Bitwise(ビットワイズ)は、新たに3本のETF(上場投資信託)を発表した。これらは、利回りを求める投資家に対して、主要なビットコイン・トレジャリー企業へのエクスポージャーを提供するもので、カバード・コール戦略を用いて株式の価格変動(ボラティリティ)から収益を得つつ、ビットコインに連動する上昇幅を確保するよう設計されている。
各ファンドは以下の通り。
- $IMST:Strategy(旧MicroStrategy、ティッカー:MSTR)を追跡する。現在ストラテジー社は52万8185 BTCを保有している。
- $IMRA:MARA Holdings(Marathon Digital Holdings、ティッカー:MARA)に特化。マラソン社は4万7600 BTCを保有するトップクラスのビットコイン・マイナー。
- $ICOI:Coinbase(ティッカー:COIN)へのエクスポージャーを提供する。コインベース社は9480 BTCを保有し、機関投資家と個人投資家の双方にとってビットコイン導入の主要な玄関口となっている。
これらのETFはいずれもアクティブ運用によるオプション・オーバーレイ戦略を採用しており、保有株式に対してアウト・オブ・ザ・マネー(現時点の価格より高い価格での売却権)となるコール・オプションを売却する一方で、同株式のロング(買い持ち)ポジションを維持する。この手法により、月次のインカム分配が狙える構造となっており、とりわけ現在のような高ボラティリティの市場環境において魅力的であるとされる。また、ビットコインに関連した企業の上昇余地(アップサイド)も同時に保持することが可能だ。
なお、このETF3商品はビットコインそのものを直接保有してはいない。しかし、いずれの基礎資産(株式)もビットコインのパフォーマンスや将来動向と極めて密接に関係している。ストラテジーとマラソンは企業としてビットコインを大量に保有していることで知られ、コインベース社はビットコイン市場全体のインフラとして重要な役割を果たし続けている。
ビットコインに連動した資本配分の新ツール
ビットコインを長期的な戦略資産とみなす企業の財務担当者や機関投資家にとって、これらの新商品は、ビットコイン(BTC)を直接的に保有することができないバランスシートにおいても、利回りを得ながら間接的なエクスポージャーを確保する有力な手段となる。
このような株式ベースの戦略の台頭は、大きなトレンドの一部でもある。現在、多くの上場企業がビットコインを財務モデルに積極的に組み込むようになってきており、それは直接的な保有にとどまらず、ビットコインのマイニング(採掘)、カストディ(保管)、あるいは取引所インフラに関連したサービスや事業を通じて行なわれている。
Bitwiseが提供するのは、単なるエクスポージャーではない。ボラティリティを収益化する手段でもある。これは、ビットコインに特化した企業が強く経験する特性だ。例えば、MSTR(ストラテジー)の株価はビットコイン価格の変動に反応しやすく、MARA(マラソン)の株価はマイニングの難易度や報酬に左右され、COIN(コインベース)の株価は取引量や規制環境の変化に敏感に反応する。こうした株式は、洗練された投資家にとってビットコインの代替的な指標(プロキシ)として活用されつつある。
昨今、ビットコインETF、マイニング株式、およびビットコイン・トレジャリー企業に対する機関投資家の関心が高まりをみせている。そのなかで、IMST、IMRA、ICOIといった新商品は、この新たな需要に応えるユニークなアングルを提供している。すでにビットコインを企業財務に採り入れている企業、あるいは導入を検討している企業にとって、これは資本市場インフラの重要な進化といえる。
ビットコイン・トレジャリー戦略において、このETFが示すもの
これらETFの登場は、ビットコインがもはや単なる現物資産ではなくなっていることを示している。ビットコインは現在、上場株式戦略、利回りの創出、ポートフォリオ構築といった分野にも組み込まれている。
カバード・コール構造がすべての投資家や財務部門に適しているとは限らないが、ここでのシグナルは明確だ。即ち、ビットコインは「ただ保有するもの」ではなく、「積極的に運用され、構造化され、収益化されるべき存在」へと変化しつつあるという市場の成熟を示している。
この新しいETFは、企業のバランスシートにおいてビットコインの直接保有に取って代わるものではない。しかし、それを補完する役割を果たす可能性がある。リスク管理、利回り確保、財務報告といった従来型の要件を満たしながら、ビットコインとのかかわり方を模索する企業にとって、最初の一歩となりえるのだ。
免責事項:本記事は「Bitcoin For Corporations」のために執筆されたものです。あくまで情報提供を目的としており、有価証券の取得、購入、または申込みの勧誘ではありません。