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ビットコイナーは「GENIUS法案」に注目すべきだ

「GENIUS法案」はステーブルコインに焦点を当てた規制案だ。しかし、この法案が実際に法律として成立した場合、米国市民がビットコインをプライベートで使用することにも影響を及ぼす可能性がある。

GENIUS法案(正式名称:Giving Everyone a New Investment in the US Act)は名目上ステーブルコインに関する法案だが、米国内のビットコイン支持者にとっても看過できない内容を含んでいる。特に、暗号資産(ビットコインを含む)をプライベートに取引する権利にかかわる条項については、細心の注意を払うべきだ。

最近、米上院銀行委員会の民主党議員の間で共有されたふたつの内部文書によって、民主党側がGENIUS法案に修正を加えようとしていることが明らかになった。この修正案は、暗号資産取引におけるユーザーのプライバシーを大幅に制限する可能性を孕んでいる。

上院民主党によるGENIUS法案分析

問題となっている文書のひとつは、「GENIUS法案の最新版草案に関する銀行委員会民主党スタッフ分析」と題された2ページのメモである。

この文書は、上院銀行委員会の筆頭委員であるエリザベス・ウォーレン上院議員(民主党/マサチューセッツ州選出)に典型的にみられるようなレトリックに満ちている。

文書内では、ステーブルコインについて「不正資金のためのツール」として言及されている(しかし、最大手のステーブルコイン発行企業であるテザー(Tether)は、米司法省(DoJ)や連邦捜査局(FBI)と連携し、不正利用の阻止に積極的に取り組んでいる事実がある)

また、文書は現行のGENIUS法案の内容についても、「暗号資産ミキサー(取引の匿名性を高める技術)に対し、不正資金の防止に向けた基本的義務すら課していない」として、批判的に評価している。

GENIUS法案に関する民主党側の分析を抜粋した文書の一部。

画像内の文章:

新たな修正点の多くは、消費者保護や国家安全保障を危険に晒す重大な欠陥を覆い隠すための表面的なものである。

  • 最新の草案には、消費者保護法の存在を再確認する条項が含まれているが、それらの法律がステーブルコインの取引に実際に適用されるかどうか、あるいは消費者金融保護局(CFPB)がステーブルコイン市場を監督しているかどうかについては明確にしていない。そのため、ステーブルコインを利用する際には、Venmoや銀行口座を使うよりも消費者保護が弱くなる可能性がある。
  • ステーブルコインに対して、まるで政府が裏付けているかのような誤解を招く名称の使用を禁止するかのようにみえるが、「USD」という略語の使用を、トランプ陣営のUSD1や他の主要なステーブルコインのほぼすべてに対して都合よく除外している。
  • 発行者が破綻した場合に顧客が被る損害についての調査を義務付けているが、その損害に対する対策は何も盛り込まれていない。
  • (ハイライト部分)暗号資産ミキサーによるテロ行為および制裁リスク(すでによく知られている)に関する調査を義務付ける条項が含まれているが、そうした事業者に対し、不正資金対策に向けた基本的義務を課す内容は何も含まれていない。
  • 既存の制裁権限を再確認する条項が含まれているが、財務省が懸念している問題、すなわちテロリストがドルからドル連動型ステーブルコインに切り替えることで現行法の制裁を回避できてしまう点については何ら対応していない。

 

この法案に対する後半の批判は、2025年4月7日にトッド・ブランシュ司法副長官(DAG)が発表した覚書の内容と真っ向から対立するものだ。ブランシュ副長官は覚書の中で、「今後、米司法省(DoJ)は暗号資産ミキシングサービスを利用者の行為によって一律に摘発することはしない」と明言していた。

しかし、今回の文書において上院の民主党議員たちは、暗号資産ミキサー技術そのものを今後も標的にし続ける意向を示している。

もし、GENIUS法案の改訂版に暗号資産ミキサーの利用に関する取り締まり強化が盛り込まれる場合、プライバシー保護の目的でミキシング技術を活用しているビットコイン・ユーザーにも影響を及ぼす可能性がある。

 

民主党発、GENIUS法案への反対書簡

さらに今週5月19日、上院銀行委員会の民主党側はもうひとつの文書を流通させた。

この文書は、46のアドボカシー団体(政策提言団体)が署名した書簡で、GENIUS法案に明確に反対する立場を示している。

書簡の一部は、「Punchbowl News」のブレンダン・ペダーセン記者がX上で公開している。

書簡の作成者たちは、GENIUS法案が不正資金対策として不十分であると主張。その理由のひとつとして挙げられているのが、「本人確認(KYC)要件を備えていないセルフホステッド・ウォレット(自己管理型ウォレット)」の使用が依然として認められている点だ。

GENIUS法案に反対する書簡の一節。非カストディアル型ウォレットとKYC要件に言及している部分。

画像内の文章:

たとえこの法案に強固な利益相反対策が盛り込まれていたとしても、現政権下における連邦銀行・証券・取引委員会の指導部が十分な監督権限を行使する可能性は極めて低い。これは、暗号資産業界およびトランプ政権との関係者への迎合、あるいはその影響力に対する恐れが理由である。トランプ氏のビジネス帝国に独立した監督権限を行使しようとする規制当局が、長期間その地位にとどまれるとは考えがたい。

(ハイライト部分)GENIUS法案は、ステーブルコインが不正資金の流通において果たしている重要な役割に適切に対応できていない。

ステーブルコイン発行者を銀行秘密法(BSA)に基づく「指定金融機関」とする条項は、暗号資産発行者に対する現状維持を追認するにすぎない。

本法案は、ステーブルコインが暗号資産取引所などで使用される際のBSAにおけるカバレッジの重大な欠落を解消できていない。

KYC(本人確認)要件のないセルフホステッド・ウォレットや、その他の暗号資産市場に関する対策も盛り込まれていない。

さらに、テザーのように不正な金融活動と関連するオフショア拠点のステーブルコイン発行者をより高いコンプライアンス水準に引き上げる目的とされた条項も、深刻な不備を抱えている。法案が成立しても、米国で運営される暗号資産プラットフォームがテザーを取引可能な資産として扱うことは引き続き可能であり、テザー側はこの法案の規制を巧みに回避する手段を見つけ出すであろう。


仮にGENIUS法案が改訂され、ステーブルコインと接触するすべてのウォレット(セルフカストディ型(自己管理型)ウォレットも含めて)にKYC義務を課す内容が盛り込まれた場合、同様の規制がビットコイン・ウォレットにも波及するのは時間の問題と考えられる。

 

ビットコイン取引のプライバシーが危機に晒されている

GENIUS法案がビットコインに直接言及していないからといって、ビットコインが無関係であるとは限らない。

もし、上院民主党が主張する方向で法案が修正され、暗号資産ミキサーが法的ターゲットとなったり、ステーブルコインとかかわるすべてのウォレットにKYC義務が課されたりすれば、その法案が成立した時点で、プライバシーを重視した暗号資産取引は犯罪とみなされかねない。

たとえステーブルコインに否定的な立場のビットコイナーであっても、その多くは「プライバシーの否定」には同意しないはずだ。もし、今後のGENIUS法案改訂版に取引のプライバシーを制限する内容が含まれるのであれば、ビットコインユーザーは自らの選挙区の議員に「反対票」を投じるよう働きかけるべきだ。

Author

Frank Corva
Frank Corvahttps://frankcorva.substack.com/
Frank Corvaは、Bitcoin Magazineの政治担当リポーターです。
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