「コーヒー1杯」の支払いに伴う納税の壁
現在、米国の税制においてビットコインは「資産(プロパティ)」として扱われている。そのため、コーヒーの購入や少額の送金であっても、決済のたびにキャピタルゲイン(譲渡益)の計算が義務付けられる。BPIはこの仕組みが、ユーザーに取得原価の管理や微々たる損益の報告を強いており、日常的な利用を阻害する最大の要因になっていると指摘する。
米第119議会では、複数のアプローチが議論されてきた。シンシア・ルミス上院議員は、1回あたり300ドル、年間計5,000ドルまでの免税枠を設ける法案を提出。一方、下院で検討されている「PARITY法案」の草案では、対象を規制下のステーブルコインに限定し、外貨規制に準じた200ドルの免税枠を設定するにとどまっている。

ステーブルコイン限定案への懸念とBPIの対抗策
BPIは、免税対象をステーブルコインに絞り込む動きについて、「広範なデジタル資産を対象としてきた従来の超党派の取り組みから大きく逸脱するものだ」と批判している。ビットコインを対象外にすれば、ほとんどのビットコイン決済に依然として報告義務が残るだけでなく、ステーブルコインの送金手数料(ガス代)として支払われるネットワークトークンの消費さえも課税対象になり続けるという矛盾が生じるためだ。
これに対し、BPIは主要な税務担当議員への書簡送付やロビー活動を強化。過去3ヶ月間で上下両院の19の事務所を訪問し、1回あたり最大600ドル、年間2万ドル程度の免税枠を、ビットコインを含む主要なネットワークトークンにも適用するよう求めている。ルミス議員が2027年1月に退任を控えていることもあり、2026年8月の立法化が事実上のデッドラインになるとの見方を示した。
コインベースの「反対疑惑」と激しい否定
こうした税制改正の議論の裏で、業界内には不穏な動きも浮上している。ビットコインポッドキャスターのマーティ・ベント氏は3月11日、コインベースが「ビットコインは通貨として普及していない」と議員に説明し、免税措置に反対するロビー活動を行ったと報じた。自社のステーブルコインビジネスを優先させるための「足の引っ張り合い」ではないかとの疑惑だ。
これに対し、コインベースのブライアン・アームストロングCEOとファーヤー・シールザド政策責任者は「完全な嘘」と猛反論。ブロック(旧スクエア)のジャック・ドーシー氏からの問いかけに対しても、同社がビットコインの利便性を損なうようなロビー活動を行うことはあり得ないと疑惑を全面的に否定した。