11月4日の午後(米国東部時間)、ビットコイン価格は8万ドル近辺で推移し、前日比約3%上昇したものの、1年前の価格と比べると約2万6000ドル低い水準にとどまった。一方、「Bitcoin Magazine Pro」のデータによると、市場は民主党が議会を席巻したことによる選挙当夜の動揺を乗り越えたようだ。
ビットコインは午後3時12分時点で8万99ドルで取引され、時価総額は約1兆6100億ドル、過去24時間の取引量は約396億ドルだった。
安値を付けたのは11月3日の午後10時台、民主党が上下両院で過半数を獲得したとの開票結果が伝えられるなかでのことだった。一方、高値を付けたのは11月4日の午前10時台だった。つまり、約12時間のうちに安値から高値まで約7.3%上昇したことになる。
この上昇はショートスクイーズによるものだ。過去24時間で暗号資産のレバレッジ取引ポジション約9億5000万ドル相当が清算され、そのうち5億6000万ドルは価格下落に賭けたポジションだった。ビットコインのポジションは全体のうち4億300万ドルを占め、その76%がショートポジションだった。
CryptoQuant社のCEOであるキ・ヨンジュ氏は11月4日午後、Xへの投稿で、わずか1時間のうちに2億1500万ドル相当のビットコインのショートポジションが清算されたと書き込んだ。
アナリストの間では、売り圧力はすでに一巡したとの見方が広がっている。CoinShares社のリサーチ責任者であるジェームズ・バターフィル氏は、投票前の段階で民主党の勝利はビットコイン価格におおむね織り込まれており、そのため、不確実性が解消されれば安心感からの反発上昇が起こる余地が残されていたと指摘した。
Lumida社のCEOであるラム・アルワリア氏も、選挙前日に行なわれたポッドキャストのインタビューで同様の展開を予想していた。民主党が圧勝すれば、「一度きりの投げ売りが起こり、それによって資産価格の水準がリセットされる」と見込んでいた。
株式市場、 原油、 そして ドル安
価格が上昇したのは、ビットコインだけではなかった。11月4日午後、Dow Jones工業株30種平均は約1500ポイント(約3%)上昇し、S&P500種株価指数は1.7%高、Nasdaq総合指数は1.8%高となった。アップル社とマイクロソフト社の株価は過去最高値を更新した。
もっとも大きく動いたのは原油価格だった。CNBCの報道によると、JD・ヴァンス副大統領が共和党の敗北の原因をイラン戦争に求めたことを受け、11月4日午後12時36分までに、ブレント原油は9%以上下落し1バレル当たり93.91ドルに、WTI原油(米国産標準油種)も9%近く下落し87.59ドルとなった。
ヴァンス副大統領は「われわれが敗北した理由は、この戦争だ」とXに投稿した。
原油価格が1バレル当たり100ドルを超える水準にあったことでインフレが高止まりし、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月の利上げに傾いていたことを考えると、この動きはビットコイン価格にとって重要な意味をもつ。米ドル指数は取引開始直後に0.55%下落して101.32となり、10月1日以来の低水準を記録した。
ビットコイン価格の 今後の 展開
ファンドからの需要は、価格の上昇に追いついていない。米国の現物ビットコインETF(上場投資信託)は11月3日に1億1560万ドルの資金流出を記録し、3営業日連続の流出となった。ブラックロック社のIBITからは9500万ドルが流出した。この3日間の流出総額は約11億6000万ドルに達している。11月4日の資金フローは、米国市場の取引終了後に公表される。
ビットコイン業界を取り巻く政策環境は、改善するどころか、さらに厳しくなった。TD Cowenのジャレット・サイバーグ氏は、民主党の上下両院制覇によって、暗号資産業界が後押しするCLARITY法案の成立は「不可能」となり、暗号資産を監督する各委員会も1月に民主党の管轄下に移ると指摘した。
オンチェーンアナリストたちは、今回の値動きを、過去の価格水準を再び試す動きととらえている。Glassnode社は「Week on Chain」レポートで、ビットコイン価格は8月に上抜けた水準を試していると指摘。その水準は、真の市場平均価格(True Market Mean)が7万7700ドル、短期保有者の取得原価が7万5700ドルだ。同社は、この水準を上回って推移できれば、8月に始まった上昇トレンドは維持されると指摘している。
今後の経済カレンダーも立て込んでいる。10月の雇用統計が11月6日に発表され、10月の消費者物価指数(CPI)が11月10日に続き、11月3日のプレビュー記事で述べたように、FRBの次回の金融政策決定は12月9日に予定されている。ビットコイン価格は依然として、約12万6080ドルの史上最高値から約36%低い水準で推移している。

今後の焦点は、ショートポジションが一掃された後、ETFの買い手が再び市場に戻り、価格を押し上げる動きにつながるかどうかだ。本稿執筆時点で、ビットコイン価格は8万200ドル付近で推移している。





