ここ数週間、私は何人もの政治家と話をしてきた。彼らは皆、ビットコインを価値の保存手段とみなしており、アメリカ市民は自らの秘密鍵を保持する権利があると信じている。
米国の選出された公職者からこのような見解を直接聞き、さらにはビットコインに擁護的な法案を法制化しようとする動きまであるのを目の当たりにすると、気分よくならないはずがない。これは間違いなく新鮮な出来事であり、特にビットコイナーや関連業界がバイデン政権下で経験した政治的敵対姿勢を思えば、なおさらである。
とはいえ、やるべきことはまだ残っている。しかもその多くは、ビットコインでプライベートに取引を行なう権利を守るための主張にかかわるものだ。
ビットコインのベースレイヤー(もっとも基本的な取引レベル)において、プライバシーを守るための最良の手段のひとつが「ビットコインミキサー」である。これはユーザーが自身の取引を匿名化するために用いる技術だ。
なかでももっとも有名なミキサーのひとつがSamourai Wallet(サムライ・ウォレット)で、これはノンカストディアルなかたち(ウォレット開発者や運営者がユーザーの秘密鍵にアクセスしない設計)でビットコインのミキシングを可能にしていた。
しかし、このソフトウェアは昨年初頭に米国司法省(DoJ)によって停止に追い込まれた。その際、Samouraiの開発者たちは、無許可の資金移転事業の共謀および資金洗浄(マネーロンダリング)に関する共謀といった罪状で起訴された(イーサリアム上で動作するオープンソースのミキシングソフト「Tornado Cash(トルネード・キャッシュ)」の開発者たちも同様の罪で起訴されている)。
シンシア・ルミス上院議員(共和党/ワイオミング州)やロン・ワイデン上院議員(民主党/オレゴン州)といった政治家たちは、Samourai開発者を支持する姿勢を示している。彼らはメリック・ガーランド前司法長官宛てに書簡を起草し、その中で、開発者たちは明らかに2019年に米国金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)が示したガイダンスにおける「マネー・トランスミッター(資金移転業者)」の定義に該当しないことを説明した(ただし一方で、ルミス上院議員は「アセットミキサーのような匿名の暗号資産取引と闘うための調査を財務省に要請する」という内容を含む法案の共同起草者でもある。この点については本論から少し外れるため、深入りはしない)。
ミキサーは、資金の送受信において匿名性を維持する必要がある人権活動家にとって極めて重要であると同時に、取引のプライバシーを大切にする一般の人々にとっても不可欠なものだ。
だからこそ、私たちはこの問題を政治家たちに認知させる必要がある。というのも、多くの政治家はこの分野について十分な理解をもっておらず、彼らがSamourai開発者を擁護する立場を取り、さらに米国市民がミキサーを利用する権利を守ることの重要性に気づいてくれる可能性があるからだ。
という理由で、私は読者にお願いしたい。本稿の最後に、私の同僚であるShinobiが公開したレターのテンプレートを使って、皆さんの選出議員に連絡を取っていただきたい。
私たちはかつて「Free Ross(ロス・ウルブリヒト氏の釈放を求める運動)」やセルフカストディの権利擁護のために立ち上がってきた。いまこそ、取引のプライバシーを守るために団結すべき時だ。
Bitcoin Magazineの政治担当記者にすぎない私は、こうした運動をひとりで成し遂げることはできない。だからこそ、あなたの力が必要だ。この呼びかけにぜひ応えてほしい。そして、あなたの居住地域の代表者たちにこの問題を伝えてほしい。そうすれば、私とこの話題について議論するころには、彼らはすでに一定の理解をもってくれているだろう。