ビットコインが史上最大級の市場調整に喘ぐなか、金融大手JPモルガンは意外な見解を示した。「金(ゴールド)」と比較したビットコインの長期的な投資価値は、むしろ以前よりも強固になっているというのだ。
JPモルガンのアナリスト陣による最新のレポートによれば、過去1年間のゴールドの独歩高と、それに伴う「安全資産」らしからぬボラティリティの上昇を受け、リスク調整後のプロファイルにおいてビットコインの魅力が相対的に向上した。
両資産の明暗は、これ以上ないほど鮮明に分かれている。2025年10月以降、ゴールドは約3分の1の価格上昇を記録した一方で、ビットコインは12万6,000ドルのピークから50%近くも下落。パンデミック前以来となる「4ヶ月連続の続落」という苦境に立たされている。中央銀行の買い支えと地政学リスクに伴う避難需要に支えられ、2025年に60%以上の高騰を見せたゴールドに対し、ビットコインは勢いを維持できず、他のリスク資産の後塵を拝する形となった。
しかし、JPモルガンのグローバル・マーケット・ストラテジスト、ニコラオス・パニギルツォグル氏はこの狂乱の裏にある「決定的な変化」を突く。それはゴールドのボラティリティ上昇だ。
この変化により、貴金属とビットコインの間に横たわっていた「リスクの溝」が急速に埋まりつつある。同行の分析によれば、ゴールドに対するビットコインのボラティリティ比率は約1.5倍まで低下し、過去最低水準を更新した。
パニギルツォグル氏は、ボラティリティ調整後のベースで、ビットコインが民間部門におけるゴールドの投資水準に匹敵するためには、その時価総額を劇的に膨らませる必要があると指摘する。理論上、その価格は「26万6,000ドル」に達する計算だ。
もちろん、短期間でこのターゲットに到達するのが現実的でないことは彼らも承知している。だが、この比較が示唆するのは、目下の悲観論が晴れた先に待つ、ビットコインの圧倒的な「アップサイドのポテンシャル」に他ならない。
歴史的ドローダウンの渦中で
この強気な分析とは裏腹に、足元のビットコインは凄惨な状況にある。今週木曜日、価格は一時6万5,000ドルまで急落。これはドル建てで計算すれば、歴史上最大の下げ幅(ドローダウン)を記録したことになる。
Bitcoin Magazine Proのデータによれば、10月の高値からの下落幅は約6万2,000ドルに達し、2018年や2022年の弱気相場で見られた名目上の下落幅を塗り替えた。
さらに、JPモルガンは現在のBTC価格が、歴史的な「底値」の目安とされる推定採掘コスト(8万7,000ドル)を大きく割り込んでいる点に言及。採掘コストを下回る価格が定着すれば、非効率なマイナーの淘汰を招き、最終的にはネットワーク全体の限界コストを押し下げる「浄化作用」が働くと分析している。
この暴落局面においても、過去のクラッシュ時と比較して強制清算(リクィデーション)の動きは限定的だという。一方で、米国の上場型ビットコイン現物ETFからは執拗な資金流出が続いており、先月は30億ドル超、12月は20億ドル、11月には70億ドルが市場から去った。
執筆現在、ビットコインは6万6,000ドル近辺で推移している。相場が血に染まる今、JPモルガンが投じた「ゴールド超え」という一石は、真の強気筋(ホドラー)にとっての希望の光となるだろうか。
