米国政府が主催する初のデジタル資産に関する公式記者会見において、暗号資産担当責任者(Crypto Czar)のデイビッド・サックス氏と暗号資産支持派の政治家たちは、トランプ政権下でビットコインおよびデジタル資産を優先事項として取り組むことを表明した。
冒頭の発言で、サックス氏は「大統領は就任一週目に発令した大統領令(EO)において、経済のあらゆる分野におけるデジタル資産、ブロックチェーン技術および関連技術の責任ある成長と活用を支援することが、政権の方針であると明言した」と述べた。
またサックス氏は、同大統領令において、大統領がデジタル資産に関する作業部会を設置し、そのグループに対する指示を定めたことを記者陣に再確認した。
「私たちの目標は、大統領が大統領令で私たちに課した任務を遂行することだ。それは、米国におけるデジタル資産の発行と運用、特にステーブルコインを含む規制の枠組みを連邦レベルで提案することだ」とサックス氏は述べた。
ビットコインと暗号資産業界の「黄金時代」の幕開け
サックス氏は、新政権がビットコインおよび暗号資産業界に対して敵対的な姿勢をとらないことの重要性について、特にバイデン政権下での出来事を踏まえて説明。
「ここ数年、多くの起業家と話をしてきたが、彼らがワシントンに一貫して求めていることは『規制の明確化』だと繰り返し聞いてきた」と彼は述べた。
そして、「彼らは単に、どのようなルールが適用されるのかを知りたいだけであり、それを遵守したいと考えている。しかし正直に言って、この4年間は暗号資産企業に対する恣意的な訴追や弾圧が続いてきた。証券取引委員会(SEC)は起業家に明確なルールを示さないまま、後になって彼らを訴追した。さらに、多くの起業家が、暗号資産の関連企業を設立したという理由だけで、個人の銀行口座を閉鎖されたという話も私にしてくれた」と付け加えた。
サックス氏は最後の発言の前に、今回の記者会見を共催した政治家たちと協力しながら「デジタル資産の黄金時代を築くこと」を楽しみにしている、と述べた。記者会見の共催者には以下の政治家が名を連ねた。
- ティム・スコット上院議員(共和党/サウスカロライナ州):上院銀行委員会委員長
- フレンチ・ヒル下院議員(共和党/アーカンソー州):下院金融サービス委員会委員長
- ジョン・ブーズマン上院議員(共和党/アーカンソー州):上院農業委員会委員長
- G.T.トンプソン下院議員(共和党/ペンシルベニア州):下院農業委員会委員長
スコット上院議員は発言の冒頭で、「この黄金時代はすでに始まっている。そして喜ばしいニュースは、これからさらによくなっていくということだ」と述べた。
また彼は、デジタル資産に関する法案を成立させるために「下院と上院、そしてホワイトハウスと連携しながら協調的に取り組んでいく」との意向を表明した。
米国がビットコインと暗号資産の革新をリードする
ヒル下院議員は、デジタル資産業界において米国は後れを取るのではなく、世界をリードすべきだと強調した。
「米国が金融技術(フィンテック)やデジタル資産の分野で後れを取るわけにはいかない。われわれのイノベーターたちは明確な指針を必要としている。彼らはどのようなルールが適用されるのかを知る必要がある」と、ヒル下院議員は述べた。
さらに、下院金融サービス委員会、上院銀行委員会、下院農業委員会、上院農業委員会の間で作業部会を結成し、明確な規制の枠組みを策定する計画があることを明かした。
ブーズマン上院議員は、すべての暗号資産が同じではないことを指摘しながらも、特定の資産(ビットコイン)を名指しすることなく、資産の種類ごとに異なる規制が必要であると述べた。
「一部の暗号資産はコモディティ(商品)であり、一部は証券だ」とブーズマン上院議員は述べ、それぞれ異なる規制機関が適切に監督すべきだと主張した。
トンプソン下院議員は、インターネットの発展段階を振り返りながら、現在のインターネットが「価値のインターネット(Internet of Value)」へと進化していることを指摘。
「インターネット1.0ではアメリカが世界をリードし、インターネット2.0でも同様にアメリカが主導した。そして、いま私たちが議論しているのがインターネット3.0、つまり『価値のインターネット』だ。私たちはこれに対して、原則に基づいたアプローチを取っている」と述べた。
トンプソン下院議員によると、この「原則に基づいたアプローチ」とは、ビットコインや暗号資産業界のイノベーションを促進しながらも、消費者保護を確保することを意味している。
「暗号資産分野には想像を絶するほどの機会が広がっている」とトンプソン下院議員は述べ、「デイビッド・サックス氏は、デジタル資産市場に明確性をもたらすことに非常に注力している」と付け加えた。
質疑応答セッションでは、スコット上院議員が、上院において暗号資産に関する超党派の取り組みが進行中であることを指摘。
「シンシア・ルミス上院議員(共和党/ワイオミング州)とカーステン・ギリブランド上院議員(民主党/ニューヨーク州)が市場構造法案のために協力している」と述べた。
マネーロンダリング対策規制に関して
暗号資産に関連するマネーロンダリング対策(AML) 法の見直しについて質問された際、スコット上院議員は前向きな姿勢を示した。
「この議論はデジタル資産だけに限定すべきではない。重要なのは、悪意のある人物がどのような手段を使っても不正行為を行なおうとすることに対処することだ」とスコット上院議員は述べた。
ヒル下院議員もAML規制について言及し、「AML規制は、従来の金融システムにおいて存在してきたのと同様に、デジタル資産の領域でも必要だ」と述べた。
教育の重要性
トンプソン下院議員は、暗号資産がまだ比較的新しい分野であることを踏まえ、下院および上院の議員に対する教育の必要性を強調。
「われわれの最初の目標は、議員への教育を行なうことです」と彼は述べた。
ヒル下院議員もこの意見に賛同し、「教育と技術支援の提供が下院・上院双方の議員にとって重要な要素になる」と述べた。
サックス氏もこの話題について意見を述べ、「教育に関するリソースを提供することも、われわれの役割のひとつだ」と語った。さらに、一部の講師は「暗号資産業界の第一人者」が担う可能性があるとも付け加えた。
サックス氏は、暗号資産についての説明を続けるなかで、ビットコインと他の暗号資産ネットワークとの違いにも触れた。
「暗号資産は専門的な分野であり、それを説明し神秘性を取り除くことは重要。ビットコインのような暗号資産もあれば、単なる分散型台帳であるブロックチェーン上で動作する他の資産もある」とサックス氏は述べた。
戦略的ビットコイン準備資産
会見の終盤、サックス氏は米国が「戦略的ビットコイン準備資産(Strategic Bitcoin Reserve)」を創設する可能性についても言及した。
「大統領からの指示のひとつに、ビットコイン準備資産の構想を評価することが含まれている。したがって、これは政権の内部作業部会において最初の検討事項のひとつになる」とサックス氏は述べた。