機関投資家が主導する構造的転換
ビットコイン投資家は最近の市場の荒れ模様のなかでも予想外の粘り強さを見せている。その背景にあるのは機関投資家と積極的な企業財務の買いだ。
アナリストたちはこの動向が保有構造の構造的転換を示していると見る。暗号資産取引所ビットフィネックス(Bitfinex)はビットコイン・マガジンへのノートで「4営業日連続のETF資金流入と積極的な現物需要は、ひとつのことを示唆している——機関投資家が戻ってきており、現在の価格水準(7万ドル超に回復)での保有拡大に動く準備ができている」と述べた。
同社はさらに「レジスタンスを突破して維持できれば、モメンタムの拡大が起きる可能性がある。ポジションとフローのバランスを見ると、市場は数週間のレンジ相場を経て次の方向感を探る準備を整えつつある」と分析した。
ビットワイズ(Bitwise)の最高投資責任者マット・ハウガン(Matt Hougan)も、2025年10月以降にビットコインが約50%下落するなかでもビットコインETFが底堅く推移していることを指摘し、機関投資家の持続的なコミットメントを強調した。
「最も明確な証拠はETF市場にある」とハウガンはコインデスク(CoinDesk)の取材に語った。「ビットコインETFは2024年1月の上場から2025年10月までに約600億ドルの純流入を記録した。その後、価格は50%下落しているが、ETFからの資金流出は100億ドルに満たない」と述べた。
「ダイヤモンドハンド」が示す高い確信
ハウガンは機関投資家の行動を「ダイヤモンドハンド」と表現した。大幅な価格下落局面でもポジションを維持し続ける姿勢だ。この粘り強さの根拠として、ビットコインがいまだ非コンセンサスな資産であることを挙げる。
今日ビットコインを購入する機関投資家は、まだ同業他社の中で目立つリスク(キャリアリスク)を取っている存在だ。そのリスクを引き受けているからこそ、並外れた確信が生まれる。現在ビットコインに資本を配分している投資家の多くは、単に楽観的なのではなく、長期的な価値を80〜90%の確度で確信しているのだとハウガンは説明する。
この確信が、彼が改めて打ち出した「1コイン100万ドル」という長期予測を支えている。
「100万ドル予測の最も驚くべき点は、それが全く突飛ではないということだ」とハウガンは言う。「必要なのはふたつだけ——グローバルな価値の保存手段市場が過去20年と同様に成長を続けること、そしてビットコインがその市場で小さくても実質的な地位を占めること、それだけだ」
1コイン100万ドル予測の根拠
先週ハウガンは、ビットコインが100万ドルに到達できないという懐疑論は、その評価方法の誤解から来ていると論じた。多くのアナリストは急成長するグローバルな価値保存手段市場を無視した「静的な計算式」を使っているという指摘だ。
ビットコインを金(ゴールド)の新たな競合と位置づけ、38兆ドル規模の市場と2,100万枚という固定供給量を組み合わせると、100万ドルという価格目標は十分に現実的だとハウガンは試算する。
投機から成熟資産へ
この見立てを裏付けるように、バーンスタイン(Bernstein)のアナリストも3月16日付のリサーチノートでビットコインの保有基盤の成熟を指摘した。個人投機への依存が低下しているという。
ビットコイン・マガジンが確認した同ノートでは、現物ビットコインETFとストラテジー(Strategy)のような企業財務の買いが持つ影響力の拡大が強調されている。バーンスタインはストラテジーを「最後の砦となるビットコイン中央銀行」と表現した。2026年だけで6万6,000 BTC超を平均取得単価約8万5,000ドルで積み増し、累計保有量は76万1,000 BTCを超え、時価約560億ドルに達している。
機関投資家のETFへの資金流入が保有構造を変えつつあるとバーンスタインは強調する。現物ETFは3週間で約21億ドルの流入を記録し、年初来の流出4億6,000万ドルをほぼ相殺した。機関投資家向け商品が管理するビットコインは全体の約6.1%に達し、1年以上動いていないコインは流通量の約60%を占める。長期保有層が着実に広がっている証左だ。
オンチェーン指標が示す弱気サイクルの終盤
オンチェーン指標も同様の方向を示している。ビットゲット・ウォレット(Bitget Wallet)のレイシー・チャン(Lacie Zhang)はビットコイン・マガジンに対し、「実現価格やMVRV(市場価値対実現価値比率)といったオンチェーン(on-chain)指標の収束は、ビットコインが典型的な弱気サイクルの終盤に差し掛かっている可能性を示唆している。歴史的に、この局面は継続的な投げ売りではなく長期的な積み上げと結びついている」と述べた。
短期的なマクロの逆風はあるものの、現在の状況は戦略的な積み上げ局面を示しており、より長期の投資家が次のサイクルに向けてポジションを構築するなかで、ビットコインは6万8,000〜8万4,000ドルのレンジで推移する可能性が高いという見方だ。
