イラン・イスラエル紛争が激化した2026年以降、ビットコイン価格は約8%上昇し7万3,000ドルを超え、1カ月ぶりの高値を記録した。原油価格の急騰と利下げ期待の後退が重なる局面で、金・銀・米主要株価指数をいずれも上回るパフォーマンスを見せた。
伝統的資産に明暗
市場データによれば、ビットコインはイランへの最初の攻撃が始まって以来、デジタル資産の中で際立った動きを見せた。地政学的緊張が高まる局面で、複数の伝統的な安全資産やリスク資産を凌ぐ結果となった。
同期間に金は約3%下落し、紛争前の水準から後退した。銀は10%超の下落で、90ドル超から約82ドルに沈んだ。米国株式市場でもS&P 500とナスダック(Nasdaq)総合指数がそれぞれ1〜2%下落した。
こうした乖離が生じた背景には、世界的なエネルギー価格の急騰がある。原油はほぼ4年ぶりに1バレル100ドルを突破し、20%近く上昇した。中東の緊張が供給ルートを脅かすとの懸念からだ。こうした状況は通常、暗号資産市場にとって逆風となる。エネルギー高とそれに伴う金融引き締めはインフレ懸念を高め、世界的なリスク選好を低下させるためだ。
初動の急落と反発
ビットコインも当初はそのパターンに沿って動いた。紛争開始直後の数時間、投資家が暗号資産デリバティブ市場でポジションを一斉に圧縮したことで価格は急落した。最初の週末の売りで約3億ドル相当のレバレッジポジションが強制決済され、ビットコインは一時6万3,000ドル台半ばまで下落した。
この売りは、地政学的ショック時にビットコインがハイベータ資産として他の高リスク資産と連動して動くという過去のパターンと一致していた。
だが、その後の1週間で市場の反応は変わった。
ビットコイン価格の回復
エネルギー価格が上昇を続けるなかでも、ビットコインは安値に留まらず着実に回復し、7万ドルの水準を回復した。困難なマクロ環境にもかかわらず、同じ期間に金属・株式を上回るリターンを上げた形だ。
ビットコイン・マガジン・プロ(Bitcoin Magazine Pro)のデリバティブデータによれば、回復の一因は市場のレバレッジ解消にある。大規模な清算によって投機的ポジションが一掃された後、投資家は再びエクスポージャーを積み上げ始めた。
主要取引所の建玉(オープン・インタレスト)は約8万8,000 BTCまで回復した。急騰前によく見られる極端なレバレッジ水準には達しておらず、健全な形での参加再開を示している。
機関投資家の需要が下支え
機関投資家(institutional investor)の需要も反発を後押しした。
米国の現物ビットコインETFには当週だけで約5億8,600万ドルの資金が流入し、今年最大規模の週次流入を記録した。地政学的緊張とインフレ懸念が再燃するなかでも、安定した需要が市場に継続して入り込んでいる。
ブラックロック(BlackRock)のデジタル資産部門責任者ロバート・ミッチニック(Robert Mitchnick)は、ETF投資家の行動はボラティリティ(volatility)が高い局面でも安定していると述べた。
CNBCに出演したミッチニックは、ビットコイン価格が大きく下落する局面でもETFフローは長期的な積み上げパターンを示していると語った。ファイナンシャルアドバイザー、機関投資家、個人投資家を含む幅広い投資家層が、価格下落時にむしろ買い増しを行う腰の据わったアプローチを取っていると指摘した。
NEW: $14 trillion BlackRock says Bitcoin ETF investors are “long term buy and hold fundamental type investors” and flows are positive 🚀
“90% of the investor base” are steadily accumulating during this bear market 🐂 pic.twitter.com/ncI3GCyebq
— Bitcoin Magazine (@BitcoinMagazine) March 13, 2026
また、iシェアーズ・ビットコイン・トラストETF(IBIT)がビットコインの直近高値からの急落局面でも資金流入を継続したことに触れ、2025年通年では世界でも有数の資金流入ETFにランクインしたと強調した。これは長期投資家からの根強い需要を裏付けるものだ。
現物ETFの普及はビットコインの投資家層を広げ、以前の地政学的緊張局面と比べて市場流動性を深めた。機関資本が株式と同じ規制された商品を通じて市場に参入できる環境が整っている。
マクロ資産としての地位を強化
今回の紛争下でのビットコインのパフォーマンスは、世界市場の力学と暗号資産固有の需要の双方に反応する流動的なマクロ資産としての地位を改めて印象づけた。
原油価格、インフレ期待、中央銀行の政策が引き続き相場環境を規定する一方、ビットコインは今年最も不安定な地政学的局面のひとつで、多くの伝統的な指標よりも速い回復を見せた。
執筆時点のビットコイン価格は72,941ドルだ。
