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ビットコインの核心は揺るぎなし

敵対的な環境を生き抜くことができるからといって、なぜ、それだけを歓迎すべきではないのか? では、どのような積極的な関与がより明るい未来をもたらすのか?

ビットコインは、敵対的な環境においても止められることのないように設計された。しかし、はっきりさせておきたいのは、「生き残ること」と「発展すること」は別の話だということだ。ビットコインが厳しい政治的な敵対にも耐えられるからといって、私たちがその敵対環境を望むべきだというわけではないし、普及を加速させるために好ましい環境を築く努力を怠ってよいというわけでもない。それを誤解するのは、ビットコインの核心にある理念を読み違えていることになる。ビットコインの優れた点は、それを妨害しようとする者がいても、認可不要であり分散化され続けることだが、それは同時に、私たちが長期的な成功のために最適な環境を整える努力をしてはならないという意味ではない。

実際、規制や法律に関する公的な議論への対応をみても、基本的な点は一貫して確認されている。すなわち、ビットコインの強みはオープンソースのソフトウェア、自主的な資産管理(セルフカストディ)、そしてマイニングやノード運用の広範な分散にあるということ。つまり、これは「ビットコインの理念を捨てること」ではなく、「政府に対して、ビットコインのオープンな設計の利点を理解してもらうこと」が重要という話だ。

「ビットコインは敵対的な環境に対応するためにつくられた」という考えと、「私たちは敵対的な環境を望むべきだ」という考えは、まったく別もの。対抗力のあるアーキテクチャをもつからといって、私たちが手をこまねいて、エネルギー政策や日常のユーザー体験などで発生する摩擦を減らす努力をしなくてもよいわけではない。確かに、政治家や規制当局が敵対的になったとしても、ビットコインは生き残り続けるだろう。しかし、敵対そのものを美徳とするのは短絡的な考えだ。

敵対的な環境は、普及のペースを遅らせ、開発を海外へと追いやり、日常のユーザーにとってハードルを高くしてしまうかもしれない。その一方で、慎重かつ適切な方法で政策立案者に関与することで、過度に厳しい規制を防ぎ、バランスの取れたルール設定を促進し、機関投資家の資本が正当なルートで流入する道を拓くことができる。こうした取り組みは、ビットコインの世界的な普及を加速させる。「ビットコインが透明で公正な法律のもとで発展してほしい」と考えることは、決してサトシ・ナカモトのビジョンへの裏切りではない。私たちは、人々が自らの選択としてビットコインを使うことを望んでおり、既存の金融システムの破綻によってやむを得ずビットコインに頼るようになることを望んでいるわけではない。

個人が自らのビットコイン(BTC)を保有・使用する権利を守る法律や、オープンソースの開発を支援する政策を推進することは、決して「ビットコインらしくない」ことではない。私たちは、こうした政治的な領域で積極的に行動すべきだ。なぜなら、これを無視しても問題が解消するわけではなく、むしろ異なる意図をもつ者たちがルールを決め、プライバシーの侵害や自主管理の制限、イノベーションの妨害につながる恐れがあるからだ。

重要なのは、プロトコルの整合性を損なうような妥協に対して常に警戒を怠らないことだ。政治家や規制当局と関係を築くことは、検閲耐性を犠牲にして特別な優遇措置を求めることを意味するわけではない。それは単に、私たちの声を届けるということだ。もし、プロトコルレベルでの変更を強制するような、ユーザーにとって不利な要求が出されたならば、私たちは実利的な観点からも理念的な観点からも、断固として「ノー」と言わなければならない。しかし、ビットコインマイニングがどのように電力網の安定化に寄与するのか、あるいはライトニングネットワークがいかに即時決済を可能にするのかを積極的に伝えることは、ビットコインの理念に対する妥協ではない。それは、ビットコインの存在価値を社会や政策立案者に正しく理解してもらうための合理的な戦略のひとつだ。

大規模なマイニング事業が規制の圧力に屈することへの懸念は、以前から指摘されてきた。しかし、現実としてビットコインの設計は敵対的な環境にも耐え得る。適切なハードウェアと電力さえあれば誰でもマイニングが可能であり、誰でもフルノードを運用してルールを強制することができる。これによって、特定のマイナーがプロトコルを変更することはできない。仮に一部のマイニングプールが検閲の要求に応じたとしても、他のプールが手数料収入を求めてそれらのトランザクションを処理するだろう。これこそがビットコインの設計思想だ。つまり、検閲を回避するために、強靭で分散化されたアーキテクチャーをもっているのだ。

皮肉なことに、前向きな規制との関与が、むしろ中央集権化のリスクを軽減する可能性もある。もし、より多くの州や国、あるいは小規模な電力事業者がマイニング施設の受け入れに前向きになれば、地理的にも法的にも多様性が生まれ、特定の政府や機関がネットワーク全体に画一的な規制を課すことが難しくなる。改めて強調すると、「敵対的環境での生存」はハッシュレートの分散を促進する実践的な解決策を否定する理由にはならない。

確かに、プライバシー、スケーラビリティ、アクセシビリティといった課題はいまもなお重要なテーマといえる。しかし、これは二者択一の問題ではない。規制当局との関与を通じて誤った政策を阻止しつつ、プライバシー保護機能やスケーリング技術の開発に注力することは、両立可能なのだ。大切なのは、日々の政治的な議論に気を取られすぎて、ライトニングネットワークのようなセカンドレイヤー技術やより使いやすいプライバシー機能の開発といった、本来取り組むべき課題が後回しにならないようにすることだ。

開発者たちは、より高度な暗号技術や直感的に使えるライトニングウォレットの開発などを通じて、これらの問題に取り組んでいる。私たちは、自主管理を優先し、第三者のカストディアン(資産管理業者)をオプションとして維持する取り組みを、公の場でも政治の場でも積極的に支持すべきだ。「not your keys, not your coins(あなたの鍵でなければ、あなたのコインではない)」という考え方を立法の場で広めることは、ビットコインの理念を捨てることにはならない。それどころか、より多くの人々(政治家を含む)がビットコインの本質的な重要性を理解できるようにするための手段といえる。

現在のビットコインのエコシステムを眺めて、企業の参入、ロビー活動、SNS上での派手な論争を目にすると、「ビットコインは魂を失ったのではないか?」と訝しむ人もいるかもしれない。しかし、ビットコインは常に多様な声が飛び交う場であったし、そのなかには短期的な利益を追求する人々も以前から存在していた。2011年の時点でもそうだったし、ブロックサイズ論争のときもそうだった。そして、いまも変わらない。しかし、それらがビットコインを破壊することは一度たりともなかった。なぜなら、ビットコインの根本的な強靭性は、あなたが自分の鍵を管理し、自分の取引を検証する限り、誰もそれを妨げることができないという点にあるからだ。

ビットコインの核となる約束は、いまも揺らいではいない。そして、政策への関与は決して妥協を意味するものではない。それは、ビットコインの進化のひとつの段階であり、技術とそれによって恩恵を受ける人々のために、よりよい環境を積極的につくり上げていく過程なのだ。私たちは、この取り組みを全面的に受け入れ、ビットコインの基本原則を守り続けながら、検閲耐性をもつピアツーピアのデジタルマネーが、単なる「敵対的環境下における緊急回避策」ではなく、「世界的な標準」となる未来を目指していくべきだ。


本記事はPierre Rochardによる寄稿です。記事内に述べられた意見は、完全に筆者個人のものであり、BTC IncやBitcoin Magazineの見解を必ずしも反映するものではありません。

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