世界的な指数プロバイダーであるMSCIが、長きにわたるデジタル資産財務保有企業(DATCOs)のレビューを終え、主要株式指数からの除外を見送ると結論付けた。この報を受け、ストラテジー($MSTR)の株価は7日早朝、一時7%もの急騰を見せた。
市場開始直後、MSTRは170ドルを超えて推移。その後、ビットコインが91,000ドル台前半へと調整した動きに連れ安となり、日中には165ドル近辺(前日比4%高)まで上げ幅を縮小したが、それでも市場の安堵感は明白だ。
今回の決定により、現在MSCI指数に採用されているストラテジーを含む企業は、既存の要件を満たす限りその地位を維持することになる。これは、数ヶ月にわたり同社株の上値を抑え、インデックス・リバランスに伴う強制的な売り圧力を懸念させていた不透明感を払拭するものだ。
回避された「数十億ドルの売り圧力」
MSCIはこれまで、総資産の過半をビットコインなどのデジタル資産で保有する企業について、事業会社(Operating Companies)ではなく「投資会社(Investment-oriented Entities)」として再分類すべきか検討を続けてきた。もし再分類されれば、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)や新興市場指数といった、世界中の機関投資家がベンチマークとする主要指数から除外される恐れがあった。
この提案に対し、ストラテジーおよびビットコイン業界は猛反発。「バランスシートの構成のみに基づく除外は恣意的であり、指数の中立性を損なう」と主張してきた。
業界団体も警鐘を鳴らしていた。もしDATCOsが除外されれば、パッシブ運用ファンドによる数十億ドル規模の資金流出(売り圧力)が発生し、株式市場と暗号資産市場の双方を不安定にさせる、と。アナリストの試算によれば、除外が断行された場合、ストラテジー1社だけで最大28億ドルもの強制売りが発生する可能性があったという。今回の決定は、この差し迫ったリスクを解除する「安全弁」となったわけだ。
条件付きの「執行猶予」
しかし、これを完全なる勝利と呼ぶには早計だろう。MSCIは機関投資家からの「一部のデジタル資産保有企業は実質的に投資ファンドである」という懸念を認めており、事業会社と投資会社を明確に区別するためにはさらなる調査が必要だとしている。
特に痛手となるのが、「新規株式発行に伴う指数ウェイトの引き上げを認めない」という暫定措置だ。
これはつまり、ストラテジーの生命線である「株式市場からの資金調達(ATMオファリング)によるBTC蓄積」が、指数の買い需要(パッシブ・インフロー)に直結しなくなることを意味する。インデックス内での存在感拡大を目指すマイケル・セイラーの戦略にとって、これは無視できない「重石」となるだろう。
さらにMSCIは、将来的な除外の可能性も排除していない。彼らの指数はあくまで「事業会社」を追跡するために設計されており、非事業会社に関する広範な協議は今後も続くというシグナルを送っている。
ひとまず、市場は目先の救済を好感した。630億ドル相当のビットコインを保有する世界最大の財務保有企業、ストラテジーには、指数除外の懸念が後退したことで即座に買いが入った。
だが、MSCIが突きつけた条件は、「ビットコイン本位制」という異端の財務戦略に対し、既存の金融秩序(フィアット・ワールド)が依然として懐疑的であることの証左でもある。指数除外という最悪のシナリオは回避された。しかし、ウォール街のメインストリームにおける市民権を巡る戦いは、まだ第1ラウンドが終わったに過ぎない。
なお、本稿執筆時点において、ビットコインは91,000ドル台前半で推移している。
