ビットコインは史上最高値となる約12万6000ドルを記録して以降、その価値の50%以上を失っており、市場は現在、テクニカルアナリストが次の大きな値動きを左右する可能性があると指摘するサポートレベルで緊迫した膠着状態に陥っている。
ビットコインはここ数カ月で3度目となる5万8000~6万ドルの価格レンジを試している。この水準は、チャート分析を行なう市場関係者が極めて重要と指摘する価格帯だ。この価格帯を下回ると、次の有力なサポートラインは4万ドル台前半に位置しており、そこまで下落すれば、ビットコインは過去におけるもっとも深刻な下落局面に匹敵するドローダウンに陥ることになる。
今回の売り浴びせは急速かつ的確だった。ビットコインは上昇を試みたものの、200日移動平均線に真正面から阻まれた。この価格水準は、ほぼ完璧なレジスタンス(上値抵抗線)として機能し、その結果、そこから約30%の下落を引き起こした。この値動きにより、ビットコインは明確な下降トレンドに入っている。しかし一方で、いくつかのテクニカル指標は弱気派に対する警戒シグナルを発し始めている。
CNBCの番組「Squawk Box」に出演したFairlead Strategies社の創設者兼マネージング・パートナーであるケイティ・ストックトン氏は、「私たちは相場が安定することを期待しています。理想的には、このレンジ内で安定してほしい。なぜなら、ここは重要なフィボナッチ・リトレースメントの水準だからです。この水準を下回ると、完全なリトレースメント(価格上昇分をほぼすべて失う下落)に至ることが少なくありません」と語った。
ストックトン氏は、ビットコインが長期にわたって「売られ過ぎ」の状態にあり、過去のパターンに照らすと、このような状態が続いた後には相場の勢いが転換する傾向があると指摘した。ただし、これは底打ちが確定したことを意味するものではなく、サポートラインが維持されていると確信するには、2~3週間にわたって価格が安定して推移するのを確認したいとした。
6万ドルという価格水準は、フィボナッチ分析だけでは説明できない重要性をもっている。この価格は心理的な節目でもあり、これまで幾度もの相場の局面で、買い手と売り手が激しく攻防を繰り広げてきた水準でもある。もしこの水準を明確に下抜ければ、個人投資家と機関投資家の双方が抱いている市場への信頼感が失われることになる。
ビットコイン価格の80%下落
ビットコイン強気派のなかには、今回のサイクルは過去の暴落とは構造的に異なると主張する者もいる。現物ビットコインETF(上場投資信託)の存在、機関投資家による採用の拡大、そして、社会全体での受け入れが進んでいることから、これまでの弱気相場で見られた80%を超える暴落に比べれば、今回の下落幅は限定的なものになる可能性があるというのだ。しかし、ストックトン氏はその見方には納得していない。
彼女は、「いまでも75~80%の下落は十分に起こりうると思っています。しかし、テクニカル分析を行なう立場から言えば、私は、そのようなボラティリティはむしろチャンスだと考えています」と語った。
この見方は、ビットコイン取引の根底にある緊張関係を浮き彫りにしている。つまり、投資家が「こうしたい」と言うことと、実際に価格が下落したときにとる行動との間には大きなギャップがあるということだ。価格が12万5000ドルだったとき、多くの買い手は「高すぎて買えない」と感じていた。しかし、価格が6万ドルまで下落すると、同じ買い手が今度は購入に踏み切るのをためらうというわけだ。
ストックトン氏は、市場心理は合理的な蓄積(買い増し)行動とは相反するものだと指摘した。
また、多くのビットコイン・トレーダーが絶対視している4年ごとの半減期サイクルについて問われると、ストックトン氏は、そのパターンを信頼するにはサンプル数が少なすぎるとの見解を示した。彼女は自身について「とても、とても長期的な観点ではビットコイン強気派」と述べる一方で、短期的には、トレンドフォロー型の分析手法を用いたリスク管理のほうが、より信頼できるアプローチであると主張した。
現状、ビットコインは重要な岐路に立たされている。今後数週間は、機関投資家向けの市場インフラと長期的な需要が、現在の重要なサポートラインを維持するのに十分かどうかが試されることになる。もしこのラインが崩れれば、その先に位置する次のサポートラインまで大きく下落することになる。
