台湾政府、世界トップ10の保有国へ
台湾法務省が沈黙を破った。犯罪捜査を通じて押収されたビットコイン、その保有量が210BTCを超えていることが明らかになったのだ。この事実は、台湾という島国を、国家としてビットコインを保有する世界ランキングの上位へと一気に押し上げる意味を持つ。
立法委員である葛如鈞(Ko Ju-chun)氏が確認した情報によれば、司法当局は10月31日時点で210.45 BTCを保有している。現在の市場価格において、その価値は約1,800万ドル(約27億円相当)。データサイト「Bitcoin Treasuries」の統計に基づけば、台湾は世界で10番目に多くのビットコインを保有する政府ということになる。
葛氏は議会での質問に対する回答として、国庫による保管総額を示す文書を公開した。法務省によれば、これらは主に金融犯罪や、違法なデジタル資産取引に関連して没収されたものであるという。
「戦略的備蓄」への点と線
このニュースを単なる「押収報告」として片付けることはできない。記憶に新しいのは11月の動きだ。
報道によれば、台湾の行政院長と中央銀行総裁は、ビットコインを「戦略的準備資産」として検討することに合意している。法整備を進め、まずは「競売待ち」となっている押収BTCを活用したパイロット運用を開始する──。今回の保有公表によって、これまで点在していた事実が線としてつながり始めている。
法執行措置によってBTCを蓄積する国は多い。だが、そのカストディ(管理)基準や長期的方針を明確に示せている国は、世界を見渡しても皆無に等しい。
台湾法務省もまた、現時点でこれらを押収・換金するのか、あるいはオークションにかけるのか、具体的な計画を示していない。秘密鍵の管理手法──セルフカストディか、あるいは第三者サービスの利用か──についても、堅く口を閉ざしたままだ。
BREAKING: 🇹🇼 The Ministry of Justice has just revealed that Taiwan now holds 210.45 Bitcoin in seized assets.
Another nation-state holding Bitcoin pic.twitter.com/bp6VJ90rDM
— Bitcoin Magazine (@BitcoinMagazine) December 18, 2025
世界の政府が握る「供給量の3%」
視点を世界に向けよう。圧倒的首位に立つのは、32万8000BTC以上を握るアメリカ合衆国だ。サイバー犯罪や詐欺事件の摘発が、そのまま国家のバランスシートを肥大化させている。中国、英国がそれに続く。
公的データによれば、世界中の政府が保有するビットコインは総計64万BTC以上。これはビットコイン総供給量の約3%に達する規模だ。しかしその大半は、国家としての正式な準備金戦略によるものではなく、法執行の結果生じた「副産物」に過ぎない。
議論の行方
台湾はまだ、BTCを国家準備金として正式採用すると宣言したわけではない。
しかし、今回の公表は国内の議論に火をつけた。押収されたデジタル資産は即座に売却されるべきか、それとも国家の富として保持(HODL)されるべきか。議員たちは、標準化された枠組みと明確な方針を求めて当局への圧力を強めている。
法務省は、今回の保有が犯罪収益追跡の広範な取り組みの一環であると説明するに留めている。だが、ビットコイン価格が8万8000ドル付近で推移し、国家間の獲得競争が現実味を帯びる今、その「押収品」が持つ意味は、単なる証拠品の枠を大きく超え始めている。