トランプ一族の全面的な支援を受けるAmerican Bitcoin Corp.(ABTC)が、ビットコイン保有量において新たな節目を迎えた。その数は6,000 BTCの大台を突破。上場企業として世界トップ20に名を連ねる、巨大なコーポレート・トレジャリー(企業財務)を構築している。
Arkham Intelligenceが追跡するブロックチェーン・データによれば、現在のABTCの保有量は6,060 BTC。時価にして約4億1,300万ドルに達する規模だ。ビットコインが7万ドルの大台奪還を窺うなか、同社はこの1ヶ月で約217 BTCを積み増した。自社で採掘したコインを売却せず、そのままバランスシートに蓄積する。この「強気」の姿勢が、如実に数字となって現れている。
同社の戦略は、マイニングによる産出と市場からの直接調達を組み合わせたハイブリッド型だ。これは、ビットコインを単なる商品(コモディティ)ではなく、長期的なトレジャリー資産として保有し、エクスポージャーを最大化しようとする先進的な企業の間で急速に支持を広げているモデルである。
BitcoinTreasuries.netのデータに目を向ければ、ABTCの保有量は、6,894 BTCを誇るギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)の背中を捉えるところまで肉薄している。 巨大な資本力を持つ先行者に、新興のABTCが猛烈な勢いで詰め寄っている構図だ。
一方で、株式市場の評価は対照的だ。ABTC株は年初から約45%の下落を記録。1月上旬に2ドルを超えていた株価は、先週末の終値時点で1.14ドル付近に沈んでいる。ビットコイン価格の足踏みに伴い、株価は依然として厳しい「冬の時代」を耐え忍んでいるのが現状だ。
しかし、同社は自らのアイデンティティを、純粋なマイニング業者ではなく「マイニングからトレジャリーへのパイプライン」であると定義する。採掘した成果を市場に投げ売りして当座の資金を得る従来型のオペレーターとは一線を画し、ビットコインを保有し続けることで中長期的なアウトパフォームを狙う。その一貫した哲学は揺るぎない。
JUST IN: 🇺🇸 Trump family-backed American Bitcoin increased its holdings to over 6,000 Bitcoin
Nothing stops this train 🚀 pic.twitter.com/NAwsXrkzGx
— Bitcoin Magazine (@BitcoinMagazine) February 16, 2026
「ビットコイン・イールド」という新機軸
ABTCは、2025年9月のナスダック上場から2026年1月後半にかけて、約116%という驚異的な「ビットコイン・イールド」を記録したことを明かしている。この指標は、外部からの資金調達に頼らず、マイニングや直接購入によって純粋に保有量をどれだけ増やせたかを示すものだ。
保有量が6,000枚を超えた今、ABTCはビットコインを企業経営の核に据える「ビットコイン・スタンダード」な企業群において、無視できない存在感を放っている。
折しも、市場には追い風が吹き始めている。米インフレ指標の鈍化を受け、FRB(米連邦準備制度理事会)による早期利下げへの期待が再燃。リスクアセットへの資金流入が加速し、ビットコインの時価総額は再び1.4兆ドルを超えた。
ABTCは昨年9月、Hut 8 Corp.からマイニング事業を切り出す形でナスダック市場にデビューした。エリック・トランプ氏が共同創業者兼最高戦略責任者(CSO)を務め、ドナルド・トランプ・ジュニア氏も投資家として名を連ねる。トランプ一族の「ビットコイン・ファースト」な姿勢は、もはや政治的なレトリックに留まらず、上場企業の財務戦略として実利を伴いながら進行している。