「……私たちは、規制されたETF(上場投資信託)ファンドにおいては、間違いなく世界の暗号資産の中心になるだろう。しかし、ピア・ツー・ピア取引や個人の自由において、アメリカを世界の暗号資産の中心地にするために、真剣に取り組んでいるだろうか? それこそが求められるべきことだ」── ピーター・ヴァン・ヴァルケンバーグ
Tornado Cash(トルネード・キャッシュ)の共同創設者であるローマン・ストーム氏が無認可の送金事業を共謀で運営した罪で有罪判決を受け、Samourai Wallet(サムライ・ウォレット)の開発者が司法取引に応じたことを受けて、ピーター・ヴァン・ヴァルケンバーグ氏は、少なくとも取引のプライバシーやピア・ツー・ピアの権利に関する限りは、アメリカが世界の“暗号資産の首都”になることはないかもしれないと懸念している。
ヴァン・ヴァルケンバーグ氏とのインタビューでは、Tornado Cash事件とSamourai Wallet事件の結果が、アメリカ市民がビットコインや暗号資産を匿名で使用する権利をいかに危うくしているかについて議論を交わした。
さらに、ヴァン・ヴァルケンバーグ氏は、ブロックチェーン規制確実性法(BRCA:Blockchain Regulatory Certainty Act)から主要文言を借用したCLARITY法案のような強力な法律を制定すれば、プライバシー強化を含む非保管型暗号資産技術の開発者を保護するのに十分かどうかについても言及した。
また、ヴァン・ヴァルケンバーグ氏は、ホワイトハウスの「デジタル金融技術における米国のリーダーシップ強化」報告書がBRCAの可決を求めていることにも触れ、それが「Tornado Cash事件のような訴追が再び起こらないようにするための最善の方法だ」と述べた。
ヴァン・ヴァルケンバーグ氏はさらに、2019年のFinCENガイダンスでは非保管型暗号資産技術は送金技術として分類されるべきではないと明記されているため、Tornado CashとSamourai Walletの開発者に対する送金業務の起訴はそもそも行なわれるべきではなかったと付け加えた。
「CoinJoinサーバーの運用はCraigslist(クレイグズリスト)の運営に似ている」と、ヴァン・ヴァルケンバーグ氏は説明した。
「人々はCraigslistで出会い、価値の交換などを行なうが、Craigslist自体は価値を交換しているわけではなく、ただ、価値を交換しようとする人々を結び付けているだけだ」とも付け加えた。
ヴァン・ヴァルケンバーグ氏は、アメリカ市民が起訴を恐れることなくビットコインや暗号資産の取引を匿名化できる技術をソフトウェア開発者が開発できることが、アメリカを「世界の暗号資産の首都」にするというドナルド・トランプ大統領のヴィジョンを実現するための鍵だと主張した。
ヴァン・ヴァルケンバーグ氏によれば、ビットコインや暗号資産のミキサー、その他のタイプの非保管型暗号資産技術を使用できることは、現代アメリカ人の個人の自由の権利にとって不可欠だという。
この自由を守らなければ、アメリカは敵国と何ら変わらないと、彼は指摘した。
「もし、中国や北朝鮮のように金融取引が完全に監視されてしまえば、私たちはもはやアメリカではなくなる」と、ヴァン・ヴァルケンバーグ氏は語った。