Canaan Inc.(カナン社:$CAN)は、エネルギー革新とデジタルインフラを融合する取り組みとして、カナダのアルバータ州カルガリーで、取り残された天然ガス(ストランテッドガス)やフレア燃焼される天然ガスをビットコイン・マイニングおよびハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)用の電力に変換するパイロットプロジェクトを開始すると発表した。
このプロジェクトはAurora AZ Energy(オーロラAZエナジー)社との提携によって開発されたもので、通常は遠隔地の油井で燃焼処理される廃棄ガスを発生源で直接コンピューティングパワーに活用する方法を模索するCanaanにとって新たな一歩となる。
このパイロットプロジェクトでは、200万ドル相当のAvalon A15 Proマイナーとモジュール型データセンターを油井の坑口に設置し、約2.5メガワットのコンピューティング能力と90%の稼働率保証を実現する。
Canaanの株価はこの発表を受けて上昇、22%高の1株あたり1.33ドルを記録した。
この「ガス・トゥ・コンピュート(gas-to-compute)」システムは、本質的に効率性に関する実験だ。本来であれば大気汚染の原因となるオフグリッド(送電網外)のエネルギーを活用し、世界でもっともエネルギー集約的な産業のひとつを稼働させることを目的としている。Canaanの試算によると、このプロジェクトにより年間最大1万4000トンのCO₂換算排出量を削減できる見込みで、フレアガスを回収して電力に変換することで環境負荷を軽減するという。
「この取り組みは、コンピューティングインフラがエネルギー革新と並行してどのように進化できるかを示す大きな一歩だ。地域限定の天然ガス発電を当社のモジュール型システムに統合することで、これまで無駄にされていた資源を生産性の高いエネルギーへと変換している」と、CanaanのCEOであるNangeng Zhang(ナンゲン・チャン)氏は述べている。
フレアガスからビットコイン・マイニング、そして、AIイノベーションへ
フレアガス(石油採掘の副産物として放出され燃焼処理される天然ガス)は、特にアルバータ州のようなエネルギー資源の豊富な地域では、依然として深刻な環境問題となっている。
アルバータ州エネルギー規制当局によると、2024年だけで9億立方メートル以上のガスがフレア処理されたという。CanaanとAuroraのモデルはこの問題を機会へと転換することを目指しており、AuroraのCEOであるJing Shan Zhou(ジン・シャン・ジョウ)氏は、同社のプレスリリースで、これを「フレアガスやストランデッドガスをコンピューティングパワーに変換するためのスケーラブルなフレームワーク」と呼んでいる。
Canaanは、ビットコイン・マイニング以外にも、より安価でクリーンなエネルギー源の活用という圧力に直面している分野であるAIや高性能コンピューティングのワークロードを強化するために、このモデルを幅広く応用することを構想している。
ハイパースケールデータセンターが世界的な電力需要を押し上げるなか、このような地域分散型のエネルギー生成は持続可能な規模拡大への代替手段となる可能性がある。
また、Canaanによれば、稼働停止期間や送電網の供給抑制時には、需要応答プログラムを通じて余剰電力を送電網に再販売することで利益を得られるという。