ビットコインの最近の価格下落は、この資産に関するもっとも有力な強気シナリオのひとつを試す展開となっている。つまり、「機関投資家による採用拡大が価格変動を安定させ、長期的な成長を支える」という考え方だ。
こうした下落相場にもかかわらず、ProCap Financial社のCEOであるアンソニー・ポンプリアーノ氏は、大きな流れは依然として変わっていないと考えており、昨今の弱含みの相場を、ビットコインが主流の金融資産へと成熟していく過程における自然な段階としてとらえているようだ。
CNBCの番組「Power Lunch」に出演したポンプリアーノ氏は、ビットコインと伝統的な金融との統合が加速していると述べ、その例として、ラリー・フィンク氏が率いるブラックロック社のような大手機関からの関心が高まっていることを挙げた。
ポンプリアーノ氏によれば、この変化は、ビットコインがニッチで理念主導型の資産から、広く保有されるポートフォリオ資産へと移行するという、長らく待ち望まれていた転換が現実のものとなったことを示しているという。
ポンプリアーノ氏は、「ビットコインは伝統的金融資産へと成熟しつつある」と述べ、機関投資家の需要は「大規模な普及がどのようなものになるかを示している」と付け加えた。
ビットコインはここ数週間、売り圧力に晒されている。市場全体にリスク回避の動きが広がるなか、資金が株式市場へ移動しており、とりわけ人工知能(AI)関連や新規上場企業などの高成長セクターへ資金が流入していることから、 価格が下落している。
今回の下落によって、ビットコインの普及サイクルが飽和状態に近づいており、過去のサイクルで見られたような大幅なリターンを今後は実現しにくくなるのではないかという懸念が再燃した。
ビットコインのこれまでの成長は、主として急速なユーザーの増加と投機的な資金流入によって牽引されてきたと主張する人もいる。しかし、ビットコインがより成熟した段階に達した現在では、そのような成長要因を再現することは以前より難しくなっている可能性がある。
CNBCの司会者が指摘したように、「採用拡大のストーリー」はすでにピークを過ぎたのかもしれない。
同時に、ストラテジー社のマイケル・セイラー氏をはじめとする一部の市場参加者は、資金が暗号資産から、今後予定されているIPO(新規株式公開)やAI関連投資などの勢いのある投資機会へとシフトしている可能性があると指摘している。
ポンプリアーノ氏「ビットコインからの資金流出は自然な現象であり、構造的な問題ではない」
CNBCの番組の中で、ポンプリアーノ氏は、資金流出がビットコインの構造的な弱さを表しているという見方に反論した。むしろ彼は、この資金移動を典型的なポートフォリオのリバランス行動であると説明した。
「資本はモメンタムとリターンを追い求める」と述べ、ビットコインは流動性が高いため、投資家が新たな投資機会を追求する際の資金源として利用しやすいと指摘した。
現在の市場環境は、ビットコインの進化における緊張関係を浮き彫りにしている。機関投資家による採用拡大によって投資家層は広がった一方で、ビットコインはマクロ経済の動向や異なる資産クラス間の資金移動と、これまで以上に密接に結び付くようになった。
その結果、市場が不安定な局面では、ビットコインは、ヘッジ資産として独立した値動きをするのではなく、株式市場と連動して下落するリスク資産としての性格を強めている。こうした動きは、少なくとも短期的には、ビットコインを「デジタルゴールド」とみなす従来のストーリーを複雑なものにしている。
しかし、ポンプリアーノ氏は、ネットワークが継続的に稼働していること、分散性が保たれていること、そして発行スケジュールが予測可能であることを挙げ、これらがビットコインの長期的な価値提案が依然として健在である証拠だと主張した。
彼は「何が変わったのかを見せてほしい。ネットワークは設計された通りの機能をいまも変わらず果たし続けている」と語った。
「貯蓄テクノロジー」としてのビットコイン
ポンプリアーノ氏は、ビットコインは法定通貨の価値下落に対するヘッジ手段であるという長年の見解を改めて表明し、政府による継続的な財政支出と金融緩和が、ビットコインの長期的な有効性を支えていると主張した。
また、ビットコインを「貯蓄テクノロジー」と表現し、過去10年間で約60%、過去3年間でも30%超という年平均成長率を記録してきたことを挙げ、ビットコインには長期にわたって資本を維持し、さらに成長させる能力があることの証拠だと強調した。
彼の見解では、ビットコインの役割は短期的な投機対象というよりも、長期的な資産保全の手段としてとらえるべきであり、それは過去の世代にとっての金(ゴールド)や不動産が果たしてきた役割に近いものなのだ。