スイスのツーク市にあるスーパーマーケットSPARは、ビットコインによる決済の受け入れを開始した。この動きは、スイスにおけるビットコイン導入の先進的な取り組みのなかでも、さらに一歩前進した事例として注目を集めている。決済にはDFX Swiss社が提供する「OpenCryptoPay」ソリューションを通じてライトニングネットワークを利用、これにより即時決済が可能となる。
店舗のあるツーク市は「クリプト・バレー(Crypto Valley)」とも呼ばれ、スイスによる積極的なテクノロジー採用の姿勢を象徴する地域。スイスはビットコイン導入を推進する世界的なリーダー国のひとつであり、ツーク市やルガーノ市といった都市が日常生活におけるビットコイン統合を推進している。
特にルガーノ市では、「Plan ₿」と呼ばれる政策により、ビットコインを事実上の法定通貨として扱う取り組みが進められている。ミケーレ・フォレッティ市長の全面支援もあって、この計画は、税金や公共サービスの支払い、市内の数百の加盟店舗でのビットコイン決済をすでに可能にしている。また、ルガーノ市はステーブルコインのTether(テザー)との提携を通じて、技術教育センターやスタートアップ支援ファンドも設立している。
「このSPAR店舗は、LNURL(ライトニングネットワーク上の支払いリンク)を使って、レジで直接ビットコイン決済ができるスイス初のスーパーマーケットのひとつ」と、DFX Swiss社は発表している。今回の導入事例は、世界48カ国で1万3900店以上を展開し、一日あたりの顧客数が約1470万人に上るSPARグループ全体での展開の布石となる可能性がある。
スイス・ビットコイン協会(Bitcoin Association Switzerland)のディレクターであるラヒム・タギザデガン(Rahim Taghizadegan)氏は、このシステムの使いやすさを「静的なQRコードをスキャンしてサッと送金するだけ。レジでの登録もすぐに簡単にできる」と説明する。直感的でユーザーフレンドリーなアプローチは、日常生活でのビットコイン利用を可能にしようとするスイスのビジョンと合致している。
同国のビットコインに寛容な姿勢は、多くのビットコインおよび暗号資産関連の企業やプロジェクトを引き寄せている。伝統的な金融機関によるビットコインの受け入れが拡大していることにも支えられて、ツーク市やルガーノ市にとどまらず、国内の他都市でも類似の取り組みが進行中だ。
SPARによる導入は、こうした国内の潮流の上に築かれており、すでにビットコイン決済を採用している小売業者や他業種企業の仲間入りを果たしたかたちだ。このような動きは、小売業界全体への波及効果をもつもので、スイスがビットコインと従来の金融・商取引の統合においてモデルケースとなっていることを再確認させるものだ。