アブダビの政府系ファンド、ムバダラ・インベストメント・カンパニー(Mubadala Investment Company)が、ビットコイン市場における「牙城」を築きつつある。
最新の開示資料によれば、同ファンドが保有するブラックロックのビットコイン現物ETF「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」は、2025年12月31日時点で1,270万株、評価額にして約6億3,060万ドルに達した。これは同年9月末時点の870万株から46%もの急増を意味する。
運用資産残高が3,300億ドルを超えるムバダラは、テクノロジーからヘルスケア、インフラに至るまで、広範なグローバル・ポートフォリオを構築している。彼らの至上命題は、アブダビ政府のために持続可能な収益を生み出し、石油依存からの経済多角化を成し遂げることだ。そのポートフォリオの一角に、ビットコインが不可欠なピースとして組み込まれた事実は重い。
また、同じくアブダビを拠点とするアル・ワルダ・インベストメンツ(Al Warda Investments)も、2025年第4四半期にIBITの保有量を822万株まで積み増した。ムバダラ傘下の投資評議会の一部門である同社は、伝統的にプライベート投資を好むことで知られる。その彼らが、パブリックなETFを通じてビットコインへの配分を加速させている点は、この地域における戦略的転換を如実に物語っている。
総じて、アブダビの投資機関が保有するIBITは、昨年末時点で計2,000万株を超えた。その価値は11億ドル(約1,600億円)を優に上回る。
JUST IN: Abu Dhabi sovereign wealth fund Mubadala reported owning $630.6 million of BlackRock’s spot #Bitcoin ETF 🇦🇪 pic.twitter.com/4oE7xZhZdc
— Bitcoin Magazine (@BitcoinMagazine) February 17, 2026
巨鯨たちが群がるIBITのエクスポージャー
ビットコインを飲み込もうとしているのは、中東のオイルマネーだけではない。
マーケットメイカーの雄、ジェーン・ストリート(Jane Street)は、2025年第4四半期にIBITを約710万株買い増し、保有総額を2,031万株(評価額7億9,000万ドル)へと押し上げた。これに呼応するように、ブラックロック自身やモルガン・スタンレーも、それぞれ237万株以上のポジションを積み増している。
特筆すべきはゴールドマン・サックスの豹変だ。かつての懐疑論をかなぐり捨て、今やIBITの11億ドル相当のポジションを含む、計23.6億ドルのクリプト・エクスポージャーを開示している。SECへの提出書類からは、フィデリティのビットコイン基金や関連企業、さらにはイーサリアム(ETH)、XRP、ソラナ(SOL)への関心も透けて見える。
国家や教育機関の動向も無視できない。テキサス州は昨年11月、米国の州として初めて「戦略的備蓄」目的でビットコイン(IBIT)を購入した。自己カストディへの移行を前提とした、500万ドル規模の布石である。一方で、ハーバード大学の基金は第4四半期にビットコイン保有量を21%削減する一方、ブラックロックのイーサリアムETFに8,680万ドルの新規ポジションを構築した。
かつて「魔法のインターネットマネー」と揶揄された資産は、今や国家の備蓄資産となり、世界最大級の機関投資家たちがそのパイを奪い合う主戦場へと変貌を遂げた。この奔流に、抗う術はない。