米国の主要な暗号資産業界団体3団体は6月21日、下院歳入委員会に連名の書簡を送り、マイク・ケアリー下院議員(共和党・オハイオ州)が提出したH.R.9175「マイニング・ステーキング税制明確化法(Tax Clarity for Mining and Staking Act)」の可決を求めた。
ブロックチェーン協会、Crypto Council for Innovation(CCI)、Digital Chamberの3団体は、同法案を「長く機能する妥協案」と評し、修正を加えずに可決するよう議員に求めた。
マイニングとステーキングの課税をめぐるIRS(米内国歳入庁)と暗号資産業界の対立は、10年以上前にさかのぼる。
2014年、IRSはNotice 2014-21を公表し、マイナーは採掘したビットコインの公正市場価値を、売却時点ではなく生成された瞬間に総所得として申告しなければならないと定めた。この規定は採掘されたコインを賃金と同様に扱い、マイナーが現金に換えるかどうかにかかわらず、受け取った時点で課税対象とする。
ステーカーの状況は2023年にさらに悪化した。IRSがRevenue Ruling 2023-14を公表し、同じ理屈をプルーフ・オブ・ステークのバリデーターにも広げたためだ。この裁定の下では、ステーキング報酬はバリデーターが得た瞬間に課税所得となり、売却するつもりのない資産に対して納税義務が生じるというキャッシュフロー上の問題を生む。
こうした力学は、米国を拠点とするマイナーとステーカーを難しい立場に追い込む。プルーフ・オブ・ワークとプルーフ・オブ・ステークのネットワークは、1兆7000億ドルを超えるデジタル資産を守っている。業界団体は、流動性のない報酬に所得認識を強いることは国内の検証(バリデーション)活動を妨げ、より有利な税制の下で事業を行う海外の競合に道を譲ることになると主張する。
H.R.9175が暗号資産マイニングにもたらすもの
H.R.9175はマイニングやステーキング報酬への課税を撤廃するものではない。代わりに、納税者に選択肢を与える。
同法案の下では、マイナーとステーカーは新たに得たデジタル資産を自己創出資産(self-created property)として扱うことを選択でき、課税の認識を売却時点まで繰り延べられる。また、デジタル資産を保有するグランタートラスト(grantor trust)が、信託としての地位を失うことなくステーキング報酬を受け取れるようにもしている。信託の仕組みを通じて資金を運用する機関投資家にとって意味を持つ技術的な修正だ。
歳入委員会は6月9日、デジタル資産課税に関する委員会全体での公聴会を開いた。この種の公聴会は数年ぶりのことだった。6本のデジタル資産税制法案が俎上に載り、H.R.9175もその一つだった。
6月21日の書簡には、ブロックチェーン協会のサマー・マーシンガーCEO、CCIのジ・フン・キムCEO、Digital Chamberのコディ・カーボンCEOが署名した。
3団体が足並みをそろえた姿勢は、まれな立法上の好機における業界の連携した働きかけを示している。上院ではシンシア・ルミス上院議員が並行して動いており、マイニングとステーキングへの課税を売却時点まで繰り延べる法案を提出している。H.R.9175と趣旨を同じくする内容だ。
時間的な制約もある。議会は8月の休会前という限られた立法の窓に直面しており、デジタル資産改革を最も声高に訴える上院議員の一人であるルミス氏は2027年1月に退任する。より広範な暗号資産税制改革の取り組みは業界全体から支持を集めており、各団体は、他の資産クラスに適用されているのと同じ一貫性をもってデジタル資産を扱うよう議会に求めている。
ビットコイン黎明期から税制の不確実性という暗雲の下で事業を続けてきた暗号資産マイナーとステーカーにとって、H.R.9175は、数年来で最も具体的な立法上の解決策となる。