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ワシントンがビットコイン・レースに注目

ビットコインは、地政学的な重要性を備えた、もはや無視できない段階に到達したようだ。

ビットコインはもはや投機的な資産でも技術的な実験でもなく、世界の金融、エネルギー、そして地政学的戦略の支柱として、ますます認識されつつある。貨幣やエネルギー、テクノロジー分野における既存のシステムが再構築されるなか、アメリカ合衆国はビットコインを活用することでリーダーシップを強化し、新たに形成される世界秩序において主導的地位を確保するという歴史的な好機を迎えている。

この状況を決定づける大きな変化はふたつ。第一に、米国の主要な政府関係者がビットコインを戦略的準備資産、即ち21世紀の「デジタル・ゴールド」として位置づけ始めている点だ。第二に、ビットコイン・マイニングが電力網への負担ではなく、エネルギーの強靭性(レジリエンス)と先端的コンピューティングの基盤として再評価されつつある点だ。

米国商務長官のハワード・ラトニック氏と大統領デジタル資産諮問会議の事務局長であるボー・ハインズ氏は最近の発言で、現在の状況を「新たな宇宙開発競争(スペースレース)」と表現している。今回はその中心がビットコインであるという。

ボー・ハインズ氏は最近のインタビューで、「この資産の蓄積に関しては、明らかにスペースレース的な側面がある。金(ゴールド)と同じで、各国が競争している」と語った。

この競争の意味は大きい。中国のような国はすでに金の備蓄を急速に進めており、実物資産への回帰を示唆している。ここ数十年、金は地政学的な要素として影が薄かったが、再び重要視される可能性は十分にある。そして、もしそうなれば、大量の金を保有する国家は大きな戦略的優位性を獲得することになる。しかし、ビットコインは金の復権を相殺するだけでなく、アメリカにとってより鋭く、よりダイナミックな選択肢となりうる。ビットコインを活用することで、アメリカはグローバルな金融秩序を自国にさらに有利な方向へと動かすことができるかもしれない。

ビットコイン政策研究所(Bitcoin Policy Institute)の事務局長であるマシュー・パインズ氏は、アメリカがビットコインの蓄積において大きなリードをとっていると指摘する。「現実的な推定として、アメリカはこれまでに採掘されたビットコイン全体の35〜40%を保有している可能性が高い。一方で、地上に存在する金の総量のうち、アメリカが保有するのはおよそ8〜10%にすぎない」と、同氏は述べている。

仮にビットコインが金と同じペースで貨幣化されるとすれば、アメリカは圧倒的な資産成長を国内にもたらし、これまで以上に強力な経済的ポジションを獲得することになるだろう。バイデン政権からトランプ政権へと移行し、アメリカの金融的地位を固めようとする動きのなかで、ビットコインの普及を後押しすることは、世界の通貨システムをアメリカ優位に再構築するまたとない好機となりえる。

と同時に、ラトニック商務長官の発言は、もうひとつの大きな変化を示している。ビットコイン・マイニングを、単なる金融的な活動としてではなく、エネルギーや人工知能(AI)といった国家戦略に資する資産とみなす考えの台頭だ。

ラトニック商務長官は、ビットコイン・マイナーを支援する政権のヴィジョンについて、「ビットコインをマイニングしたいなら、適切な場所さえ見つければ、その隣りに自分専用の発電所を建設できるようにするつもりだ。アメリカの次世代マイナーは、自らの運命をコントロールし、電力コストを制御できるようになる。これにより、アメリカにおけるビットコイン・マイニングは一気に加速するだろう」と語っている。

この構想は、以下ふたつの極めて重要な目標を後押しする。

  • エネルギーの自立性:ビットコイン・マイニングは、新たなエネルギー・プロジェクトの起爆剤となりえる。特に、これまで利用されずに捨てられていた余剰エネルギーや孤立したエネルギー資源(インフラの届かない場所で発生する電力など)を有効活用することで、アメリカのエネルギー基盤を強化・多様化できる。
  • 計算能力(コンピュートパワー):マイニング用に構築されたインフラは、そのままAI産業にも応用可能だ。これにより、アメリカは急成長する世界のAI競争において必要な計算能力を確保し、先行優位を維持することができる。

ビットコイン政策研究所の政策責任者であるザック・シャピロ氏は、マイニング業界の進化について、「すでに多くのビットコイン・マイニング企業、あるいはかつてビットコイン・マイニング企業だったところが、AI事業への転換や統合を進めている。マイナーたちがAIデータセンターを立ち上げ始めているのを目の当たりにしている」と述べている

現在、各国がもっとも強力なAIエージェントを構築する競争に突入しつつある兆候がみられる。こうしたAIシステムは人間を凌駕する思考力や自己改善能力、遂行力をもつ可能性があり、この競争が加速すれば、もっとも高度なAIを有する国が将来の世界秩序のルールを形成する可能性もある。そのような文脈において、ビットコイン・マイニングのインフラはAIコンピュート用途に容易に転用可能であり、単なる通貨の問題にとどまらず、アメリカの地政学的な立場を守るうえで極めて重要な戦略資産となる可能性がある。

トランプ政権はこうした課題と機会を的確に見据えている。同政権の政策は、アメリカの産業基盤の再建、主要産業の国内回帰(リショアリング)、国家の金融・技術力の回復に重点を置いている。新たな関税措置やリショア政策、そしてビットコインへの関心の高まりは、いずれも同じ方向性を示している。

しかし、ビットコインの供給量はわずか2100万枚に限られており、国家が先行者利益を得られる時間は急速に失われつつある。ビットコインの戦略的価値に触発される国家や機関投資家が増えるにつれ、有意な保有量を確保するための競争は激化し、取得コストは上昇、入手可能な供給量はますます限られていくことになるだろう。

これからの通貨とテクノロジーをめぐる構造変化は極めて大きく深く、その中心にはビットコインが存在する。将来を見据えた政策立案者たちは、この現実にいち早く気づく必要がある。

もしも、われわれがためらえば、中国やロシア、あるいは他の競合国がその空白を埋めることになるだろう。

ビットコインはもはや「選択肢」ではない、国家戦略上の「必須事項」なのだ。


本記事はZack Cohenによるゲスト寄稿です。記事内に述べられた意見は、完全に筆者個人のものであり、BTC IncやBitcoin Magazineの見解を必ずしも反映するものではありません。

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