今週、米国の3つの州でビットコイン関連の法案が新たに法律として成立した。
5月6日火曜日には、ニューハンプシャー州が戦略的ビットコイン準備金(Strategic Bitcoin Reserve:SBR)の創設を認める法案に署名し、全米で初めてSBRの法制化を果たした。
7日水曜日には、アリゾナ州がビットコイン、ブロックチェーン、デジタル資産に関する2本目の法案を成立させた。
同日、オレゴン州知事も、ビットコインなどのデジタル資産を担保として認めるために州商事法の改正法案に署名した。
ニューハンプシャー州で戦略的ビットコイン準備金の創設が可能に
5月6日、ニューハンプシャー州では「HB302号法案」に州知事が署名し、SBRの創設を法的に可能とする全米初の州となった。
New Hampshire is once again First in the Nation! 🎉
Just signed a new law allowing our state to invest in cryptocurrency and precious metals. pic.twitter.com/ua9bawZKbM
— Governor Kelly Ayotte (@KellyAyotte) May 6, 2025
この新法により、ニューハンプシャー州の財務官は、時価総額が5000億ドルを超えるデジタル資産への投資が可能となった(2025年5月時点でこの基準を満たすデジタル資産はビットコインのみ)。
同法はSBRの創設を明確に義務づけているわけではないが、財務官が任意でSBRを構築できる法的根拠を付与する内容となっている。
歴史的な法案の成立は、ビットコイン関連の法整備を積極的に推進している州下院議員キース・アモン氏による尽力の成果でもある。彼は本法案をはじめ、現在州議会で審議中のほかのビットコイン関連法案でも主導役を務めている。
今回の新法成立は、アリゾナ州が同様の法案を成立寸前まで進めていた直後に起きたものだ。
アリゾナ州知事、ビットコイン法案のひとつを拒否するも別の法案に署名
5月2日、アリゾナ州のケイティ・ホッブズ知事は「SB1025号法案」に拒否権を行使した。この法案は、州の財務官および退職年金制度に対して、保有資金の最大10%を仮想通貨に投資することを可能にする内容だった。
法案の文面では、この法案を「アリゾナ戦略的ビットコイン準備金法(Arizona Strategic Bitcoin Reserve Act)」と称すると記載されており、また仮想通貨については「米ドルまたは外国通貨を除く、交換手段・価値の尺度・価値の保存手段として機能するデジタル形式の価値表現」と定義されていた。
知事の拒否を受けて、多くの関係者や観測筋は彼女の判断は政治的な失策であると指摘した。
This will age poorly @katiehobbs pic.twitter.com/JOX7iaKhNV
— Jameson Lopp (@lopp) May 3, 2025
このメッセージがホッブズ知事に届いたのかもしれない。というのも、5月7日、彼女は「HB2749号法案」に署名。州レベルでのデジタル資産準備金の設立を可能にする、新たな法律が成立したからだ。
HB2749は、既存の「未請求金融資産」に関する州法を修正し、一定期間にわたり放置されたビットコインやその他のデジタル資産を州が回収できるようにするものだ。
具体的には、ビットコインなどのデジタル資産に関して、3年にわたり以下のいずれの行動も行なわれなかった場合、当該資産は「放棄された」または「未請求」とみなされる。
- デジタル資産アカウントへの電子的アクセス
- 当該アカウントにおける取引
- 所有者が管理する関連アカウントに関するいっさいの行為
この新法に基づき、アリゾナ州は未請求のビットコインや他のデジタル資産を州の準備金に移転することができる。
これは、ホッブズ知事が最近署名した2本目のビットコイン関連法案だ。
彼女は4月18日にも「HB2342号法案」に署名している。
HB2342は、居住地において個人が合法的にコンピュータの処理能力を使用したり、ブロックチェーンノード(ビットコイン等のネットワークに接続して取引を検証・記録する仕組み)を稼働させることを、郡政府が禁止してはならないと定めている。
オレゴン州は新法でビットコインを担保として認定
5月7日、オレゴン州のティナ・コテック知事が「SB167号法案」に署名し、同州におけるビットコインの法的な取り扱いに重要な変化が生じた。
この新法は、オレゴン州の「統一商事法典(Uniform Commercial Code:UCC)」を改正し、デジタル資産を正式にその枠組みに組み込むものだ。
具体的には、UCC第9編を修正し、例えば、ビットコインのようなデジタル資産を住宅ローンの担保として使用できるようにする内容が盛り込まれている。
同時に、UCC第12編が新たに追加され、「制御可能な電子記録(仮想通貨やトークン化されたデジタル記録を含む)」に関する法的枠組みを整備する。
この新法は、ビットコインおよびその他のデジタル資産が、オレゴン州において従来の金融商品と組み合わせて利用されるための法的基盤を築くものだ。
法整備の加速
今週まで、全米で実際に成立していたビットコイン関連の法案はわずか3本にすぎなかった。
それには以下のような法案が含まれている。
- ユタ州「HB0230号法案」:3月12日に州知事が署名、デジタル資産に関する定義と規制枠組みを確立した。
- ケンタッキー州「HB701号法案」:3月24日に州知事が署名、デジタル資産とかかわる個人や事業者の権利保護と定義を明確にした。
- アリゾナ州「HB2342号法案」:本稿でも紹介した通り、ブロックチェーンノードの運用に関する自由を保証する内容。
今週に入っての法案成立の活発化は、さらに多くのビットコイン関連立法が提案・可決され、法制化されてゆく兆しとも考えられる。今後数週間から数カ月の間に、ビットコインとデジタル資産をめぐる法整備が全米の州議会で加速する可能性が高い。