モスクワ証券取引所は2025年6月4日、ビットコイン先物契約の開始を正式に発表した。この新たなデリバティブ商品は、ロシア国内の適格投資家がビットコインの価格変動に投資できる手段を提供するもので、現物のビットコインを直接保有することなく価格へ連動した投資効果を得られる点が特徴である。
今回上場されたビットコイン先物は、ロシア・ルーブル建てで現金決済される仕組みとなっており、米国市場で取引されている「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」ETFに連動して価格が決定される。IBITは、米資産運用大手ブラックロックが運営するビットコインETFで、1口あたり0.00068ビットコインに相当する価値を持つ。
このような設計により、ロシアの投資家はビットコインの実物資産に触れることなく、その価格に基づく金融商品を通じて暗号資産市場にアクセスすることが可能となる。これは、ロシア国内における暗号資産規制のもとで新たな選択肢を提供するものであり、制度の枠内でビットコイン投資を実現する一手といえる。
🇷🇺 ロシア最大の取引所モスクワ証券取引所が、適格投資家向けに #ビットコイン の先物取引を開始📈 pic.twitter.com/47P02ZTccL
— Bitcoin Magazine Japan (@BitcoinMagJapan) June 4, 2025
新たに開始されたビットコイン先物の取引は、現地6月5日(水)にスタートし、最初の契約は2025年9月に満期を迎える予定である。各先物契約は「1ビットコインあたりの米ドル価格」で表示されるが、決済はロシアルーブルで行なわれる。
今回のモスクワ証券取引所によるビットコイン先物の導入は、ロシア国内の金融機関からビットコインへの投資ニーズが高まっていることを背景としている。2025年5月にはロシア中央銀行が正式に、暗号資産に連動した証券やデリバティブ商品を適格投資家向けに提供することを認めた。それ以前までは、ビットコインへの直接投資は事実上推奨されていなかった。
さらに、ロシア最大の銀行であるズベルバンクも、モスクワ証券取引所の提供に加え、独自のビットコイン先物商品の展開を予定していると発表している。同銀行は、ビットコイン価格に連動する上場ノート型証券(Exchange-Traded Notes:ETN)の提供を計画しており、投資家が現物ビットコインを保有せずにその価格変動に投資できる仕組みを整備中である。
ビットコイン先物をはじめとする暗号資産関連デリバティブ商品への関心は、業界の成熟とともに世界的に高まりを見せている。最近では、ビットコインを準備資産として取り入れる国家も増加しており、金融市場におけるビットコインの位置づけが変化しつつある。
ビットコインの採用が広がるなかで、投資家や金融機関はさまざまな方法でそのエクスポージャーを求めている。今回のモスクワ証券取引所による先物上場は、ロシア国内の適格投資家に対して、規制の枠内でビットコイン価格に連動した金融商品へのアクセスを提供するものとなる。ただし、「現物」のビットコインを直接保有することについては、従来のロシア金融制度においては今なお制限が残っている。