CJ・コンスタンティノス氏にとって、ビットコイン担保型住宅ローンの意義は個人的なものでもある。2019年、彼は100ビットコインで家を購入した。そのビットコインは現在およそ760万ドルの価値となっているが、自分の家はもはや50万ドル以上では売れないだろうと、彼は語る。
当時、その取引は従来の金融の世界では「無謀だ」と見なされる類のものだった。しかし現在、コンスタンティノス氏はPeoples Reserve社を経営し、世界最大のビットコイン・カンファレンスで登壇し、なぜ同じことを再び、それも今度は構造化されたビットコイン融資商品を通じて行なうことが、ますます多くのビットコイン保有者にとって合理的であるのかを説明している。
4月29日(米国時間)、ラスベガスで開催されたカンファレンス「Bitcoin 2026」のメインステージで行なわれた「HODLから住宅へ:ビットコイン担保ローンと住宅ローンの出会い」と題されたパネルディスカッションで、コンスタンティノス氏は「ビットコインが私を見つけ出し、頭を叩き起こしたんだ」と語った。
このセッションでは、SALT Lending社とPeoples Reserveの幹部が登壇し、彼らが「転換期にある」と主張する市場、すなわちビットコインを売却することなく担保として住宅を購入する仕組みについて議論した。
議論は具体的な金融の仕組みにも及んだが、最終的にはより根本的なテーマへと繰り返し立ち返った。コンスタンティノス氏は、住宅とは単なる不動産取引ではないと指摘した。家とは家族を築く場所であり、安心感を得られる場所である。この視点が、ビットコインの技術的な特性と、人間にとってもっとも根源的な金融ニーズのひとつを結び付ける議論の基調を形成した。
ビットコインは住宅所有を容易にする
SALT Lendingの最高収益責任者であるハンター・オルブライト氏は、住宅市場の数字が厳しい現実を物語っていると述べた。初めて住宅を購入することがますます難しくなっていることを指摘し、現在では米国の初回住宅購入者の多くが40歳以上になっていることを示すデータを挙げた。こうした統計は、従来の住宅ローン融資が多くの人々にとって機能していないことを示している。
同時にオルブライト氏は、多額の資産がビットコインとして保有されており、保有者にとっては遊休資産だが、金融ツールとしては十分に活用されていないと指摘した。ビットコイン担保融資で10年近くの実績をもつSALT Lendingは、顧客の利用事例として4つのユースケースを挙げている。それは、従来の金融サービスへの橋渡しとなる「アクセス」、約24時間で融資を成立させるスピードという「優位性」、既存の物件を売却する前に新居を購入できる「機動性」、そしてビットコイン担保の信用を活用して長期的に資産形成を行なう「加速性」である。
コンスタンティノス氏は、貨幣史の観点から担保としてのビットコインの有効性を説明した。金(ゴールド)は担保として機能するが、実物資産であり移動が難しい。米国債は堅調だが、供給拡大に伴うインフレリスクを抱えている。
彼は、ビットコインはその両方の長所を兼ね備えていると主張した。ビットコインの供給量は有限であり、オンチェーンでの決済が可能で、物理的な決済に伴う摩擦なしに世界中へ数十億ドル規模の価値を移動させることができる。
「現在の金利制度では、ごく少数の人間が貨幣の価格を決めている。いまの状況をうまく操作することはできない」と、コンスタンティノス氏は述べた。彼の主張は、ビットコイン担保が貸し手のリスクを低減することで、借入コストの低下という構造的条件を生み出し、その結果として住宅へのアクセスがより広がるというものだ。
オルブライト氏は、貸し手側の視点からもこの主張を裏付けた。彼によれば、ビットコインは資本市場へのアクセスの在り方を「一変させる」。担保が強固で流動性が高いため、ビットコインを担保に融資を行なう企業は魅力的な金利で資金を調達でき、その分、顧客によりよい条件を提供できるという。
また、SALT Lendingは、市場が不安定な局面においてビットコイン担保をステーブルコインに交換できる技術も開発しており、これは取引の両当事者を保護する仕組みであると説明した。
ふたりのパネリストはともに、これらの商品がこれまで主に富裕層、つまりコンスタンティノス氏が「金持ち」と呼ぶような旧来の資産家や伝統的金融の投資家に利用されてきたことも認めた。しかし、次の波はより広範な層に広がるだろうと述べた。
コンスタンティノス氏は「ビットコインは私の問題を解決してくれる」と語り、新たなユーザー層が市場に参入してきていると説明した。オルブライト氏も同様の見解を示し、ビットコインはこれまでプライベートバンキングの顧客にしか利用できなかった戦略を、この資産を保有するすべての人に提供しつつあると述べた。
またパネルディスカッションでは、より広範な経済全体における構造変化についても触れられた。オルブライト氏は、労働収入中心の経済から資産収入中心の経済への移行が進んでいると指摘。そのような世界では、資産を売却せずに担保として借り入れを行なう能力は、もはや贅沢ではなく、金融経済の基盤となるのだという。