1月8日(米国時間)、ビットコインは9万ドル近辺で取引されており、数日間9万2000ドルを上回って推移した後、下落基調が続いている。ドナルド・トランプ大統領による世界的な関税導入の合法性をめぐり、早ければ9日金曜日にも下される可能性のある米国最高裁判所の判決を前に、ビットコイン市場は新たなマクロ経済の試練に直面している。
この訴訟の焦点は、通常は国家非常事態下での制裁に用いられる1977年制定の国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき、2025年初頭に課された関税にある。
トランプ大統領は同法を根拠に、「解放記念日(Liberation Day)」関税として世界中からの輸入品に10〜50%の関税を課すとともに、フェンタニル密輸への懸念を理由に中国、カナダ、メキシコを標的とした関税も正当化した。
トランプ政権は、慢性的な貿易赤字と国家安全保障上のリスクが非常事態の基準を満たしていると主張した。
しかし、下級裁判所はこれに異議を唱えた。米国国際貿易裁判所と連邦控訴裁判所はいずれも、関税に関する主たる権限は議会にあるとして、トランプ大統領が権限を逸脱したとの判断を下した。
最高裁は11月に口頭弁論を行ない、イデオロギーを超えて懐疑的な見解が表明された。最高裁は判決を事前に公表することはないものの、1月9日に判決が言い渡される可能性が示唆されている。
関税が無効と判断された場合、経済面での影響は甚大となる可能性がある。ロイター通信は、1335億ドルを超える関税が還付対象となる可能性があると報じており、還付の時期、財政への影響、代替政策をめぐる問題が浮上している。
トランプ大統領は関税によっておよそ6000億ドルの歳入がもたらされたと主張しており、この数字が還付金や米財務省の資金調達をめぐる市場の不安を形成している。
判決がビットコインに与える影響
すべてのトレーダーがこの状況を注視しているのは、関税がビットコインのネットワークに直接影響を与えるからではなく、あらゆる市場におけるマクロショックがしばしばリスク資産全体に波及するからだ。過去の貿易摩擦の激化局面では、流動性が逼迫しリスク選好が後退するなかで、ビットコインは株式とともに売られる傾向があった。
SNS上では警告の声が強まっている。人気トレーダーのWimar.Xは9日金曜日を「2026年最悪の日」と呼び、否定的な判決が出れば、市場は還付義務、緊急政策対応、そして、報復リスクを同時に織り込まざるをえなくなると主張し、「それは明確化ではなく、混沌だ」と記している。
予測市場もこうした懸念を反映している。
Polymarketでは、裁判所が関税を無効とする可能性が非常に高い(76%)と予想されており、トレーダーが下落リスクを過小評価していると見ている。しかし、持続的な下落を予想しない向きも存在する。
ビットコインにとって、短期的なリスクは方向性ではなくボラティリティに結び付いているように見える。この資産は、金利、株式、ドルの流動性の変化に依然として敏感だ。特にビットコインが9万4000ドルから9万5000ドル付近の主要なレジスタンスラインを下回っている状況では、急激なリスクオフの動きがあれば、価格を押し下げる可能性がある。一方で、不確実性を軽減する判決が出れば、一時的な安心感から上昇する可能性もある。
より大きな問題は、ニュースの見出しひとつでビットコインが急落するかどうかではなく、裁判所の判決がビットコインを取り巻くマクロ的な環境を変えるかどうかにある。