「2025年のNostr(ノスター)は、2012年のビットコインと非常によく似ている。少し粗削りだが、使っていてワクワクする」。そう語るのは、Nostrクライアント「Amethyst(アメジスト)」の開発者であるヴィトール・パンプロナ氏だ。先日、筆者はパンプロナ氏にインタビューを行ない、Nostrの現在と未来について意見を交わした。
Nostrは、ソーシャルメディアやその他のコミュニケーション手段のために設計された分散型プロトコルで、誕生してからまだわずか4年。開発者たちはいまも、彼らの構築した各クライアント内でいかにして最良のユーザー体験を実現するかを模索している段階にある。これらのNostrクライアントには、Xに似た「Primal(プライマル)」、インスタグラム風の「Olas(オラス)」、Substackのような機能をもつ「Yakihonne(ヤキホンネ)」といったアプリが含まれる。
Nostrクライアントの大きな特徴のひとつは、ユーザー同士が「zap(ザップ)」と呼ばれる機能を使って少額のビットコインを送り合える点だ。他のユーザーが投稿したコンテンツへの感謝や評価を、実際の経済的価値をもって示す手段となっている。
パンプロナ氏は、Nostrクライアントが徐々に注目を集め始めている現状に希望を見出している。ちょうど13年前にビットコインが成長を加速させ始めた時期と重なるような感覚があるという。
「コミュニティが形成され始めており、やり取りされる金額も増えてきている」と、パンプロナ氏は「Bitcoin Magazine」とのインタビューで語った。
ビットコインが駆動するクリエイター経済
パンプロナ氏は、ソーシャルメディアの目的のひとつは、ユーザーが自身のコンテンツを現実世界では得られないかたちでマネタイズできるようにすることだと認めている。
「(一部のソーシャルメディアの)ユーザーは生計を立てたいと願っている。彼らはソーシャルメディアを通じて、自分ひとりでは、あるいは地元だけでは達成できないことを実現できるのではないかという希望を抱いている」と、パンプロナ氏は語る。
パンプロナ氏は、Nostrクライアントこそがその希望を現実に変える一助となると信じており、まさにその支援こそが自分の使命であるという。
「われわれの最終目標は、クリエイターが生活費を稼げるレベルに到達することだ。そこまでたどり着ければ、このプラットフォームは勝利したといえる」
Nostrを通じてユーザーが生計を立てられる可能性は日々高まっている。特に注目すべきは、Nostrのユーザー層が拡大し続けており、ビットコイン循環経済として世界最大の地位を築きつつある点だ。
Amethyst(アメジスト)
パンプロナ氏がAmethystを開発する際に描いていたのは、「すべてをひとつにまとめたNostrクライアント」というビジョンだ。それは、イーロン・マスク氏がXに抱いていた構想と類似した発想に基づいていた。
「Amethystが登場したのは、ちょうどイーロンがTwitter買収の話をしていた時期だった。彼はTwitterをメガアプリにしようとしていたけど、私も同じことを目指していたんだ」と、パンプロナ氏は説明する。
もっとも、Amethystがその理想を完全に実現できたわけではないことは、パンプロナ氏自身も理解している。しかし、彼はまた別の重要な役割を果たすようになったことに満足している。それは、Nostr上で新しいアプリケーションを開発しようとする人々にとっての実験場、あるいはスタート地点となっているという点だ。
「Amethystは、誰もが自分のアプリを立ち上げるための助けになっている。OlasもAmethystから生まれたんだ」と彼は語る。
ビットコイン導入ツールとしてのNostr
パンプロナ氏は、Nostrがビットコイン導入の手段として非常に有効と考えている。しかし、それがNostrクライアントの主要な目的であるべきではないとも述べている。
「Nostr系アプリの主な目的は、人々が自分らしく行動できるようにすること。創造的な活動をしたり、友人と会話したり、家族とチャットしたりすることにこそ意味がある」と、パンプロナ氏は指摘する。
そして、「どんなアプリであれ、“Nostr”や“ビットコイン”という言葉を強調すべきではない。ただ自然体で存在すればよい」と続けた。
パンプロナ氏は、そうした自然な利用を通して、ユーザーが徐々にNostrのもつ自己主権性(自らのデータを自分でコントロールできる仕組み)やビットコインについて理解し始めるだろうと考えている。
「彼らは、“たまたまこのプラットフォームが自分のデータを自分で管理できるようになっていて、なおかつ現時点で最良の決済プロトコルを使える”という事実に気づくようになる」
さらに、パンプロナ氏は、多くの新規ユーザーがNostrに惹かれる理由として「自由」と「検閲への抵抗力」があることを強調する。
彼は、「過去2年間でNostrに入ってきた新規ユーザーの多くは、自由を求めていた。あるいは、自国での検閲がその理由だった。そして、彼らはその後にビットコインについて学ぶようになった」と語った。