ビットコインが6万ドル付近で推移する中、ストラテジー社は依然として圧力にさらされているが、最近の資金調達策によって、同社は当面の時間を稼いだ——米証券大手チャールズ・シュワブの調査部門、Schwab Center for Financial Researchで暗号資産調査・戦略ディレクターを務めるジム・フェライオリ氏はそう述べた。
ニューヨーク証券取引所で収録された番組「Morning Trade Live」に出演したフェライオリ氏は、ビットコイン価格が過去最高値から50%下落する中、マイケル・セイラー氏が率いるストラテジー社が厳しい視線にさらされていると述べた。ビットコインを最も多く保有する企業であるストラテジー社は、これまで購入資金の多くを優先株の発行でまかなってきた。その中には変動利回りの優先株式「Stretch優先株式」(STRC)も含まれる。
STRCは額面100ドルに対し一時70ドル近辺まで下落したが、その後反発した。ストラテジー社は額面価格を維持するため、STRCの配当利回りを12%に引き上げるとともに20億ドル規模の自社株買いを承認し、さらなるビットコイン売却の余地も解禁した。これを受け、STRC株価は額面へ向けて回復し始めている。
フェライオリ氏は「市場はこうした対応を支持している」と述べ、この反応が連鎖的な清算への懸念に対する歯止めとなっていると説明した。
この動きは、「絶対に売らない」姿勢で知られてきた同社にとってのトーンの変化を示している。
フェライオリ氏は「ビットコインを絶対に売らないという姿勢から、戦略的に売却するという姿勢へ変わった」と述べ、こうした変化への批判にも一定の妥当性があると認めた。その上で、株価評価倍率(マルチプル)が低下すれば、下期にストラテジー社が新株を発行してビットコインを追加購入する余力が制限されかねないと注意を促した。
ビットコイン軟調に対するシュワブの見方
フェライオリ氏は、トランプ大統領が新設の子供向け貯蓄プログラム「トランプ口座」でビットコイン保有を容認する可能性を示唆した発言を受けて市場が上昇した動きについても言及した。
フェライオリ氏はこの動きを、現物ETF経由で参入してきた主流派投資家に加え、新たな買い手層が加わる可能性を示すシグナルだと読み解いた。
「暗号資産市場はナラティブ(物語)を好む」と同氏は述べ、この資産はモメンタム主導型だと評した。
相関性について、フェライオリ氏はビットコインを低相関資産と位置づけ、その特性は新規供給を減らす4年ごとの半減期に起因すると説明した。かつてハイテク株との連動性が見られたが、その関係は崩れており、ドルとの逆相関という歴史的な関係性も揺らいでいる。実際、今年はドル高局面でもビットコインが上昇する場面が見られたという。
「起点(スタート地点)が重要だ」と同氏は述べ、イラン紛争の際にはドルが上昇する中でもビットコインが値上がりしたと指摘した。
同氏はまた、40年来の安値圏で推移するドル円相場にも触れた。円高が進めば、投資家が円を売って成長資産を買う「円キャリー取引」が巻き戻される可能性がある。フェライオリ氏は、円相場の反発をリスク資産にとっての逆風となり得る要因と位置づけつつも、ビットコインにとって当面の主要なリスクではないとの見方を示した。
通貨価値の希薄化を見込む取引について、フェライオリ氏は、昨年の金相場の上昇とビットコインの時価総額の半減が対照的だったことをもって、ビットコインの価値保存手段としての論拠が否定されたとする見方には異を唱えた。
同氏は、金相場の上昇は財政不安ではなく供給制約とモメンタムによるものだと説明した。米連邦財政赤字は対GDP比8〜9%から5%へと縮小しており、これはビットコイン誕生以来の期間における中央値に近い水準だという。
「これは財政の健全性を裏付けるものではない」と同氏は述べつつ、「しかし、そのナラティブに一定の歯止めをかける材料にはなる」と付け加えた。