Homeビジネスストラテジーのビットコイン戦略が企業金融のあり方を再構築。他社は軒並み後れを取っている

ストラテジーのビットコイン戦略が企業金融のあり方を再構築。他社は軒並み後れを取っている

マイケル・セイラー率いるストラテジーは企業によるビットコイン蓄積のほぼすべてを牽引しており、優先株式「STRC」を活用したトレジャリーモデルは、2026年のいま、企業がビットコインを採り入れる方法を根本的に変える支配的な力となっている。

3月のビットコインに関する数字は無視できないものであり、一見すると強気な内容となっている。上場企業および非上場企業は合計で4万7435 BTCを財務資産に追加したが、これは月末時点の価格で約32億ドルに相当する。しかし、この台帳からある一社を除外すると、全体像は劇的に変わる。 

これらのビットコインのほぼすべては、マイケル・セイラー氏率いるストラテジー社によって購入されたものだ。「Bitcoin Magazine」に提供された BitcoinTreasuries.NET の3月分レポートによると、その他の企業による購入は総じて後退している。

この乖離こそが、2026年における企業のビットコイン採用を特徴づけるストーリーとなりつつある。ストラテジーは3月だけで4万4377 BTCを購入しており、そのなかには同社史上最大規模となる単週購入額の2万2337 BTCも含まれている(3月16日に開示)。この購入資金は、優先株式「STRC」および普通株式「MSTR」のATM売却による15億7000万ドルの資金調達によって賄われた。 

現在、同社は上場企業が保有するビットコイン全体の3分の2を占有しており、保有量は約76万7000 BTCに達している。かなり積極的ではあるものの現実的なシナリオとして、100万 BTCに到達する可能性も視野に入っている。

「STRC」がストラテジーの蓄積マシンの構築を支えている

BitcoinTreasuries.NETが「弱気相場」と評する状況下で、ストラテジーがどのようにしてこれほどの規模で買い続けているのかを理解するには、同社の変動利付型永久優先株商品である「STRC」を理解する必要がある。

「STRC」は100ドル近辺の額面価格を目標としており、現在の利回りは年率約11.5%で、これは毎月リセットされる。ストラテジーの資本構成においては普通株式よりも上位に位置し、「MSTR」株よりも予測可能なリターンを提供しつつ、その裏付けとしてビットコイン・トレジャリーに連動している。

3月はこの金融商品にとって転換点となった。「STRC」は3月12日に過去最高となる単日取引高7億4600万ドルを記録し、3月31日には過去2番目に高い5億2200万ドルを記録した。さらに、3月9日から13日までの1週間だけで取引高は22億7000万ドルに達した。この需要は単に記録を更新しただけでなく、ビットコインの購入資金をもたらすこととなった。 

ストラテジーが3月9日から15日の週に提出した8-K報告書によると、「STRC」のATMによる資金調達は12億ドル、「MSTR」による資金調達は3億9600万ドルで、これらを合わせて過去最大級となる2万2337 BTCの購入資金に充てたとのことだ。

現在、ストラテジーは新たに総額420億ドル規模のATMプログラムを申請しており、これは「STRC」と「MSTR」で均等に配分され、さらに21億ドル分の「STRK」が追加されている。BitcoinTreasuries.NETの試算によると、毎月約23億ドルの資金が19カ月にわたって調達され、ビットコイン価格が7万5000ドル前後で推移した場合、ストラテジーの保有量は2026年11月までに100万 BTCに到達する可能性がある。 

一方、ストラテジーの2025年1月以降の平均月間購入量である2万1000 BTCを用いたより保守的な予測では、100万 BTC到達時期は2027年3月までずれ込むことになる。

BTC保有ランキングにおける顕著な急落

また、3月は主要なビットコイン・トレジャリー企業のランキングに大きな変動をもたらし、セイラー氏の周辺以外では様相がいかに異なっているかを浮き彫りにした。かつて上場企業のなかで第2位のビットコイン・トレジャリーを誇っていたMARA Holdings社は、転換社債を買い戻すために約11億ドル相当の1万5133 BTCを売却した。この売却により、同社の保有量の約28%が失われた。 

BitcoinTreasuries.NETのタイラー・ロウ氏は、「MARAは強気相場の局面で積極的に資金を借り入れてビットコインを積み上げたが、現在はその債務を返済するために損失を出してビットコインを売却している。これはまさに、債務に依存したトレジャリー戦略に対する批判者が警告してきたシナリオそのものだ」と指摘している。

