Homeコラム米国民主党、さらにタチの悪いビットコインおよび暗号資産規制を提案

米国民主党、さらにタチの悪いビットコインおよび暗号資産規制を提案

一部の民主党議員が、ビットコインおよび暗号資産の規制に関して、連邦政府はニューヨーク州の方針に倣うべきだと主張。これは最悪の考えだ。

金曜日、民主党のメリーランド州下院議員エイドリアン・ボアフォ氏とニューヨーク州下院議員クライド・ヴァネル氏は、民主党の連邦議会指導者たちに対して、連邦レベルで包括的な暗号資産に関する立法を進めるよう求める共同書簡を送付した。

この書簡中で、両議員はニューヨーク州を暗号資産規制のリーダーとして挙げ、同州の「ビットライセンス制度(BitLicense)」を、連邦レベルの規制モデルとして採用すべきだと提案している(BitLicenseとは、2015年にニューヨーク州金融サービス局が導入した暗号資産事業者向けのライセンス制度。事業者は運営に際し非常に厳格な要件を満たす必要があり、小規模スタートアップやイノベーションの障害になっているとの批判も多い)。さらにこの書簡では、ニューヨーク州が化石燃料を使用するプルーフ・オブ・ワーク(PoW)型暗号資産マイニングに対して2年間の一時停止措置を課している点にも言及している(連邦政府も同様の措置を検討すべきであるという含意があるようだ)。

この書簡を読んだとき、私は、民主党がビットコインおよび暗号資産政策に関して、2024年10月にカマラ・ハリス元副大統領が提案した内容よりもさらに愚かなアイデアを打ち出せるのだと気づかされた。ちなみに当時のハリス氏の提案は「暗号資産およびその他のデジタル資産に対して、これらを保有・投資する黒人男性を保護するための規制枠組み」であった。

(念のために言っておくが、私は黒人男性が暗号資産に投資する権利を保護する規制枠組みに賛成である。また同様に、アジア系男性、ヒスパニック系男性、白人男性、先住民族男性が投資する権利も保護されるべきだと考えている。そして、すべての人種の女性およびトランスジェンダーの人々も、ビットコインおよび暗号資産に投資する権利を保障されるべきだと願っている)

以上を踏まえて、ここからは、連邦政府がニューヨークのビットライセンス制度を模倣した規制を導入したり、化石燃料を使用するマイニングに対して一時停止措置を課したりすることが、なぜ悪い考えであるのかを説明したい。

なお、時に感情的になる点についてはご容赦いただきたい。この問題は私にとって個人的な意味をもっている。私はニューヨーク州の住民であり、政治家や官僚によって州内のビットコインおよび暗号資産業界がどれほど損なわれてきたかを、身をもって経験しているからである。

ビットライセンス制度について

ニューヨーク州は、州内で事業を行なうすべての暗号資産関連企業に対して、ビットライセンスの取得を義務づけている。

一見すると、事業を運営するためのライセンスを取得することは無害に思えるかもしれない。だが、このライセンス取得にはすべての書類作成と必要手続きに数カ月から数年を要し、その費用が10万ドル(約1500万円)以上にのぼることをひとたび知れば、なぜ多くの実績ある企業、ましてや初期段階のスタートアップ企業がこのプロセスを最初から始めようとすらしないのかがすぐに理解できる。

ビットライセンスのせいで、ニューヨーク州の住民は、Strike(ストライク)、River(リバー)、Swan(スワン)、Kraken(クラーケン)といった信頼性の高いプラットフォームを使用することができない。また、CashApp(キャッシュアップ)におけるライトニングネットワークの利用、Fold(フォールド)での法定通貨からビットコインへの両替機能の利用も不可。これは、私たちが官僚的な規制のせいで使えないビットコイン/暗号資産関連サービスのほんの一部にすぎない。

だが、おそらくもっとも侮辱的なのは、ニューヨーク州の住民としてこれらのプラットフォームにアクセスしようとした際に表示される、次のようなメッセージである。「この取引所は、ニューヨーク州、イラン、シリア、北朝鮮などの地域に住むユーザーにはサービスを提供しておりません」。

