed)、ビットコインの資本フローといった主要な指標は、今後の市場動向を見極めるうえで重要なインサイトを提供している。
2025年のビットコイン調整は健全か、それとも強気相場の終焉か?
2025年のビットコイン・サイクルを評価するうえで有力な出発点となるのが、MVRV Zスコアである。これは、ビットコインの時価総額(Market Value)と実現時価総額(Realized Value)を比較する信頼性の高いオンチェーン指標だ。ビットコインが10万ドルに達したピーク時、MVRV Zスコアは3.36に達した。その後、ビットコイン価格が10万ドルから7万5000ドルへと下落する過程で、このスコアは1.43にまで低下した。つまり、30%の価格下落と指標の調整が明確に連動していたことになる。この価格調整は一見すると不安材料に映るかもしれないが、最新のデータでは、MVRV Zスコアが2025年の安値である1.43から反発していることが確認できる。これは、市場の健全な冷却期間としての調整である可能性を示唆している。

歴史的にみて、MVRV Zスコアが1.43付近まで下落した局面は、ビットコインの強気相場において「天井」ではなく「底値」を示してきた(例えば、2017年と2021年)。こうした調整局面の多くは、その後の上昇トレンド再開に先行して表れる傾向がある。現在の調整も、健全な強気サイクルのダイナミクスと一致している可能性がある。投資家心理は一時的に揺らいでいるものの、今回の動きはビットコインの過去の市場サイクルにみられる典型的なパターンと整合している。
スマートマネーが形成する、2025年のビットコイン強気相場
もうひとつ重要なオンチェーン指標として挙げられるのが、VDDマルチプル(Value Days Destroyed Multiple)である。これは、保有期間の長さに重みづけしたBTCの取引速度を測定するもので、いわば「どのくらいの期間保有されたBTCが、どれだけ動いたか」を示す指標だ。VDDが急上昇する局面は、経験豊富な保有者による利確(利益確定売り)が行なわれていることを意味し、一方でVDDが低水準にある場合は、ビットコインの蓄積(買い増しやホールド)が進んでいることを示している。現在、VDDマルチプルは「グリーンゾーン(安全圏)」にあり、これは過去の弱気相場終盤や強気相場初期の回復期にみられる水準と一致している。

ビットコインが10万ドルから反転下落した後、VDDの低下は利確フェーズの終了を示唆している。このタイミングで、長期保有者が2025年内のさらなる価格上昇を見越してビットコインを蓄積し始めている可能性がある。この傾向をより明確に示しているのが、ビットコイン・サイクル資本フロー(Bitcoin Cycle Capital Flowsチャートである。このチャートは、コインの保有期間(コインエイジ)別に実現資本( 実際に動かされた価値)を分類し、資本の流れを可視化するものだ。ビットコインが約10万6000ドルに達したピーク付近では、保有期間1カ月未満の新規市場参加者による取引活動が急増した。これは「FOMO(取り残されることへの恐怖)」に駆られた買い行動の典型的な兆候といえる。しかしその後、価格調整に入って以降、この層の活動量は強気相場の初期から中盤にかけてみられる通常レベルまで落ち着いている。
一方で、1〜2年の保有歴をもつ投資家層(しばしばマクロ経済の動向に精通した「スマートマネー」とされる層)は活動量を増加させ、より安値での蓄積を進めている。この動きは2020年と2021年のビットコイン市場でみられた蓄積パターンと類似しており、当時も長期保有者が価格下落時に買い増しを行ない、その後の強気相場を後押しした経緯がある。

いまは、2025年ビットコイン市場サイクルのどこにいるのか?
市場全体を俯瞰すると、ビットコインの市場サイクルは以下の3つのフェーズに分類できる。
- ベアフェーズ(Bear phase):ビットコイン価格が70~90%の大幅な調整を受ける局面
- 回復フェーズ(Recovery phase):過去の最高値を再び回復する段階
- ]強気/指数関数フェーズ(Bull/exponential phase):ビットコイン価格が放物線的に急上昇する段階
過去のビットコイン・ベアマーケット(2015年と2018年)はいずれも13〜14カ月続いた。直近のベアマーケットもこれに倣い、14カ月で底を打った。回復フェーズは通常23〜26カ月に及び、現在進行中の2025年のビットコイン・サイクルもこの範囲内に収まっている。ただし、過去の強気相場とは異なり、今回は過去最高値を上抜けた後、すぐに急騰に転じるのではなく価格がいったん反落するという展開をみせている。

今回のビットコイン価格の調整は、「より高い安値(higher low)」を形成する兆しであり、2025年の強気相場における指数関数フェーズへの移行を示している可能性がある。過去のサイクルでは指数関数フェーズはおおよそ9〜11カ月間続いており、それを踏まえると、仮に強気サイクルが再開した場合、ビットコイン価格のピークは2025年9月頃になる可能性がある。
2025年第3四半期のビットコイン価格に影響を与えるマクロ経済リスク
オンチェーン指標が強気を示す一方で、マクロ経済環境の逆風は2025年のビットコイン価格にとってリスクとなりうる。「S&P500対ビットコイン相関チャート」によれば、ビットコインは依然として米国株式市場、とりわけS&P500と高い相関関係にあることが示されている。現在、世界的な景気後退懸念が高まっており、伝統的な金融市場の弱さがビットコインの短期的な上昇ポテンシャルに制限をかける可能性がある。

これらのマクロ経済リスクを注視することは極めて重要である。なぜなら、株式市場が悪化した場合、たとえオンチェーンデータが引き続き強気を示していたとしても、2025年第3四半期により深いビットコインの調整が引き起こされる可能性があるからだ。
結論:2025年第3四半期のビットコイン展望
MVRV Zスコア、VDD、ビットコイン・サイクル資本フローといった主要なオンチェーン指標は、ビットコイン市場の健全かつサイクルに則った動き、そして長期保有者による蓄積が進んでいることを示している。今回のサイクルは、過去の強気相場と比較してペースが遅く、動きにもバラつきがみられるものの、全体的な構造としては歴史的なビットコイン市場サイクルと一致している。もしマクロ経済の環境が安定するならば、ビットコインはもう一段の上昇局面を迎える可能性があり、そのピークは2025年第3四半期から第4四半期にかけて訪れると予測される。
ただし、株式市場のボラティリティや景気後退への懸念といったマクロ経済リスクは、依然として無視できない重要な要因といえる。
より詳しい分析については、以下のYouTube動画「Where We Are In This Bitcoin Cycle」にて視聴可能。
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免責事項:本記事は情報提供のみを目的としており、金融アドバイスを意図するものではありません。投資を行なう前に必ずご自身でリサーチを行なってください。