米商品先物取引委員会(CFTC)が、デジタルアセットに関する旧来の方針を大きく転換させた。規制された暗号資産市場への再編に向け、また一歩、重要な布石が打たれた形だ。
キャロライン・D・ファム委員長代行は、2020年以降、企業の保管・決済実務を形作ってきた「仮想通貨の現物受渡し(actual delivery)」に関するガイダンスを撤回すると明言した。トークン化市場の台頭、新たな法整備、そして現物取引への監視強化。これらを反映した新指針への道ならしである。
「業界を罰し、イノベーションを阻害するだけの、複雑で時代遅れなガイダンスを排除すること。これこそが今年、政権が目指してきたことだ」──ファム氏はそう強調する。米国トレーダーを保護しつつ、より広範な市場アクセスを支援する意思表示でもある。
撤回された助言文書は、リテール商品取引において仮想通貨が「受渡し」されたとみなされる条件を定めたものだった。だが、そのフレームワークは、規制下のインフラが限定的で、ビットコインのカストディや決済のみに焦点が当たっていた時代の遺物だ。
状況は一変した。議会は「GENIUS法」を可決し、CFTCは規制された現物取引への扉を開放。大手金融機関においてもトークン化が核心的なテーマとなっている。スタッフにとっても、2020年の助言文書が市場の実態と乖離していることは明白だった。
今回の撤回は、大統領作業部会(PWG)によるデジタル資産市場に関する勧告を履行する動きの一環でもある。
CFTCによる暗号資産政策の転換
12月初旬より続く一連の施策は、暗号資産活動をオンショア(米国内)へ呼び戻し、連邦政府の監督下に置こうとする明確な意図を示している。
今月、同庁はビットコインなどを規制されたデリバティブ市場の担保として認めるパイロットプログラムを開始した。先物取次業者(FCM)に対し、詳細な報告とリスク管理要件を義務付けるこのプログラム。トークン化資産が既存のCFTC規則にどう適合するか、最新のガイダンスも併せて示されている。
パイロット下では、企業は顧客口座内のデジタルアセット明細を週次で報告し、トークン化担保に関連する重大インシデントがあれば即座に通知しなければならない。
証拠金口座での暗号資産利用をテストさせつつ、運用・カストディリスクを可視化させる狙いだ。
また、FCMが決済用ステーブルコインを含む「非証券デジタルアセット」を受け入れる際の資本・分別管理要件も明確化。担保利用を制限していた2020年の制約も取り払われた。
米国現物市場への道筋
画期的なのは、CFTCが連邦規制下でのビットコイン現物取引を初めて承認した点だ。米デリバティブ・プラットフォーム「Bitnomial」は来週より、現物、無期限、先物、オプションを単一の取引所で提供開始する。完全なCFTC監督下での始動だ。
この構造により、商品タイプを横断した証拠金の統合やネット決済が可能となる。トレーダーにとっては、重複する担保要件が削減されるメリットがある。
ファム氏は語る。監視下での現物取引拡大は、米国のトレーダーにオフショア取引所に代わる安全な選択肢を提供するだけでなく、国内企業が州ごとの不確実性に悩まされずに活動できる環境を作ることになる、と。
変化は取引だけにとどまらない。暗号資産を用いた予測市場「Polymarket」も、コンプライアンス体制の刷新と登録プラットフォームの買収を経て、米国での再開承認を取り付けた。新技術の採用を阻むのではなく、デジタル市場の監督強化を目指す──これがCFTCの掲げる大目標だ。
さらに、Geminiの指定契約市場(DCM)ライセンス申請も承認された。これにより、予測市場の立ち上げ、そして将来的には暗号資産先物、オプション、無期限スワップへの参入が可能となる。
Geminiが最初に申請を行ったのは2020年。予測市場への関心が爆発的に高まる、遥か以前のことだった。