これにより、ジャック・マラーズ氏率いるTwenty One Capital(XXI)社が2位に浮上、現在の保有量は4万3514 BTCだ。ただし注目すべき点として、XXIは8月以降ビットコインを購入していない。順位の上昇は純粋にMARAの下落によるものだ。米国以外でもっとも積極的なビットコイン備蓄企業のひとつとなった日本のメタプラネット社は、4月上旬に5075 BTCを取得し保有量を4万177 BTCに引き上げ、MARAを抜いて3位に躍り出た。

GameStop社のケースはおそらくもっとも異例だろう。小売業者から暗号資産トレジャリー企業へと転換した同社は、Coinbase Creditとのカバードコール戦略において4709 BTCを担保として差し入れ、直接保有しているビットコインはわずか1 BTCのみとなっている。 

取引相手は担保として差し入れられたビットコインを売却または再担保(リハイポセケーション)する権利を有するが、GameStopは同量のビットコインを返還してもらう契約上の権利を保持している。これにより、同社はビットコイン保有ランキングで21位から190位近くまで順位を落とした。

上場企業のビットコイン蓄積は停滞

ランキング変動劇の裏で、​​3月のレポートは静かではあるが重要なトレンドも明らかにした。ストラテジーを除くと、企業のビットコインに対する信念が急激に冷え込んでいるというものだ。ストラテジー以外の上場企業は昨夏に積極的にビットコインの備蓄を進めていたが、10月以降は純購入が減少し売却が加速している。 

月間の購入企業数も9月以降着実に減少しており、3月にはわずか16社にまで落ち込んだ。

Bitcoin Consulting Groupのライアン・ストラウス氏は、「私が特に注目しているのは、保有量増加に関するニュースが構造的にストラテジーだけに依存している点だ。ストラテジーを除くと、基調は強さから明確な減速へと一変する。純蓄積と参加企業数の両方の減少は、単なるノイズではなく、昨年夏の積極的なポジショニングの後に企業の確信度が冷え込んでいることを示している」とレポートのなかで端的に述べている。

売却に踏み切った企業には、W3C Corpの買収資金を確保するためにビットコイン保有量を推定1084 BTC減少させたExodus Movement、178 BTC減少させたFold Inc.、マイニングのアップデートを受けて331.3 BTC削減したCango Inc.などが含まれる。

「STRC」を中心に形成されつつある新たな金融エコシステム

3月の動きでもっとも重要なのは、売買そのものではなく、「STRC」を中心に構築されつつある金融商品の新たなエコシステムかもしれない。少なくとも5社の企業が「STRC」への投資または取得計画を明らかにしている。マット・コールCEO率いる資産運用会社のStrive社は、財務資金の3分の1以上に相当する5000万ドルを投資し、「STRC」を「主に低利回りのマネーマーケットファンド(MMF)の現金で構成される米ドル準備金に代わる選択肢」と位置付けている。 

自らを「初の配当裏付け型ステーブルコイン」と称するDeFiプロトコルであるApyxは、4月初旬時点で「STRC」を約45万株(4500万ドル相当)保有しており、その利回りを自社のステーブルコインであるapxUSDの裏付けとして活用している。

一方、投資信託やETF(上場投資信託)は現在、合計で20億ドル以上のデジタルクレジット商品を保有しており、「STRC」単体だけでも、Capital Group、VanEck、ブラックロック、フィデリティなどのデータによれば5億9100万ドルを占めている。 

BitcoinTreasuries.NETは、この機関投資家向けの参入経路を、特に時宜を得たものと指摘している。その背景には、一部の発行体が個人投資家の資金引き出しを制限したり、償還額に上限を設けたりしているプライベートクレジット市場の問題がある。レポートは、こうした構造的に不透明なシステムは、担保がオンチェーンで確認でき、価格が公開されているビットコイン担保型デジタルクレジットと比べて不利であると報告している。

総じて、2026年3月の市場調査から導かれる広範な結論はこうだ。企業によるビットコイン採用は弱まっているのではなく、むしろ集中化しているということだ。ストラテジーはもはや最大のプレイヤーであるだけでなく、価格の動向にかかわらずビットコイン蓄積を継続するために設計された金融アーキテクチャを拡張し続けることで、市場そのものになりつつある。

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  • Micahは2018年に初めてビットコインと出会ったものの、しばらく懐疑的な立場を取り続けていました。2021年以降は暗号資産やビジネス分野の取材を行なっており、現在はノースカロライナ州を拠点にBitcoin Magazineのジュニアニュースリポーターとして活動しています。

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Micah Zimmerman
Micah Zimmerman
Micahは2018年に初めてビットコインと出会ったものの、しばらく懐疑的な立場を取り続けていました。2021年以降は暗号資産やビジネス分野の取材を行なっており、現在はノースカロライナ州を拠点にBitcoin Magazineのジュニアニュースリポーターとして活動しています。
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