ビットコインのレイヤー2プロトコル、ライトニングネットワーク(LN)が、歴史的なマイルストーンを塗り替えた。River Financialの最新調査によれば、2025年11月の月間決済額は推定11.7億ドル(約522万件)に到達。ビットコイン価格が横ばいで推移するなか、ネットワークの実需は価格チャートの沈黙を切り裂くような成長を見せている。
今回のデータは、ACINQ、Kraken、Breez、Lightspark、LQWDといった主要ノード運用者からの匿名化データを統合したものだ。ネットワークキャパシティの50%以上を網羅したこの推計について、Riverは「ライトニングの普及が進んでいないという誤解を完全に解くものだ」と断言する。
興味深い変化も起きている。決済件数そのものは2023年比で微減したのだ。これはかつてのゲーミングやメッセージングにおける「マイクロペイメントの実験」という熱狂が、一過性のブームとして落ち着いたことを示唆している。だが、停滞を憂う必要はない。視線はすでに、次なるフロンティアへと向けられている。
先週、Lightning LabsがリリースしたAIエージェント向けのオープンソースツールキットは、その象徴だ。人間を介さない「マシン・ツー・マシン」の自律的な決済。AIが自らノードを運用し、サービスを享受し、対価を支払う未来。人間には避けられない「支払いへの心理的障壁」を持たないAIこそが、LNのトラフィックを再び爆発させる起爆剤となるだろう。
Bitcoin’s Lightning Network exceeds $1B in monthly transaction volume. pic.twitter.com/USmosCQ1gM
— River (@River) February 19, 2026
マイクロペイメントから「価値の移送」へ
「少額決済のためのネットワーク」というLNの定説も、今や過去のものになりつつある。2025年11月の平均決済額は223ドル。前年の118ドルからほぼ倍増した。これは、日々のコーヒー代の支払いよりも、取引所間での資金移動といった「実利的な価値の移送」に主眼が移っている現状を物語っている。
「人間は頻繁な少額決済に心理的コストを感じるが、AIにはそれがない」と、Riverは分析する。現在は大口化が進むLNだが、AIエージェントの台頭により、再び高頻度かつ極小口の決済へとダイナミズムが揺り戻される可能性がある。
チャートの価格変動に一喜一憂する層が気づかぬうちに、ビットコインのレイヤー2インフラは、決済と清算の最終地としての地位を固めつつある。月間10億ドルの突破は、単なる数字の記録ではない。ビットコインが真の通貨として、そしてグローバルな金融OSとして機能し始めた、確かな号砲なのだ。
Riverは来週、ビットコイン・エコシステム全体の成長と統合に関する包括的なレポートを公開する予定だ。そこには、私たちが想像する以上の「加速」が記されているに違いない。