ビットコイン価格は10月の過去最高値から30%以上下落しており、11月25日朝(米国時間)はひと晩でさらに1%下落し、8万7000ドル付近で取引された。これは、多くのトレーダーを不意打ちにした約2カ月にわたる下落局面の、また新たな展開といえる。
売り圧力は鈍化しているものの、市場全体のセンチメントは依然として不安定だ。
この動きは世界的なリスク回避のムードを反映している。S&P500先物は24日の力強い反発の後、小幅下落となった。アジア市場はまちまちの展開で、欧州市場は横ばいからやや下落して取引が始まった。ビットコイン価格もこれに追随し、マクロヘッジ資産というよりは高ベータのテック株のような動きを見せた。この相関性はここ数週間で強まっている。
この下落により、ビットコイン価格は強気派が「次の攻防ライン」とみなす水準付近に戻ってきている。アナリストは一貫して、8万〜8万3000ドルの水準をサポートラインとして強調している。この水準は今月すでに2度ビットコイン価格を支えており、先週の8万915ドルまでの急落時も下支えとなった。ただし、サポート価格が試される回数が増えるほど底値は弱まる。
クジラの動きが示す矛盾したシグナル
新たなオンチェーンデータが状況を複雑にしている。100 BTC以上を保有するウォレット、いわゆる「中堅クジラ」の数は、11月初めに2年ぶりの低水準となり、その後再び増加に転じている。Santimentによれば、これらのウォレットは11月11日以降に0.47%増加しており、新たに91件のクジラが出現した計算となる。
この数字は微妙ながらも注目すべき変化だ。クジラは通常、大幅な調整局面で買い増しを始める傾向があり、今回の動きは早期の押し目買いが始まっている可能性を示唆している。
しかし、もっと大きなクジラの動きは楽観できるものではない。1000 BTC以上を保有するウォレットは減少傾向が続いており、1万 BTC以上を保有する巨大なクジラは、10月に保有量を約1.5%削減した。
シティグループは、現在の市場には価格の安定に通常必要とされるスポット流入が不足していると指摘する。同社の試算では、ビットコイン価格を4%押し上げるには週10億ドル規模のスポット流入が必要となる。しかし、現状ではそのような需要は存在していない。
ビットコイン価格の“小さな反発”と“大きな疑問”
ビットコイン価格は先週の暴落後、週末にかけて8万6000ドルまでもち直したが、反発は脆弱に感じられた。あらゆる回復局面で、価格は8万台半ば付近の売り圧力によって上値を抑えられてきた。25日早朝、アジアの取引時間中にビットコイン価格は一時8万9000ドルを上回ったものの、すぐに8万7000ドルへと押し戻された。
この価格上昇のためらいは、より広範なマクロ経済の状況を反映している。米連邦準備制度理事会(FRB)のクリストファー・ウォーラー理事は、雇用統計の弱まりを理由に12月の利下げを支持した。しかし同時に、FRBの金融政策は引き続き経済的なデータに完全に依存していることを明確に示した。市場が受け取ったメッセージは、「はい」ではなく「たぶん」だった。
今年初めにビットコイン価格が10万ドルを突破した大きな原動力は、楽観的な利下げ期待だった。しかし現在、トレーダーたちは不確実性に直面している。
一方、機関投資家からの資金流入は依然としてマイナスだ。年末を控えて、ファンドは引き続きエクスポージャーを削減しており、米国の規制動向も状況に追い討ちをかけている。ETF(上場投資信託)が市場への新規資金流入を押し上げた直後にもかかわらず、上院でのデジタル資産関連法案の審議の遅れが投資家心理を冷やしている。
テクニカル分析が示す「焦点は8万ドル、そして7万ドル」
「Bitcoin Magazine」のテクニカルアナリストは、「ビットコインのチャート構造は損なわれているものの、崩壊したわけではない」と指摘している。数週間にわたるブロードニングウェッジの下抜けは、たとえ市場が一時的な上昇局面になったとしても、7万ドルを再び試す可能性を示唆している。
いまのところ、道筋はシンプルだ。8万4000ドルを上抜ければ、強気派は9万1400ドル、さらに9万4000ドルに回復するチャンスを摑むだろう。8万4000ドルを割れば、市場は7万5000ドルに向けて下落する可能性が高く、それを下抜ければ、7万2000ドルから6万9000ドルの高出来高の価格帯がサポートゾーンとなる。
ベテランのアナリストは、ビットコインにとって30%の下落は珍しくないと指摘する。アンソニー・ポンプリアーノ氏は24日に出演したCNBCで、ビットコインは過去10年間で同様の下落を21回経験しており、そのうち7回は50%を超える下落だったと語った。ビットコインの長期保有者は、こうした下落を「痛みを伴うが、慣れ親しんだ“ノイズ”のようなもの」ととらえる傾向がある。
現在、トレーダーたちはチャート、クジラの動向、FRBの金融政策、そして、自らのメンタルを注視しながら様子を見ている。本稿執筆時点でビットコイン価格は8万6819ドル付近で推移。市場は傷ついたとはいえ、まだ崩れてはいない。次のきっかけを待っている。
