ノルウェー銀行インベストメント・マネジメント(NBIM)。1.7兆ドル(約260兆円)という天文学的な資産を運用するこの「クジラ」が、日本のメタプラネットに対し、静かだが力強い支持を表明した。
12月22日に開催されるメタプラネットの臨時株主総会。そこで諮られる会社提案の全5議案すべてに対し、NBIMが賛成票を投じたことが明らかになったのだ。これは単なる手続き上の承認ではない。同社が推進するビットコイン・トレジャリー戦略に対し、世界最大級の機関投資家が「お墨付き」を与えたことを意味する。
6月30日時点でメタプラネット株の約0.3%を保有するNBIMの投票行動は、同社のビットコイン戦略ディレクター、ディラン・ルクレア氏によって明かされた。
今回提出された5つの議案。その狙いは、資本政策の柔軟性を極限まで高め、「株式の希薄化を伴わないビットコイン蓄積(Non-dilutive bitcoin accumulation)」を実現することにある。
具体的には、資本金及び資本準備金の額の減少が含まれる。これにより確保した資金をその他資本剰余金へと振り替え、配当や自社株買い、そして何よりビットコインの追加購入を、発行済株式数を増やすことなく実行可能にする算段だ。
さらに、発行可能株式総数の拡大と、新たな種類株式の導入も提案されている。メタプラネットはこれを、将来的なビットコイン購入資金の調達手段としつつ、資本構成の規律を保つための布石であると説明している。
🇳🇴 ノルウェー政府系ファンドが
12月22日(月)開催予定の
メタプラネット臨時株主総会(EGM)の
全議案に賛成したことが明らかに。ちなみに同じく株主である
アダム・バック氏も
「自分も議案に賛成した」と返信でコメント。 https://t.co/ng6sHY5OMT— Bitcoin Magazine Japan (@BitcoinMagJapan) December 17, 2025
メタプラネットが描く「株式」の進化
この計画の核心は、永久優先株式の導入にある。
まず、「A種優先株式(通称:MARS)」。これは月次で変動する配当を提供し、資本構造において普通株よりも上位に位置付けられる設計だ。 次に、「B種優先株式(通称:MERCURY)」。こちらは四半期ごとの固定配当に加え、転換権や金銭対価による取得条項(Cash redemption features)を備えている。
メタプラネットは現在、ビットコインの追加購入資金として1億5,000万ドル規模の第三者割当増資を計画しており、その一環として機関投資家向けに「MERCURY」を発行する承認を求めている。
この優先株構造の狙いは明白だ。既存の普通株主への希薄化(ダイリューション)を最小限に抑えつつ、長期的な視点を持つ機関投資家のマネーを呼び込むことにある。
東京証券取引所に上場する同社は、ここ数ヶ月でその立ち位置を劇的に変えた。もはや単なる日本企業ではない。米国の先駆者たちと同様の戦略を正面から採用し、『ビットコイン・トレジャリー企業』としてのアイデンティティを鮮明に打ち出している。事実、その期待感からメタプラネットの普通株は年初来で約8%の上昇を見せている。
世界有数のホルダーとしての矜持
10月1日、メタプラネットは30,823 BTCを保有し、上場企業として世界第4位のビットコイン・ホルダーとなったことが報じられた。そして手を緩めることなく、新たな資本をビットコインの追加購入に充てる計画を継続的に発信している。残りの資金は、利回り生成(イールド)戦略や、既発社債の償還に充てられる見込みだ。
11月初旬には、ビットコイン担保型与信枠(Credit Facility)として設定された5億ドルから、1億ドルを引き出した。驚くべきは、その担保が保有する30,823 BTCのわずか3%に過ぎないという点だ。この資金は、さらなるビットコイン購入、およびオプション取引事業の拡大に投じられる。
このローンは返済期限の定めのない(No-fixed-maturity)フレキシブルな契約であり、いつでも返済が可能だ。金利は米国のベンチマーク金利に連動しているものの、貸し手の正体は明かされていない。