上院共和党が、重い腰を上げた。
長らく暗礁に乗り上げていた「暗号資産市場構造法案」を前進させるべく、彼らは民主党の交渉担当者に対し、「最終提案(クロージング・オファー)」と銘打った文書を突きつけた。上院銀行委員会のティム・スコット委員長(共和党・サウスカロライナ州)は、早ければ来週にも委員会での採決(マークアップ)に踏み切る構えだ。
火曜日に行われた超党派会合に先立ち、月曜夜、上院銀行委員会の共和党側が文書を送付した。POLITICOの報道によれば、「最終提案および現状の整理」と題されたこの文書には、デジタル資産の法的分類を定める「Title I」への30項目以上に及ぶ修正が含まれている。それだけではない。投資家保護と不正金融対策に焦点を当てた、2つの新たな章も追加されたという意欲的な内容だ。
この提案書には、スコット委員長に加え、シンシア・ルミス議員(ワイオミング州)、ビル・ハガティ議員(テネシー州)、バーニー・モレノ議員(オハイオ州)といった、業界でも知られた共和党の重鎮たちが名を連ねている。
火曜の朝、議員たちはスコット氏のオフィスに集結。提案内容の精査と、文書では触れられなかった未解決の課題について協議を行った。
Punchbowl Newsによれば、スコット氏は来週にも同法案の委員会採決を行う準備を進めているという。ジョン・ケネディ上院議員(共和党・ルイジアナ州)は、銀行委員会が「1月15日」を採決のターゲットにしていると明かした。ただ、そのためには修正された法案ドラフトを事前に公開する必要があり、時間はあまり残されていない。
民主党の抵抗と「トランプ」の影
一方、民主党側も攻勢を緩めていない。彼らは依然として、共和党にとって飲み込みがたい条件を突きつけ続けている。
特に共和党の神経を逆撫でするのは、公職者の利益相反を防ぐ「倫理規定」の要求だ。ここには、ドナルド・トランプ氏の家族も明確なターゲットとして含まれている。さらに、SEC(証券取引委員会)やCFTC(商品先物取引委員会)の要職に、民主党員を送り込む保証も求めているようだ。
また、暗号資産企業による「利回り商品」の提供を認めるかどうかも、大きな火種だ。これを認めれば、既存銀行の「聖域」を脅かすことになりかねないため、議論は平行線をたどっている。
こうした未解決の問題を抱えながらも、事態が動き出していることは間違いない。交渉に関与している銀行委員会の穏健派、キャサリン・コルテス・マスト上院議員(民主党・ネバダ州)は、協議を「非常に生産的」と評し、双方がオープンな姿勢であることを強調。「間違いなく」来週の採決を予想しているとPOLITICOに語った。
しかし、スコット氏の描くシナリオ通りに事が運ぶ保証はない。 1月30日には連邦政府の予算期限が迫っており、議会は政府閉鎖の回避に追われることになる。中間選挙を控えた政治的圧力も、日増しに高まっている。まさに時間との戦いだ。
もしスコット氏が、民主党の合意なきまま見切り発車で採決を強行すればどうなるか。 規制のあり方、執行権限、そしてDeFi(分散型金融)への根本的な思想的対立が埋まらぬまま、議員たちは公の場で「踏み絵」を迫られることになるだろう。
ワシントンの冬は、まだ熱を帯びたままだ。