BTC価格は米国時間の水曜日(11月4日)朝、7万9,200ドル近辺で取引され、同日は約2%高となった。火曜日(11月3日)の中間選挙で民主党が下院と上院の両方で主導権を握り、暗号資産業界にとって2022年以来、ワシントンで最悪の一夜となったあとのことだ。
AP通信は火曜日深夜に上院、水曜日未明に下院で民主党の勝利を判定した。下院少数党院内総務のハキーム・ジェフリーズ氏が、下院議長に就く見通しだ。結果は大半の予想を上回った。水曜日朝の時点で、AP通信の集計では上院の議席は民主党54、共和党44で、なお決着していない選挙戦が残っていた。
予測市場は数週間にわたり、民主党が下院を制する確率を90%超としていたが、上院での議席差と、下院で暗号資産業界に友好的な共和党議員が複数議席を失ったことは予想外だった。
BTC価格の反応は2段階だった。アジアの取引時間帯に開票結果が伝わるなか、BTCは7週間ぶりの安値となる7万5,618ドルまで下落し、その後、欧州の取引開始までに下げ幅をすべて取り戻し、さらに上昇した。
トレーダーはおおむね、民主党による上下両院の制覇を、衝撃ではなく既知のリスクの解消として受け止めた。予測市場は数週間前から民主党の勝利を織り込んでおり、オプションデスクでは投票日にコールの買いが膨らみ、ブロック取引の出来高は前の取引セッションの2倍を超えた。
デスクの見方では、民主党主導の議会は暗号資産関連の立法に友好的ではないものの、分割政府、大統領の拒否権、大統領令によって政策が変わり得る幅には上限がある。そのため、次の試金石として8万2,000ドル近辺のテクニカル上の目標が残るという。
弱点は依然として需要だ。米国の現物ビットコインETFからは3営業日で約11億6,000万ドルが流出した。価格は1年前の水準をなお約27%下回り、投票の1週間前の約8万500ドルからも下げている。
ビットコインと 暗号資産業界が 失った 選挙戦
業界のスーパーPAC(特別政治活動委員会)は今回の選挙サイクルで1億7,000万ドル超を支出し、その大半は共和党向けだったが、看板となる賭けは外れた。シェロッド・ブラウン氏は、同氏の当選阻止を狙って約6,400万ドルの暗号資産マネーが投じられたにもかかわらず、オハイオ州の上院特別選挙でジョン・ハステッド上院議員を破り、上院の議席を取り戻した。この額は、業界が1人の候補者に対して投じた額として過去最大だ。
ブラウン氏は2024年に落選するまで上院銀行委員会の委員長を務め、その在任中、市場構造法案に抵抗してきた。上院の先任順位のルールにより、委員長職への復帰の道は限られる可能性があるが、同氏は自らの党が主導権を握る上院へ戻る。
業界が頼りにしていた下院共和党議員3人が議席を失った。ウィスコンシン州のブライアン・スタイル氏は救急救命室(ER)の看護師ミッチェル・バーマン氏に敗れ、アイオワ州のザック・ナン氏、ミズーリ州のアン・ワグナー氏も落選した。Stand With Cryptoはスタイル、ナン両氏を推薦し、両氏に広告資金を振り向けていた。ニューヨーク州のマイク・ローラー氏は、勝敗が判定されていない段階で、民主党のケイト・コンリー氏に敗北を認めた。下院金融サービス委員会のフレンチ・ヒル委員長はアーカンソー州の議席を守ったとみられるが、委員長職はマキシン・ウォーターズ下院議員に引き継ぐことになる。
ビットコイン支持の タラリコ氏、 テキサス州で 勝利
この夜には、ビットコイン支持派が自分たちの成果だと主張するであろう結果が1つあった。テキサス州で民主党のジェームズ・タラリコ氏が、約55%の得票でケン・パクストン氏を破った。同州で民主党が州全体の選挙に勝つのは1994年以来、上院選に勝つのは1988年以来となる。
タラリコ氏は州下院議員として、テキサス州戦略的ビットコイン準備金を創設した法案SB 21に、2025年に州下院で2度可決された際、いずれも賛成票を投じた。ケンタッキー州では、業界と近い立場にあるアンディ・バー下院議員が、ミッチ・マコネル氏が退く上院議席を獲得し、ネブラスカ州ではピート・リケッツ上院議員が議席を守った。
ストラテジー社のマイケル・セイラー会長は米国時間の水曜日、「ビットコインを保有する理由は党派の垣根を越える」と述べた。同氏は、フロリダ州で共和党のバイロン・ドナルズ氏が選ばれたことと、テキサス州で民主党のジェームズ・タラリコ氏が選ばれたことを挙げた。ドナルズ氏は連邦下院議員として、米国の戦略的ビットコイン準備金を法制化する法案を提出し、タラリコ氏は州下院議員として、テキサス州戦略的ビットコイン準備金を創設した2025年の法案に賛成票を投じた。
「速報:マイケル・セイラー氏『フロリダ州は、米国のビットコイン準備金を支持した共和党の知事を選んだ。テキサス州は、自州にビットコイン準備金を創設することに賛成票を投じた民主党の上院議員を選んだ』 🇺🇸 『ビットコインを保有する理由は党派の垣根を越える』 👏」
民主党主導の 議会が 意味する もの
理屈の上では、最初の犠牲になるのはCLARITY法案だ。市場構造法案である同法案は、2025年7月に294対134で下院を通過したが、9月15日の上院の討論終結(クローチャー)投票では49対50で可決に至らなかった。1月3日に新議会が招集される前に議会が可決しなければ、同法案は廃案となる。TDコーエンのジャレット・サイバーグ氏は火曜日、民主党が上下両院を制すれば、今後2年間は市場構造に関する法律が成立しないことを意味すると書いた。
CLARITY法案の交渉担当者の1人であるアンジェラ・アルソブルックス上院議員は、レームダック会期での採決はなお可能だと述べている。このため、今後8週間が、現行の文案をめぐる業界にとって最後の機会となる。
次に変わるのは委員会の主導権だ。上院銀行委員会では、この法案に反対してきたエリザベス・ウォーレン上院議員が委員長に就く見通しだ。ウォーターズ氏は下院金融サービス委員会に返り咲く。
次期下院監視委員会委員長のロバート・ガルシア氏は「LAWYER UP(弁護士を用意しておけ)」とだけ投稿した。民主党は、トランプ一族の暗号資産事業、バイナンス創業者チャンポン・ジャオ氏への恩赦、各当局の業界への対応を調べる意向を示しており、その対象は先週のバイナンスへの63億4,000万ドルのハッキングを受けて広がった。
上院の主導権を握ったことで、民主党は米証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の人事にも関与できるようになる。両委員会では、トランプ大統領が指名人事を進めるには、今後、少数党側の委員枠を埋めなければならない。これが重要なのは、5月のCFTCによるビットコイン・パーペチュアル先物の承認から、火曜日の株式パーペチュアル先物をめぐる決定まで、両当局が議会を介さずに暗号資産政策を担ってきたからだ。2025年に署名されたGENIUS法は、選挙結果にかかわらず1月18日に施行される。





