マイケル・セイラー氏はこれまで壮大なヴィジョンを描くことを決して避けてこなかったが、彼の最新のロードマップであるストラテジー社のビットコイン戦略は、これまででもっとも大胆なものかもしれない。
「Bitcoin Magazine」との多岐にわたる会話のなかで、ストラテジー社の共同創設者は、同社が1兆ドル規模のビットコイン・バランスシートを構築し、その資本基盤を使って世界の信用システムを改革するという「エンドゲーム(最終段階)」を描き出した。
「エンドゲームは、1兆ドル相当のビットコインを蓄積し、それを年間20〜30%増やすこと。最終的な目標は、1兆ドル相当の担保を年率30%で成長させることだ」と、セイラー氏は「Bitcoin for Corporations」のマネージングディレクターであるジョージ・メカイル氏に語った。
セイラー氏のヴィジョンの核心にあるのはスケールだ。彼は、ストラテジー社と、それに続くであろう他のビットコイン・トレジャリー企業が、最終的に1兆ドル相当のBTCを蓄積できると信じている。
そこまで到達すれば、歴史的に平均して年間で約21%というビットコインの長期的な価格上昇のメカニズムが、その資本ストックを強力に加速させることになる。
ビットコイン担保クレジットの有利な利回り
それに加えて、セイラー氏は、法定通貨システムよりもはるかに優れた利回りでビットコインに裏付けられたクレジットを発行する新たな機会があると考えている。
その結果として、「二重のフライホイール」、つまり価値が成長し続けるデジタル担保の膨大な蓄積が生まれると同時に、デジタル信用市場の創出が促進されるだろうと、彼は主張する。
リスクフリー金利がゼロ近くに抑えられていることの多い、現在の法定通貨ベースの債務システムとは異なり、ビットコインを担保としたクレジットは、従来の社債や国債よりも2〜4パーセントポイント高い、より健全な利回りをもたらす可能性がある。
セイラー氏の説明によれば、これによって世界中の信用市場を活性化させることができるという。低利回りの債券に何兆ドルもの資金が眠っているヨーロッパや日本で、投資家が長きにわたる「金融抑圧」に耐え忍ぶ代わりに、ビットコインに裏付けられたデジタル信用はより高いリターンとより高い透明性をもたらすのだという。
彼は、資本の2倍の担保があれば、もっとも保守的なAAA格付けの社債よりも安全になる可能性があると語っている。
伝統的な金融手段はビットコインの間接的なビークルとなる
セイラー氏は、そのヴィジョンを信用取引の枠にとらわれない領域にまで広げている。ビットコインが企業、保険会社、銀行、さらには政府系ファンドのバランスシートに組み込まれるにつれ、S&P500のような株式指数は徐々に間接的にビットコインのビークルとなっていくだろう。
この転換は株式市場にも健全性をもたらし、上場企業がビットコインの複利成長の恩恵を受けられるようになると、彼は主張する。
その影響は金融全体に及ぶ。預金口座の利回りはほぼゼロではなく8〜10%に近づき、マネーマーケットファンドは法定通貨ではなくビットコイン建てとなり、保険商品はビットコイン担保を中心に再構築される。
アップルやグーグルのようなテック大手は、最終的にビットコインの保管とサービスを自社のグローバルプラットフォームに統合し、ほぼ一夜にして数億人もの人々をデジタル経済に引き込む可能性がある。
このシナリオにおいて、ビットコイン・トレジャリー企業は新しい金融アーキテクチャを駆動する原動力として機能する。セイラー氏の言葉を借りれば、「21世紀の銀行、信用、資本市場の基盤」である。
その規模は、数百兆ドルのビットコイン資本に裏付けられたデジタルクレジットで数十兆ドル規模に達する可能性がある。
セイラー氏によれば、この変革により、現在のシステムよりも「より賢く、より速く、より強く、10倍優れた」世界が創出され、ビットコイン経済に参加する者は、その外に取り残された人々よりも圧倒的な優位性を享受することになる。
9月の最終週を通して、ストラテジー社は2210万ドルを投じ、1BTCあたり平均11万3048ドルで196 BTCを追加購入した。