ミシガン州議会のマット・マドック議員が、州職員の給与支払いにビットコインを含むデジタル資産を選択肢として加える法案を提出した。支持者たちが「州の給与システムとビットコインを統合する史上初の試み」と評するこの動きは、単なる決済手段の追加に留まらない、重い意味を持つ。
この法案が可決されれば、2027年1月1日以降、州職員は3つの受取方法から自身に最適なものを選べるようになる。対面での現金給付、従来の銀行振込、そして職員が自ら指定するデジタル通貨による支払いだ。
CBDCを排除し、ビットコインを「必須」に
「Bitcoin Magazine」が確認した法案によれば、州政府は少なくとも6種類のデジタル通貨を提示する義務を負い、その筆頭にはビットコインが明記されている。
特筆すべきは、政府や中央銀行が発行・管理し、その供給を支配するデジタル通貨(CBDC)の利用を明確に禁じている点だ。中央集権的な監視のツールになり得るCBDCを拒絶し、個人の主権を重んじる。マドック議員のこの決断には、ビットコインの本質である「自由」への理解が透けて見える。
ミシガン州をデジタル資産採用のリーダーへと押し上げる――。マドック議員は、この措置が公務員の金融における選択肢を広げるための不可欠なステップであると説く。
🇺🇸 米ミシガン州の州下院議員 Matt Maddock が、州公務員の給与をビットコインを含むデジタル通貨で受け取れるようにする法案を提出。
6種類以上の選択肢を義務付け、国家・中央銀行管理型のデジタル通貨は禁止としています 👏
(詳細は画像ALTにて) pic.twitter.com/xWfVy6jGwa
— Bitcoin Magazine Japan (@BitcoinMagJapan) February 24, 2026
加速する「プロ・ビットコイン」の波
開発の背景には、ビットコインの教育と政策提言を推進する「ミシガン・ビットコイン・トレード・カウンシル」の尽力がある。もし法案が成立すれば、ミシガン州は政府職員の賃金としてビットコインを正式に認める、全米でも極めて稀な先例となるだろう。
民間企業ではデジタル資産による支払いの試行が広がっているが、州レベルでの給与システム統合は依然として未開の領域だ。しかし、ミシガン州の野心は給与支払いだけに留まらない。現在、一連の「プロ・ビットコイン法案」が同時並行で進んでいる。
-
HB 4511: 州や地方自治体によるビットコインの所有・使用の禁止を不当とする「デジタル資産権利章典」。
-
HB 4510: 年金基金による大型デジタル資産への投資枠組みの構築。
-
HB 4512・4513: 廃坑となった石油・ガス井を活用したビットコイン・マイニングへのインセンティブ付与。
これらは、ビットコインを州の経済エコシステムに深く根付かせるための、多角的な攻勢である。
もちろん、実務上の課題は残る。カストディ(保管)や価格変動リスクの管理といった運用面の詳細は、法案成立後に財務省などの行政機関へ委ねられることになる。マドック議員は現在、法案の正式な審議入りを前に、超党派の支持を取り付けるべく奔走している。
米各州に広がる「ビットコイン・スタンダード」
連邦政府が依然として明確な指針を欠く中、各州の動きは加速の一途を辿っている。
先週、ミズーリ州ではベン・キースリー議員により、州がビットコインをコールドストレージで5年以上保有することを可能にする「ビットコイン戦略準備基金」の設立法案が提出された。また、2025年5月にはニューハンプシャー州が、州資金の最大10%を時価総額5000億ドル以上のデジタル資産や貴金属に割り当てる権限を財務官に付与している。
アリゾナやテキサスもまた、独自のビットコイン準備枠組みの構築へと舵を切った。
通貨の主権を、国家から個人の手に取り戻す。ミシガン州の挑戦は、全米、そして世界へと波及する巨大なうねりの序章に過ぎない。