7月15日、新たな「ビットコイン改善提案(BIP)」が発表され、ビットコインをポスト量子(PQ)暗号技術に移行するための明確な計画が示された。この提案は、アップグレードを行なわなかった場合、ウォレット、マイナー、取引所、保有者に対して重大な影響が及ぶことを警告している。
Today we publish a Bitcoin Improvement Proposal addressing incentive & safety issues for migrating the ecosystem to post quantum cryptography.
BIP timeframes are relative to a future point at which quantum computers are deemed a significant threat.https://t.co/xUuig5YWNE
— Jameson Lopp (@lopp) July 15, 2025
この提案では、現在のECDSA/Schnorr署名への依存を段階的に排除する計画が導入されている。ECDSA/Schnorr署名は、将来的に量子コンピュータ攻撃によって秘密鍵が破られ、ビットコインが盗まれる可能性があるという脆弱性を抱えている。この提案は量子耐性を強制的なインセンティブへと変えており、「アップグレードを怠れば、確実に資金へのアクセスを失う」と警告している。
「われわれはUTXOセットの価値を守り、量子攻撃に対するインセンティブを最小限に抑えることを目指している。ビットコインはこれまで、その暗号的基盤に対して存亡の危機を突きつけられたことはなかった。ビットコインへの量子攻撃が成功すれば、価格への影響を超えて、ネットワークセキュリティを担うマイナーの能力に重大な支障をきたし、エコシステム全体に甚大な混乱と損害をもたらすことになる」と、提案には記されている。
提案では、以下の3つのフェーズが概説されている。
- フェーズA:量子耐性のないアドレスへのビットコイン送金を禁止し、ポスト量子型アドレス(P2QRH)の採用を促進する。
- フェーズB:フェーズAから2年後をメドに開始され、ECDSA/Schnorrベースのすべての取引を無効化し、移行されていない資金を事実上凍結する。
- フェーズC:これはオプションであり、今後の調査研究に基づいて決定される。対応するBIP-39のシードフレーズの所有を証明することで、資金を回復する手段が提供される可能性がある。
この提案の背景には、量子コンピューティングの急速な進歩がある。2024年には、米国国立標準技術研究所(NIST)が複数のポスト量子署名スキームを正式に承認したが、一部の専門家は、従来の暗号を解読できる量子コンピュータが早ければ2027年から2030年の間に登場すると予測している。提案は、全ビットコインの約25%がオンチェーン上で公開鍵を晒しており、量子盗難の対象となるリスクがあると警告している。
この提案は、量子耐性のないアドレスへの新規取引をブロックすることで、新たなUTXOが作成されるたびに将来の攻撃対象領域を削減することを目指している。この変更により、ポスト量子アドレス形式の普及を加速させ、将来的にはそれが唯一の有効な選択肢となるように設計されている。ビットコインのアップグレードには長い時間がかかることを踏まえて、このアプローチは関係者に迅速な対応を促すことを目的としている。
BIPの詳細については、こちらで閲覧可能。
