最近、ビットコイン・マイニングの世界で、珍しく注目すべき出来事があった。ある独立系マイナーがレンタルコンピューティングにわずか約75ドルを費やしただけで、ビットコインのブロック全体を検証し、3.125 BTCのブロック報酬全額を獲得したのだ。
この快挙は、マイニング企業のBraiins社によってソーシャルメディア上で確認され、オンチェーンデータにも反映されている。
Braiinsによると、このマイナーはオンデマンドサービスを通じて約1ペタハッシュ/秒(PH/s)のハッシュパワーをレンタルし、ビットコインのブロック938092のマイニングに成功。現在の価格で約20万ドルに相当する3.125 BTCのブロック報酬全額を獲得した。
レンタル費用の合計は約11万9000 sats(約75ドル)と報告されている。
この操作はCKPoolを使用して行なわれた。CKPoolは、ソロマイナーがブロック解をブロードキャストし提出できるプラットフォームで、成功した場合にはブロック報酬を全額保持できる仕組みだ。
この結果は、大規模なマイニング機器を所有することによるものではなく、一時的にレンタルしたハッシュレートによるものであった。これは、巨額な先行投資を行なうことなく、愛好家や小規模事業者がビットコイン・マイニングに参加できるモデルと言える。
オンデマンドのハッシュレートは基本的にクラウドベースのマイニング・サービスのように機能し、ユーザーは一定期間SHA-256の計算能力をレンタルし、それをマイニング・プールやネットワークのターゲットに向けることができる。
なぜ、これが“滅多にないこと”なのか?
ビットコイン・マイニングにおける単独でのブロック報酬獲得は、ネットワーク全体の計算能力と難易度が上昇してきたため、ますます稀有なこととなっている。
大規模なマイニング・プールは、多くのマイナーの莫大なハッシュパワーを結集することでブロック発見の確率を劇的に高めているため、ブロック生成を支配している。
それとは対照的に、個人マイナー(特に低値であったり、レンタルしたハッシュパワーを使用している場合)は、単独でブロックを解くことのできる確率が非常に低くなる。
データ集計サイトのBennetによると、過去1年間でブロックを発見したソロマイナーはわずか21人であり、その合計は約66 BTC(現在の価格で約410万ドル相当)にとどまっている。これは平均すると17.2日毎にひとつのソロブロックが生成されたことを意味し、この割合は、ビットコイン・ネットワーク全体で毎日生成される数千のブロックのごく一部に過ぎない。
それでもなお、自宅のリグ、小規模マイナー、あるいはレンタル計算能力によるものであれ、こうしたソロ・マイニングの成功は、マイニング戦略の広範な変化を示すものではなく、従来の金融における宝くじ当選のような統計的外れ値として際立っている。
今回の出来事は、最近のマイニング難易度の変動を背景に発生した。主要なマイニング地域で冬の大嵐によってハッシュレートが一時的に停止し、大幅な下方圧力がかかった後、ビットコインの難易度が急反発し、直近の調整で約15%上昇して144.4T(兆)に達したのだ。
この反発は天候関連の停電に起因する約11%の下落に続いたものだが、この下落は2021年の中国によるマイニング規制以来、もっとも急激なネットワーク・ハッシュパワーの低下とされている。
およそ2016ブロック(約2週間) 毎に行なわれる難易度の調整は、ネットワークの平均ブロック時間を約10分に保つため、また新しいブロックを見つけるために必要な計算量を調整するうえで極めて重要だ。
天候の乱れ、マイナーの停止、機器の入れ替えなどによりネットワークのハッシュパワーが大きく変動すると、一時的に、低コストのレンタルハッシュパワーによる試みであっても、成功確率が通常よりも高くなる状況が生まれることがあるようだ。