ニューヨークの政治家と官僚たちが、ニューヨーク州民をどんな立場に追いやったのか、本当に信じがたいほどである。

仮にこのビットライセンス制度を連邦レベルで導入することになれば、私たちはイノベーションと起業精神を深刻に抑圧することになる。なぜなら、莫大な資金とリソースを持ち、辛うじて連邦版ビットライセンスを取得できる一部の企業すらも大きな制約を受けることになり、その一方で、そこまでの資金力を持たないスタートアップ企業は、事業を断念するか、アメリカ国民向けにはサービスを提供しないという選択を取ることになるからだ。

このような「連邦ビットライセンス」は、ドナルド・トランプ大統領が掲げる「アメリカをビットコインの超大国かつ世界の暗号資産の中心地とする」という目標の重大な妨げとなるだろう(もしかすると、民主党議員たちがこの案を出したのは、それを阻止したいからなのかもしれない?)。

マイニング・モラトリアム(採掘停止措置)について

私は、化石燃料の燃焼が環境にとって有害であることを理解しているし、人間の活動によって引き起こされる気候変動が現実のものであると信じている。それでも私は、人々が安定した仕事に就き、産業が繁栄できる状況を支持する立場である。

そして、ニューヨーク州北部では第二次世界大戦後に工場が閉鎖されて以降、雇用も産業も顕著に不足している。

この地域の多くでは、かつて工場労働で得られていた安定した雇用に代わって、生活するのがやっとというレベルのサービス業の仕事が主流になっている。

ニューヨーク州北部の都市の多くでは荒廃があまりにも深刻で、吐き気を催すほどである。

この地域を復活させるためにできることのひとつは、ビットコイン・マイニング産業を誘致することだ。もちろん、マイニング企業は最初は化石燃料を使って事業を運営するかもしれない。だが、マイニングは再生可能エネルギーの活用を促進する経済的インセンティブをもたらすため、やがて化石燃料から再エネへの移行が進む可能性が高い。

それに、もしヴァネル州下院議員やニューヨーク州知事のキャシー・ホークル氏(民主党)が化石燃料を使用する企業にそこまで反対しているのであれば、1)なぜ、州内のすべての化石燃料を使う企業に対して業務停止措置を課していないのか?  2)またなぜ、ニューヨーク州民全員に対して、内燃機関を搭載した車を使うのを禁じる法律を制定していないのか?

 

これらの問いかけは修辞的なものである。というのも、私はこの件に関して彼らから回答を得られるとは思っていないからだ。この「マイニング・モラトリアム」は、本質的にはパフォーマンス目的のものであり、いわゆる「美徳のシグナリング」にすぎない。

もし、彼らが本気で化石燃料の燃焼による環境破壊をニューヨーク州で止めようとしているのであれば、ビットコイン・マイニング企業の事業だけを禁止するのではなく、それ以上のことをしなければならない。そして、そんなことをすればニューヨークの経済そのものが崩壊してしまうだろう。

このようなマイニング・モラトリアムを連邦レベルで導入することになれば、多くのアメリカ国民が職を失うことになるだけでなく、ビットコインのハッシュレートの大部分を、すでに化石燃料を使ってマイニングを行なっている敵対的な外国勢力に明け渡すことになるだろう。

私から民主党への嘆願

どうかお願いだから、本来なら多くのアメリカ人に良質な雇用をもたらすことができる産業を傷つけるような規制を、これ以上提案しないでほしい。

どうか、エイドリアン・ボアフォ下院議員、クライド・ヴァネル州議会議員、あるいはこの書簡の宛先となっているマキシン・ウォーターズ下院議員(カリフォルニア州)やエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)といった、時代遅れの発想にとらわれた民主党議員たちの言葉に耳を傾けるのはやめてほしい。

代わりに、ロー・カンナ下院議員(カリフォルニア州)、リッチー・トーレス下院議員(ニューヨーク州)、元下院議員のワイリー・ニッケル(ノースカロライナ州)といった、より前向きで進歩的な視点をもつ民主党議員たちの姿勢に学んでほしい。彼らは、ビットコインとその周辺産業がアメリカ国内で成功を収めることを願っている政治家たちだからだ。

Author

Frank Corva
Frank Corvahttps://frankcorva.substack.com/
Frank Corvaは、Bitcoin Magazineの政治担当リポーターです。
RELATED ARTICLES
Bitcoin Bitcoin BTC/JPY
¥0
24hr %:
0.0%
24hr High:
¥0
24hr Low:
¥0
Error loading data. Check console for details.
VIEW 150+ BITCOIN CHARTS

LATEST NEWS

custom ad 1